迷宮攻略よりも文明復興の方が難しい
目的地はどこかと言うと、——宝島。
千空達のお父さん達が不時着した。それは飛行士達と宇宙船ソユーズが眠る島だ。
宝島の宝箱には白金(プラチナ)が眠っているそうだ。
その鉱石の宝箱は宇宙船ソユーズで、ガッチガチの防御力。科学の結晶で大気圏突入の高温すら耐えまくる、最強無敵の箱らしい。
ふと、大事な話がある。と千空達の前に現れた男。——石神村出身の男は、「本当は石神村の人間じゃない」と言う。
なんでも幼い頃に一人生きて浜辺に流れ着いたのを、不憫に思った村人——つまり、その男の里親が自分の子と嘘ついて育てられたようだ。
本当の名前は石神村じゃ浮きすぎるから、ずっと名無しで生きてきたそうだ。
「オレの本当の名前はソユーズ。……案内できるかもしれない。ソユーズの故郷。宝箱にソユーズの在処に……!!」
ソユーズが話をしたことで確実にわかったことがある。——それは、宝島は今、無人島じゃないってことが。
そんな時、突然嵐がやってきた。激しい雨と風が吹き荒れる中、私たちはその悪天候を利用して、島の人々に気づかれないように近づいていった。千空は科学の知識を使い、荒れた海の中でも進むべき道を見極め、私たちは岩陰へと船を隠した。
そのおかげで、島の人々に見つかることなく、無事に宝島へたどり着くことができた。
「はっはー!見事に晴れたな。ギリギリ岩陰に滑り込んだぞ、皆の全力の操船の成果だ!全員に1万ドラコずつ、ボーナスをくれてやろう…………!!」
『……えっ、お金…!?欲しい!!!』
ドラコって、円に換算すると一体どれくらいの価値になるんだろう……。欲しいなお金……。
「ククク。んな、チンタラ遊んでるヒマねぇぞ。長居すりゃ見つかるからな。とっととソッコーで——偵察隊出発すんぞ!」
1万ドラコあれば、何が買えるだろうか……?
「大人数で突入すれば即戦争だ。違うか!?。メンバーは必要最小限で行く!」
「あ"ー、この宝島に来た目的。忘れんじゃねぇぞ。テメーら」
スイカちゃんたちがこの前売っていたわたあめは、確か100ドラコだったはず。なら、1万ドラコあれば……あのわたあめが100個も買える!
「お目当ては石化復活液無限生産マシン。プラチナを宝箱からゲットする!!とっとと見つかりゃそれでよし、でなきゃ島民から場所聞き出すっきゃねぇ、」
?そう考えると、なんだか急に大金を手にしたような気分になってくる。
「フゥン、つまり偵察隊のメンバーは5人!!千空、ソユーズ、コハク、ゲン、アリババだ!」
『………………は?』
名前を呼ばれて、ようやく我に返る。……しまった。話の内容、何ひとつ聞いていなかった。
偵察隊の一員に選ばれた私は、他のメンバーと共にボートを降り、崖へと向かい、慎重に崖を登り、島へと足を踏み入れた。
「羽京は同行しないのか?私の視力だけでなく、彼の聴力も欲しいが」
「はぁはぁ……」
息を切らす千空。この人本当モヤシだよな。体力づくりでも手伝ってあげるべきか……?
「なんかソナーとにらめっこしてたよ~!海底見たいとか」
『はぁ、……1万ドラコォ』
「アリババちゃん…」
隣で呆れ顔しているゲンなんて知らないんだからな。
***
「?船の方で何か光ったような気がしたのだが、気のせいか……」
そうコハクの呟く声に、私は思わず船の方へ視線を向ける。
「電波悪!全然リームー。なんか電話かけても出ないの、みんな」
まさか、何か起きたのではないだろうか。——そんな嫌な予感は的中する。
「千空ちゃん、コハクちゃんは先行ってて~。ちょい高いとっからかけてみる。」
『私もゲン達のほうにいるな』
「ああ」
千空とコハクから離れ、私はゲンとソユーズを連れて、少しでも高い場所——崖の上へと向かい、登った私達は電話をかけようとした時——ふと、先ほどのコハクの言葉が頭をよぎった。
『ソユーズ。さっきコハクが、気になること言ってたから、いちよう船の方確認してみないか?』
「そうだね」
「しもしも~」
「こ、こっからなら、直接船の様子が見えそうだ……!!」
望遠鏡を手にしたソユーズが、船の方へと視線を向ければ——
「うあああああああっ!!」
突如悲鳴をあげるソユーズ。
「?どしたの、ソユーズちゃん……!」
『!?』
「船になんか——」
望遠鏡をソユーズから受け取った、ゲンが覗き込めば、彼も悲鳴をあげた。嫌な予感を察した私は、震える手で望遠鏡を受け取る。
そして、同じように船を覗き込んだ瞬間——
『……みんな、石になってる……!』
嘘だよな……!?そんなはずがない。ついさっきまで、みんな普通に動いて、言葉を交わしていたのに……。どうしてこんなことに……!!
考えている時間なんてないんだ。
『早く、コハクたちに伝えよう……!!!』
***
皆が石化してしまった。そう伝えた瞬間、コハクは一目散に駆け出そうとする。しかし、コハクの足には、いつの間にかロープがくくりつけられていた。そのロープの先は、ゲン自身の腕へとしっかり結ばれている。
「絶対そう来ると思った。コハクちゃんは聞くなり突撃しちゃうでしょ」
「いつの間にロープ……」
『流石ゲンだ……』
「い~~い仕事してんじゃねぇか、インチキマジシャン」
「なぜ止めるのだ。直ぐに皆を救出に行かねば!!」
「船の全員でもやられちゃってんのよ!?今俺ら5人だけで慌てて駆けつけたって、そこに敵がいたら全員石化。はい、ゲームオーバ~!じゃない!」
「ダ……ダメだ!! 近付いちゃ……」
コハクとゲンが言い合う声を聞いていたソユーズは、思わず頭を抱え、焦ったような声でソユーズは二人に向かって叫んでいる。
『!?』
「船の皆が石化したのを見て、浮かんだんだ、トラウマみたいのが、赤ん坊の俺が島を出た時——逃げてたんだ、人を石化させる、何かから……!」
『それは……』
少しずつ、ソユーズは昔の記憶を思い出そうとしているのだろう。それにしても、赤ん坊だった頃の記憶があるなんて……。それって、よく考えたらものすごいことなのでは……?
「ぜ、……全部覚えてなくてごめん。一度みてるはずなのに」
「赤子の頃の話だろう!?」
「むしろ、ちょっとでも記憶あるのゴイスーすぎるでしょ……」
「い~や値千金の大ヒントだ。やるじゃねぇかソユーズ、テメー!」
「つまり今この宝島には、俺ら科学王国を全員石化させようっつう敵勢力と——その石化から逃げようっつう味方勢力がいる……!!!」
「この島を知る住民を一人でも味方につければ、宝箱の場所を聞き出せるかもしれん!!そうすれば船の皆も世界人類も全員復活させられるぞ……!!!!」
***
人の痕跡らしき物——死んだ貝や食べづらい貝だけを選んで捨ててあるのをみつけた私達は、科学を使い、居所を探すことになった。
始めに接着剤——シアノアクリレートを火にかけて沸いてきたら熱で貝に吹きつけて、ブラックライトで照らすと証拠が光って浮かんでくる。
「!……指紋」
「触れた指の跡が見えるのか!?何者かが——」
「形で類推できるな、——女、中肉中背」
『……この世界で犯罪起こしても千空からは逃げられなさそうだな…』
思わず、そんなことを考えてしまう。
……中肉中背ということは、私と同じくらいの体格をしている子なのかもしれない。
「接着剤で分かるんだ。ゴイス~ね、科学刑事」
「アホみたく感心してねぇで、犯人像プロファイリングでもしてろ。テメーの仕事だ。メンタル刑事」
「メンタル刑事!俺のこと??」
そう言われたゲンは、ふらふらと茂みの方へ歩いていく。
「超能力者じゃないからね~!全部仮説よ??——容疑者は"若い女"。……ベテランの年長者ならいらない貝は最初っから、拾わないでしょ?バテちゃうし、集めてから吟味ってプレイングには効率よくサボりたい中高年の空気がないの!」
彼の頭の中では、すでに冷静な分析が始まっているようだ。
「浜辺から少し歩いた後で貝を取捨選択してる。そこそこ大荷物だったってことかもね~。じゃあ当然茂みでかがんだり手で避けたりし辛いよね?——若い女子の中肉中背、160cmくらい?……この辺の、高さで進んでく、と……」
私たちは茂みに入っていったゲンの姿を見守っている。
「はい。ピィンポ~~ン!見~つけた!若い女子の髪!」
そう言ったゲンの指先には、細い一本の髪の毛がつままれていた。ひぇ……見つけちゃったよ、この人…!?
「上出来だ。証拠品の毛髪を入れて……」
毛髪を試験管にいれた千空。
「1本でいいの?」
「そこら中、みんなで探すんだよ。できるだけ多くだ」
茂みをかき分けながら、私たちは手分けして証拠になりそうなものを探していく。
「そして、これを遠心分離機にかける!」
「え……遠心分離機?そんなものどこに……??」
「ンフ……ここに!」
コハクに視線を向ける千空。
「ん?」
そうして、コハクは試験管を手に取り、勢いよく振り回し始めた。
『……私だって、やろうと思えばできるのにな』
思わずそんなことを考えてしまう。私は基本的に力仕事を任されることはない。今回、船に乗る時はパワーチームの一員として選ばれたけれど……。
「人力の遠心力で成分ごとに層をわけて調べる。特に見てぇのが、花粉の層だ」
そうして登場したのが、顕微鏡だ。
「これは——!」
顕微鏡を覗き込んだ先に見えたものはユリの花粉だった。
「ユリは沿岸には生えない。つまり容疑者な内陸の山を生活圏にしてる!!」
「ハ!すさまじいな。科学捜査とは…一見名にもないところから、追いつめていく。千空とゲン、君らが組んだ追跡からは誰1人逃げられなさそうだ…!」
コハクにうんうんと同意する。
私はコハクに向かって、うんうんと頷く。
本当にその通りだと思う。悪いことをする気はないが、今の光景を見てしまったせいでああ無理だな、と悟った。
「あとは簡単ね。この進行ルートを山方向にひたすら伸ばせば……」
「そこまで分かれば、あとは私の戦場だ!スピードと視力で闘えるなら逃しはしない!!」
私たちは急いで走り、先を行くコハクに追いついた。
『女子だ。しかも若い』
目の前の姿を見ながら、私は首を傾げる。正直、全然"中肉中背"には見えない。……むしろ、かなり細いような気がするんだけど……?
もしかして……私の方が太っているということなのだろうか??
千空達のお父さん達が不時着した。それは飛行士達と宇宙船ソユーズが眠る島だ。
宝島の宝箱には白金(プラチナ)が眠っているそうだ。
その鉱石の宝箱は宇宙船ソユーズで、ガッチガチの防御力。科学の結晶で大気圏突入の高温すら耐えまくる、最強無敵の箱らしい。
ふと、大事な話がある。と千空達の前に現れた男。——石神村出身の男は、「本当は石神村の人間じゃない」と言う。
なんでも幼い頃に一人生きて浜辺に流れ着いたのを、不憫に思った村人——つまり、その男の里親が自分の子と嘘ついて育てられたようだ。
本当の名前は石神村じゃ浮きすぎるから、ずっと名無しで生きてきたそうだ。
「オレの本当の名前はソユーズ。……案内できるかもしれない。ソユーズの故郷。宝箱にソユーズの在処に……!!」
ソユーズが話をしたことで確実にわかったことがある。——それは、宝島は今、無人島じゃないってことが。
そんな時、突然嵐がやってきた。激しい雨と風が吹き荒れる中、私たちはその悪天候を利用して、島の人々に気づかれないように近づいていった。千空は科学の知識を使い、荒れた海の中でも進むべき道を見極め、私たちは岩陰へと船を隠した。
そのおかげで、島の人々に見つかることなく、無事に宝島へたどり着くことができた。
「はっはー!見事に晴れたな。ギリギリ岩陰に滑り込んだぞ、皆の全力の操船の成果だ!全員に1万ドラコずつ、ボーナスをくれてやろう…………!!」
『……えっ、お金…!?欲しい!!!』
ドラコって、円に換算すると一体どれくらいの価値になるんだろう……。欲しいなお金……。
「ククク。んな、チンタラ遊んでるヒマねぇぞ。長居すりゃ見つかるからな。とっととソッコーで——偵察隊出発すんぞ!」
1万ドラコあれば、何が買えるだろうか……?
「大人数で突入すれば即戦争だ。違うか!?。メンバーは必要最小限で行く!」
「あ"ー、この宝島に来た目的。忘れんじゃねぇぞ。テメーら」
スイカちゃんたちがこの前売っていたわたあめは、確か100ドラコだったはず。なら、1万ドラコあれば……あのわたあめが100個も買える!
「お目当ては石化復活液無限生産マシン。プラチナを宝箱からゲットする!!とっとと見つかりゃそれでよし、でなきゃ島民から場所聞き出すっきゃねぇ、」
?そう考えると、なんだか急に大金を手にしたような気分になってくる。
「フゥン、つまり偵察隊のメンバーは5人!!千空、ソユーズ、コハク、ゲン、アリババだ!」
『………………は?』
名前を呼ばれて、ようやく我に返る。……しまった。話の内容、何ひとつ聞いていなかった。
偵察隊の一員に選ばれた私は、他のメンバーと共にボートを降り、崖へと向かい、慎重に崖を登り、島へと足を踏み入れた。
「羽京は同行しないのか?私の視力だけでなく、彼の聴力も欲しいが」
「はぁはぁ……」
息を切らす千空。この人本当モヤシだよな。体力づくりでも手伝ってあげるべきか……?
「なんかソナーとにらめっこしてたよ~!海底見たいとか」
『はぁ、……1万ドラコォ』
「アリババちゃん…」
隣で呆れ顔しているゲンなんて知らないんだからな。
***
「?船の方で何か光ったような気がしたのだが、気のせいか……」
そうコハクの呟く声に、私は思わず船の方へ視線を向ける。
「電波悪!全然リームー。なんか電話かけても出ないの、みんな」
まさか、何か起きたのではないだろうか。——そんな嫌な予感は的中する。
「千空ちゃん、コハクちゃんは先行ってて~。ちょい高いとっからかけてみる。」
『私もゲン達のほうにいるな』
「ああ」
千空とコハクから離れ、私はゲンとソユーズを連れて、少しでも高い場所——崖の上へと向かい、登った私達は電話をかけようとした時——ふと、先ほどのコハクの言葉が頭をよぎった。
『ソユーズ。さっきコハクが、気になること言ってたから、いちよう船の方確認してみないか?』
「そうだね」
「しもしも~」
「こ、こっからなら、直接船の様子が見えそうだ……!!」
望遠鏡を手にしたソユーズが、船の方へと視線を向ければ——
「うあああああああっ!!」
突如悲鳴をあげるソユーズ。
「?どしたの、ソユーズちゃん……!」
『!?』
「船になんか——」
望遠鏡をソユーズから受け取った、ゲンが覗き込めば、彼も悲鳴をあげた。嫌な予感を察した私は、震える手で望遠鏡を受け取る。
そして、同じように船を覗き込んだ瞬間——
『……みんな、石になってる……!』
嘘だよな……!?そんなはずがない。ついさっきまで、みんな普通に動いて、言葉を交わしていたのに……。どうしてこんなことに……!!
考えている時間なんてないんだ。
『早く、コハクたちに伝えよう……!!!』
***
皆が石化してしまった。そう伝えた瞬間、コハクは一目散に駆け出そうとする。しかし、コハクの足には、いつの間にかロープがくくりつけられていた。そのロープの先は、ゲン自身の腕へとしっかり結ばれている。
「絶対そう来ると思った。コハクちゃんは聞くなり突撃しちゃうでしょ」
「いつの間にロープ……」
『流石ゲンだ……』
「い~~い仕事してんじゃねぇか、インチキマジシャン」
「なぜ止めるのだ。直ぐに皆を救出に行かねば!!」
「船の全員でもやられちゃってんのよ!?今俺ら5人だけで慌てて駆けつけたって、そこに敵がいたら全員石化。はい、ゲームオーバ~!じゃない!」
「ダ……ダメだ!! 近付いちゃ……」
コハクとゲンが言い合う声を聞いていたソユーズは、思わず頭を抱え、焦ったような声でソユーズは二人に向かって叫んでいる。
『!?』
「船の皆が石化したのを見て、浮かんだんだ、トラウマみたいのが、赤ん坊の俺が島を出た時——逃げてたんだ、人を石化させる、何かから……!」
『それは……』
少しずつ、ソユーズは昔の記憶を思い出そうとしているのだろう。それにしても、赤ん坊だった頃の記憶があるなんて……。それって、よく考えたらものすごいことなのでは……?
「ぜ、……全部覚えてなくてごめん。一度みてるはずなのに」
「赤子の頃の話だろう!?」
「むしろ、ちょっとでも記憶あるのゴイスーすぎるでしょ……」
「い~や値千金の大ヒントだ。やるじゃねぇかソユーズ、テメー!」
「つまり今この宝島には、俺ら科学王国を全員石化させようっつう敵勢力と——その石化から逃げようっつう味方勢力がいる……!!!」
「この島を知る住民を一人でも味方につければ、宝箱の場所を聞き出せるかもしれん!!そうすれば船の皆も世界人類も全員復活させられるぞ……!!!!」
***
人の痕跡らしき物——死んだ貝や食べづらい貝だけを選んで捨ててあるのをみつけた私達は、科学を使い、居所を探すことになった。
始めに接着剤——シアノアクリレートを火にかけて沸いてきたら熱で貝に吹きつけて、ブラックライトで照らすと証拠が光って浮かんでくる。
「!……指紋」
「触れた指の跡が見えるのか!?何者かが——」
「形で類推できるな、——女、中肉中背」
『……この世界で犯罪起こしても千空からは逃げられなさそうだな…』
思わず、そんなことを考えてしまう。
……中肉中背ということは、私と同じくらいの体格をしている子なのかもしれない。
「接着剤で分かるんだ。ゴイス~ね、科学刑事」
「アホみたく感心してねぇで、犯人像プロファイリングでもしてろ。テメーの仕事だ。メンタル刑事」
「メンタル刑事!俺のこと??」
そう言われたゲンは、ふらふらと茂みの方へ歩いていく。
「超能力者じゃないからね~!全部仮説よ??——容疑者は"若い女"。……ベテランの年長者ならいらない貝は最初っから、拾わないでしょ?バテちゃうし、集めてから吟味ってプレイングには効率よくサボりたい中高年の空気がないの!」
彼の頭の中では、すでに冷静な分析が始まっているようだ。
「浜辺から少し歩いた後で貝を取捨選択してる。そこそこ大荷物だったってことかもね~。じゃあ当然茂みでかがんだり手で避けたりし辛いよね?——若い女子の中肉中背、160cmくらい?……この辺の、高さで進んでく、と……」
私たちは茂みに入っていったゲンの姿を見守っている。
「はい。ピィンポ~~ン!見~つけた!若い女子の髪!」
そう言ったゲンの指先には、細い一本の髪の毛がつままれていた。ひぇ……見つけちゃったよ、この人…!?
「上出来だ。証拠品の毛髪を入れて……」
毛髪を試験管にいれた千空。
「1本でいいの?」
「そこら中、みんなで探すんだよ。できるだけ多くだ」
茂みをかき分けながら、私たちは手分けして証拠になりそうなものを探していく。
「そして、これを遠心分離機にかける!」
「え……遠心分離機?そんなものどこに……??」
「ンフ……ここに!」
コハクに視線を向ける千空。
「ん?」
そうして、コハクは試験管を手に取り、勢いよく振り回し始めた。
『……私だって、やろうと思えばできるのにな』
思わずそんなことを考えてしまう。私は基本的に力仕事を任されることはない。今回、船に乗る時はパワーチームの一員として選ばれたけれど……。
「人力の遠心力で成分ごとに層をわけて調べる。特に見てぇのが、花粉の層だ」
そうして登場したのが、顕微鏡だ。
「これは——!」
顕微鏡を覗き込んだ先に見えたものはユリの花粉だった。
「ユリは沿岸には生えない。つまり容疑者な内陸の山を生活圏にしてる!!」
「ハ!すさまじいな。科学捜査とは…一見名にもないところから、追いつめていく。千空とゲン、君らが組んだ追跡からは誰1人逃げられなさそうだ…!」
コハクにうんうんと同意する。
私はコハクに向かって、うんうんと頷く。
本当にその通りだと思う。悪いことをする気はないが、今の光景を見てしまったせいでああ無理だな、と悟った。
「あとは簡単ね。この進行ルートを山方向にひたすら伸ばせば……」
「そこまで分かれば、あとは私の戦場だ!スピードと視力で闘えるなら逃しはしない!!」
私たちは急いで走り、先を行くコハクに追いついた。
『女子だ。しかも若い』
目の前の姿を見ながら、私は首を傾げる。正直、全然"中肉中背"には見えない。……むしろ、かなり細いような気がするんだけど……?
もしかして……私の方が太っているということなのだろうか??
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