迷宮攻略よりも文明復興の方が難しい
『そういやあ、スイカちゃんも行っちゃいましたけど、大丈夫なんですかね?』
皆、当たり前のようにスイカちゃんを見送るので一人だけびっくりしてしまった。
「ああ……きっとスイカは皆の役に立ってくれるだろう」
「そうね…!」
『なとりさん。あるみさん……!』
千空達が司帝国の元へ向かい、数日経つが、私たち居残り組は比較的平和に過ごせていた。今頃千空達は闘っているのかと思うと、不安で胸がいっぱいだ。怪我していないと良いんだけど。彼らのことだから、死人はでていないと思うけど。
まぁ、そんな平和な日々も、たった今司帝国の敵が数人現れ、崩れてしまったのだけれども。
「おいおい!ジジイとババアとガキしかいねぇじゃねぇか!!」
『皆さん、家の中にいてくださいっ!』
「アリババくんがっ!!危ないよっ!!」
『すずちゃん。私は大丈夫!強いからな!!…………あるみさん。すずちゃんをよろしくお願いします』
「!…うん」
「ええ」
私の元へ向かおうとする、すずちゃん。あるみさんに彼女のことを頼む。
「アリババ! 大丈夫か!?」 「気をつけろ!!」
心配した村人たちが、次々と家に入らず集まってくる。
『危ないから中に入っていてくれ』って言ったんだけどなー。
……ま、大丈夫だ。私が皆を守るんだからな。
「おっ、いい女がいるじゃねーか!!」
「おい!!テメェ!千空はどこだっ!?!?」
『さあな』
そう言い。私は宝剣を握り、一歩前へ踏み出した
***
それは魔法のようだった。
独特の構えをするアリババ。
左手を背中へ回し右手に剣を持ち、構えている。しなやかに動き、小柄ながらも大柄な男達の間に入りこむ。なるべく傷つけず、あっという間に一人、二人と倒していく。
とうとう立ち上がっている人物は一人だけになった。
『おいおいこんなもんかよ』
「なんでだ!?なんで当たらない!?——俺は剣道の全国大会で準優勝したのに、なんでお前みたいな女に……!!!」
『…それはな、肩に力が入りすぎだ。先生に習わなかったのか?』
——それに今、手にしている武器は竹刀じゃないだろ。と、冷たい目で敵を見つめるアリババ。
「くっそ……!!!」
そう言って、倒れ込んだ敵の男を見下ろすアリババ。
『落第点だぜ』
男にはアリババの背後に、まるで王様が立っているかのような気配を感じた。その姿は見えないのに、不思議な威圧感があった。
倒れた彼らを縄で木に縛り付け終われば、集まる村人達。
「アリババ。ありがとう……!」
「アリババが、いなかったら私たちは今頃……」
「か、かっこよかったよ!!アリババくん!!」
『あ、ありがとうな』
照れくさそうに頬をかくアリババ。それを微笑ましそうに見守る村のお年寄り達。
「すずはアリババと出会ってからよく笑うようになったわね」
「千空もそうだけど、アリババにも感謝しないとな…」
ジリリリと石神村に電話音鳴り響く。
『もしもし』
「——おう、アリババか?」
『クロムか!………ど、どうだったんだ?勝ったのか!?』
「ああ!——科学王国の勝ちだ!!」
『勝った……?』
そうか、 ……!!勝ったのか。私たち。
「そうか——勝ったか……!そうか!!」
「みんな無事なのね??」
「誰も死んだりしてないのね……!?」
「…………ああ。俺ら村の連中はな——」
なんて問いかけに、クロムはそう答える。
なんだその言い方、まるで司帝国側に死人がでたみたいな言い方してないか?
その後すぐに「いや!!誰一人死んでねぇ!!無血開城っつったんだ!千空が絶対死なせねぇ……!!」なんて言うんだから、ほぼ確定じゃないか。
そして私もクロムに重要な話をしよう。
『そっか。……クロム、実はさこっちにも司帝国の敵が来てさ、捕まえたんだけど、…身柄はどうすればいいか?』
「おう、?………………はぁ!?!?誰も怪我してねぇか??」
「ええ、私たちはアリババのおかげで無事よ!」
『ということだから、5人いるから引きずってそっちに連れてってもいいか?』
「おーちょっと、千空呼んでくる」
クロムが千空が呼びに言っている最中に、あるみさんに「アリババ…皆のこと心配で助けに行きたかったのに、私たちのところにいてくれてありがとう」
『いえ。あるみさん達のこと守れてよかったので良いんですよ』
——もちろん、もどかしい気持ちもあったが、あるみさん達のおかげで、千空やクロム達を信じる——仲間を信じるって気持ちを改めて思い出せた気がする。「アリババ」これって以前千空に言われた自分で「アリババ!!」勝手に解決してるに入るのか…???うーんと考えこんでいいれば、あるみさんに肩を揺すられる
『へ?どうしました?』
「どうしましたじゃねぇわ!アリババテメー!」
『あ、なんだ千空か』
いつの間にクロムが千空を呼びに来てくれていたのだろう。
「は?」
『クロムからきいてると思うけど、司帝国の5人組連れてそっち行ってもいいか?』
「ああ」
『よし。じゃあいまから行くな!』
と、千空の返事も聞かずに電話を切った。
それでは、今から出発ということで、向かおうではないか!………………と村から歩きだしたは言いものの、
『司帝国ってどこ???』
「あ、姉御!!俺らに任してくだせぇ!!」
「そうです!アリババの姉御!!」
「司帝国の道なら俺らわかりやすぜ!」
『その姉御ってやめてもらえないか?アリババにしてくれよ』
「「「「「アリババさん!!」」」」」
『いや、呼び捨てじゃねーのかよ!?』
思わず司帝国5人組にツッコミをいれてしまう。
「俺らがアリババさんを呼び捨てにするなんて恐れ多い……!」
「貴方のあの強さに惚れました!!」
「それに決めたんです!」
「俺らはアリババさんの盾と剣になるって!!」
『既に剣はひとつ持ってるから十分だ』
「は?誰ですかソイツは!?」
『いやいやどう考えても今俺が持ってる剣に決まってるだろ!?人間じゃねーよ!!』
急に物騒な顔するから怖いなこいつら!?5人共同じ顔してたぞ??
***
私は帝国5人組に司帝国の元へ案内してもらえば、説明を受けた。
どうやら司帝国のリーダーさんが怪我したらしい。
そうだったのか。だからクロムは電話であの反応だったのか。
現在は船を造るらしくて、既に造りはじめているようだ。
『なんか色々と急展開でついていけないんだが???』
私ってば完全に置いてかれた人間だよな!?
いやー石神村の皆が心配なので、また戻るから対して手伝えないかもしれないんだよなぁ。
なんて辺りを見渡していれば、優雅に過ごす男性を発見した。女の子に扇子で扇がせている。
『え、なにあれ……』
とりあえず見なかったことにしよう。
くるりと向きをかえれば、スイカちゃんと見覚えない女の子がわたあめとラーメンを販売しているようだ。
「あ!アリババなんだよ!!」
「アリババ??」
『こんにちは、私はアリババだよ。……今、2人は何してるんだ?』
「うちは未来!獅子王未来!今お手伝いしてたんよ!」
「そうなんだよ!」
『未来ちゃんって言うんだね。そうか、……そのお手伝い——』
「あのぉ」
サポートしてもいいか?と聞こうとする前に見知らぬ男性に声をかけられた。
『はい?』
「あ、あなたをモデルに漫画を描いてもいいですか!?」
『は!?』
思いがけない言葉にギョッとしてしまう。周囲もなんだかザワついているようだ。
ん?この人よく見ると、漫画を描いて販売しているようだ。
「だめですか……!?」
『…………千夜一夜物語の"アリババと40人の盗賊"って知ってますか?』
「!…もちろんだよ!!」
『……その物語のモデルならいいですよ。ただし、——俺を男として描いてくれるなら、の話ですが』
あの話は物語に出てくる人物がかなり死亡する話だ。殺され方も残酷なので、個人的には子供受けが悪そうな印象だ。なので漫画家の方は書かないだろう。——そう思っていたのに、
「わかった!君の条件に従おう!!」
『あ、はい』
どうやら作戦失敗だったみたいだ。
だが私の男体化つまり、原作ババを描いてもらえるかもしれない……!!!その漫画欲しいぞ…!!
