迷宮攻略よりも文明復興の方が難しい
そうしてスイカちゃんとマグマとクロムもどってこないね、と話していれば
戻ってきたのだ。それもマグマ一人で、
「—————クロムが、!」
「司帝国に捕まっちゃったんだよ……!?!?」
マグマは、息を切らしながら水をがぶがぶと飲んでいる。
………………もしかして、ゲンとマグマを逃がすためにクロムが囮にでもなったのか……?
そう思った次の瞬間、コハクが一人飛び出してしまった。
「もしかして、一人で助けに——」
「なんちゅう即断即決」
「止めろーコハクをー!!」
「んなこと言ったって。コハクちゃんのスピード止められる人なんか村に誰も………」
『っ任せてくれ!』
そう告げて、久しぶりに全速力のダッシュを決める。
銀狼side
「任せてくれ!」そう告げると、アリババちゃんは勢いよく駆け出した。
いや、さすがにアリババちゃんでもコハクちゃんには追いつけないんじゃ……?
そう思っていたのに、
「は!? アリババのやつ、あんなに速く走れたのかよ!?」
「流石アリババだ。」
村人たちは驚きの声を上げ、金狼は尊敬の目でアリババを見つめている。
コハクちゃんも、自分の速さについてこられる相手がいることに驚いているようだった。
そして、あと少しでアリババちゃんの手がコハクちゃんの肩に届こうとした、その瞬間――。
「戻れ、雌ライオン!!」
「雌ライオンじゃない!!」
千空の一言でコハクちゃんは止まった。
「「「「あ、止まった。」」」」
だけど、勢いよく走っていたアリババちゃんは急には止まれない。
『うわああっ!』
ズザザザザーッと効果音がするんじゃないかと思うくらい盛大にすっ転んでいた。
『〜っ、いたたぁああ〜!!!』
う、うわぁ…痛そうだよぅ。
「だ、大丈夫!?」
「大丈夫なんだよ?」
転倒した私を心配そうに見つめるすずちゃんと、スイカちゃん。
全身についた土汚れをはたき、立ち上がれば、
コハクがコクヨウさんに羽交い締めされ、動けないように押さえつけられている。
ターコイズさんが「バッッカじゃないの、コハクあんた!敵陣に一人で乗り込んでどうにかなるわけないでしょ!!」と呆れた視線を送る。
「ハ!ならどうしようというのだ。クロムを見捨てるのか!?」
「ククク。一人じゃ無理なら全員で行きゃいいだろうが」
「……!!!それって……」
『!、ふ、……そうだな!皆で助け合えば、!!』
千空ならなんでもやりとげてしまいそうな気がする。
思わず自然と口元が緩む。
「科学王国、全軍出撃だ……!!」
※この後転倒した際の怪我の手当てをしてもらった。
「ゴイス~~~もしかして科学グッズも全部もってくの?」
「それ無きゃ科学王国に100億%勝ち目ねぇだろうが」
「でも重すぎなんだよ…」
「さすがに運べないぞ、どうする??」
科学王国全軍出撃だと行っても、一体どうするつもりなんだと千空に問いかければ、「自動車を作る!!!!」と宣言した。
「出・た・よー!ジ~マ~~で????」
「ククク。唆るだろ男子的に」
「いやまぁ唆るけども、楽しそうね千空ちゃん。こんな状況でも…」
『…自動車って作れるんだな???』
「……アリババちゃんの世界でも自動車ってあったの?」
『え…………?それに近しいものはあったけど。……どうして俺が異世界から来たことをゲンが知ってるんだ?』今まで前の世界のことを質問してくる人物は限られていたので、ゲンから歩み寄られていることに驚愕してしまう。
「千空ちゃんやクロムちゃん達と話してるのを聞いたのよ!」
『そうだったのか…!』
そうか、なら納得だ。うんうんと頷くゲンと共に楽しそうに設計図を書いている千空を見守る。
「テンション爆上げだね~。千空ちゃん」
「ククク、そりゃ車作んだからな。ミニ四駆やらプラモやらのデカい版だぞ!」
そうして完成させたのは蒸気機関。
村人達は初めてみるものに衝撃を受けているようだ。
マグマなんて蒸気機関相手に勝負を挑み、止めようとしていたが、怪我していた。そりゃあ、そうだ!!!
「バカかテメーは。人力で蒸気機関が止まるわけねぇだろが」
『ははは…』
「まるで生き物のようですね…!」
「ああ、すさまじい怪力の…」
「ゴリラみたいなんだよー!!」
「コハクちゃんよりさらに!」
「……」
わぁと感心するルリと金狼とスイカちゃん。
銀狼がコハクのことをからかっていたのかしらないが、コハクは銀狼の背後に立ち、拳骨を落としていた。
「こ、こういうのはクロムの役目じゃないかぁ。早く戻ってきてようら。クロム、……!」
「これで皆クロムを助けに行けるのだな!!」
「ああ、とっとと完成させて全軍出発すんぞ——科学の怪力モンスター!蒸気機関(スチーム)ゴリラ号だ…!!!!」
ゲンが運転免許所持していたらしいので、運転することになり、試運転しているようだ。
私は子供チームに混ざり竹の六ツ目網みを手伝っている。蒸気機関から自動車にどう変わるのだろうか…。
なんて思っていれば、村のおじいさん、おばあさん——お年寄り達が隅っこで話し合っている様子だ。
『どうしたんですか?……なとりさん、あるみさん』
「ああ、アリババか!……実はな——————」
「いつでも出立できるぞ!クロム救出へ、全軍出撃だ!」
「おーし車に科学道具と歩くの邪魔くせぇジジババだけ乗り込め!!!」
「——千空、やはり私たちは行けないよ」
「「!?」」
「よく考えてみたのだよ。いくら科学の荷物が多くても何往復もする手はあった。では千空達が自動車とやらを作ったのはなぜか??——私たち長距離移動に耐えられない者のためだ。もう分かっているのだよ、千空」
「…………関係ねぇよ、そんなもん。ただ科学工作が、面白ぇからに決まってんだろが」
「あたしらだけ石神村に残るよ、これから皆で闘うってのに足手まといになりたくないもの」
「その分科学道具も多く運べるじゃあないか」
「しかし、それでは、司軍の後詰めに襲われたらどうするのだ!?」
「否応なしに全滅だぞ、……!!!」
なとりさんと、あるみさん達が心配なのか、コハクと金狼が不安げに、瞳が揺れている。
『——いや、大丈夫だ』
「どういうことだ?アリババ」
『コクヨウさん、……俺はここに残って、皆さんを守ります』
「「「「!?」」」」
「だからそんなこと心配していないよ。なぜなら——その前に必ず皆で司帝国に勝ってくれる。そうだろう?」
『それに皆なら大丈夫だ!なとりさん達、子供達は皆、何があっても俺が絶対守りきる。……背中は任せてくれ!』
なとりさんの隣に立ち、千空の正面に立つ。そして拳を差し出すと、千空も「ククク」と笑い、応えるように拳を突き出し、軽くグータッチを交わした
「ああむろんだ!!皆で闘い、必ずここに戻ってくる、科学王国の勝利の旗と共に…!!!!」
