迷宮攻略よりも文明復興の方が難しい

「さ〜て、最初のハードルはこの完成したケータイを大樹たちに運ぶことだ!実行部隊は3人!!」

「エンジニアにクロム」
「運搬にマグマ」
「ともかく運びゃいいんだな?」
「案内人にゲン!!」
「スパイやってる大樹たちにバカでかいケータイをこっそり届ける。ククク楽なミッションじゃねぇぞ……!!!!」
「ハッ!ひとつ大きな問題があるな。司軍の監視役ほむらだ」
『…』
場所が分かれば捕まえられるんだけどな。だが問題は地上戦じゃなきゃ無理ってこと。確か放火犯、……ゲフンゲフンほむらは体操をやっているらしく体が柔らかいようだ。ここにモルジアナでもいてくれたら、即解決なんだけど、………………うん、私は空を飛べません!!!!以上。
 「枝の落ち具合からして、あの丘付近で監視しているのは予想がつくのだが…」
「ええ見えるぅ??」
「わけがなかろう……」
『どんだけ視力いいんだよ?コハクのやつ…』
「いいセンだろうな。こっから司帝国までの直線上だ」
「クロムたちキーマン3人が大量の荷と共に司帝国へ進軍すれば、監視役が追わんわけがないな」
「先制攻撃の企みを察知されるのはもちろん、最悪ケータイの存在が司にバレてしまう。そうなれば全ては終わりだ!」
「真夜中に出発するってのはぁ……?」
「真空管とか運んでんだぞ?暗闇でコケただけで詰みじゃねぇか」
「スピードで撒けないか?」
「この大荷物見ろバカ!」
「ちょーっと無理かな~。ほむらちゃんはコハクちゃんくらい速いから」
「あ"ー問題ねぇ」
「科学のびっくりどっきりアイテムでほむらを逆サイドにひきつけて、その隙に本隊が出発する!!」
『!』
「水に電気を流すと水素&酸素がブクブクわいてくる。この混合ガスを爆鳴気っつってな。鹿の膀胱とかのバルーンに詰めりゃ。爆発しても、威力はガスだが、音だけはアホほどでけぇ」
なるほどな。たしかに、そうすればバレなさそうだ。
つまりは音爆弾。 




あちらこちらに音爆弾を設置し、爆発させた。
「VS司帝国本土決戦。STONE WARSの開戦だ……!!」 
クロムたちは音がなった方の逆サイドへと走り出した。
 
私は、天文台におり、スイカちゃん達と共に望遠鏡でほむらを探している。
「ほむらが現れるとすれば、あの丘近辺と音爆弾エリアを結ぶ直線上に——」
「!!チラッと見えたんだよ!急いで動く人影が……ー!!」
そうスイカちゃんが言えば、コハクは木に飛び移りながらほむらの元へ向かっていった。 
『は、はやっ!?』
 あの俊敏な動き、私もできるようになりたいな。
「もう捕まえに行っちゃったんだよ!」
「すさまじいの~コハクちゃんは、行動力と決断力が」
コハクが村方面にほむらを追い込んでくれたのか、
「こっちに来たんだよー!」
 スイカちゃんが大声で叫ぶ。
「隠居と子供は待避!残りは総出で包囲だ!!」
私はコクヨウさんの指示に従い、天文台から降り、皆の元へと走る。ほむら達へ視線を向ければ千空がなにかを空中に放り投げていた。
「ククク気になんだろ?目ン玉ひんむいてジ~~~ックリ眺めていいぞ。科学のびっくりどっきりアイテムLv2。閃光玉だ…!!」
そう千空が言えば、眩しい光に包まれる 
「眩…!!」
「!!!」
 光が消えれば、千空がほむらを組み伏せていた。
「「「おおおおお!!!」」」
『…よっし!!』
「パワーだけはミジンコの千空が!」
「珍しい。やるな」
「カッコいいんだよー!!」

「ヘンなとこ触らないで」
「クククその手のこ芝居は相手見やがれ。科学文明作った後ならいくらでも純情少年してやっからよ」
「……」
むすっとした表情を浮かべるほむら。意外と表情がでる子なんだなと観察していれば、ほむらは千空をひっくり返し、拘束が緩んだ瞬間、立ち上がった。
「ぜんぜんダメだった——!!」
「ミジンコパワー……」
『え……』
 あまりの力のなさに引いてしまう。そりゃあ以前私が千空の背中を押した際に「テメーゴリラかよ(意訳)」と言われたワケか。納得したくないけど納得した。
 
まぁ、そう考えていたのがいけなかったのか、次の瞬間にほむらはもう動いていた。
体操選手のようにしなやかな動きで、村の住民の間を通り抜けていく。
「いや、パワーの問題ではない」
「どうなっているこの女の体術…………!?」 
咄嗟に足払いをすれば、ほむらの重心がぐらつくが。地面に触れるより早く、彼女は体制を戻しており、木の上へと飛び上がる。
「しまった。逃げられたか……!」
『クッソ、だめだったか……!!』

 先程の閃光玉のダメージがある様子のコハク。
「目が良すぎると悪いことをよろしくもあるの…」
 
木の上から私達を見下ろすほむら。
「金狼、銀狼、アリババ、コハク、スイカ、コクヨウ、ジャスパー、ターコイズ、マントル、アルゴ——」
「なんでみんなの名前知ってるんだよ……!?」
「それだけジックリバッチリ、ワシらのこと監視されちゃってたってことっぽいの〜」
「……」
「クロムとマグマとゲンは?勢揃いなのに3人だけいない。不思議。————、どこ??」
少し考えこむ様子のほむらは、ハッとしたような表情を浮かべ、即座に木に飛び移りながら移動していった。

 
『……(バレたな、)』
「気付かれたな、恐らくは。クロムたちケータイ部隊の動きに」
「マズイよぅ、これ……!!」
「クゥ〜〜ン……」
ほむらの痕跡を犬のチョークに匂いを嗅がせるが、辿るのは難しそうだ。

「クロム、先発隊は——司帝国本陣にまっすぐ進軍中だ。ほむらはそれを追っている。ケータイを発見されるのは時間の問題!破壊もしくは司に報告されるだけでも終わりだ!!」
「オホォ〜やめてちょ。あんなに頑張って作ったのに……」

 どうするのか、と焦っていれば、千空が「最終兵器のLv3が火ィ吹くな!!」と言い、取り出したライトを照らせば、青色の光の痕跡が現れた。ほむらの通った道筋だ。スイカちゃんがどうやってこの光が見えるのか?と問えば、以前スイカちゃんが発見した青い宝石の粉末を組み伏せた際にほむらの手足に付着させたようだった。
 だが、あれは朝陽の直前に一瞬だけ光るハズだったよな?と思案していれば、紫外線——それを人工的に照らす科学の灯り。ブラックライトを使用していたから見えているようだ。
 
ケータイを運ぶクロムたちとそれを追う我々で電話で連携をとり、ほむらを挟み撃ちすることに成功し、彼女を捕まえることができた。








「よぅ」  
「千空ーーーーー!!!!!」
「オホー!ついに繋がっちゃったぞい。携帯電話ホットライン!!とんでもない距離で……!!!」
「この人があの噂の」
「大樹か……!!」
『…元気だな』
声量もすごいな。
 
「ククク。超絶懐かしくてお涙が出るな。アホほどデケぇその声もよ……!!——よぅ、デカブツ。ククク、あれからざっくり一年ぶりってとこか——」
「千空!俺は、俺は……。俺は千空……!!」
『……(この人めっちゃくちゃ俺は千空って言うな????)』
「俺は、千空ーーーーー!!!!!」
「お前は千空じゃねぇ。千空は俺だ。何言ってんだテメーはさっきから」
『~っ、ふ、ふはは、…!』
 千空の突っ込みが面白く、思わず吹き出してしまった。
「うう、すまん感極まりすぎてな…!!」
「一年でケータイまで、ホントに作っちゃったんだね。千空くん。あはは、もうすごすぎだよ。知ってたけど……!!」
女の子の声がするが、それは杠、という人物なのだろう。
 
「ついに繋がったケータイの感動にうち震えながら、100億時間ほど思い出に花咲かせてぇとこだがな!そう、堂々くっちゃべってもいらんねぇだろ?——要件だけ伝える。まずは一人!!司軍の奴を切り離して、理由なんざなんでもいい。ケータイの前に引っ張ってこい!詳細はそん時話す!」
「オホー、そんなぶっつけ本番でいいの?」
「というか、そうせざるを得ないのだ。おそらく監視がついてる以上」
「むしろ大樹テメーはなんも知らねぇほうがいい。妙話がでてもアホみたく信じてろ!」
「テキトーすぎるでしょら怒るよぅ、その大樹くんって人」
本当だよ、銀狼の言うことに納得してしまう。
『適当すぎんだろ…!?』
そんなんで大丈夫なのかよ!?と千空に視線をむけてしまう。

「……千空!一つだけ確認するぞ、……それが一番血が流れないんだな?」
「ああ。それが1番血が流れねぇ」
「よしわかった。千空お前がそう考えるのならば、説明などいらん!!」
 
「……1年離れていようとも、みじんも揺らがないのだな、信頼が。千空と大樹たちが司相手に生き残れた理由がわかった気がする」
『きっと、信じているんだろうな……!千空のことを』
「司軍総攻撃のタイムリミットまでもうあんま時間がねぇ、明日あたりゲンが戻ってくっから、ソッコーでミッション始めんぞ!…………ゲンたちからなんかメッセージたいてたか?」
「いや?何も無いな」
「ものすごく土深くに受話器が埋まってただけだぞ」

「……フム?それじゃあ下手したら見つけられんかったじゃないの、ゲンらしくないの……」
「なにかあったんだよ……!?」
『!!……なにもなければ良いんだけどな』
 とーってもいやな予感がする。









  




戻ってきたのはゲン1人だけだった。
「で?千空ちゃん。俺が口説く1人目の娘は誰……??」息を切らしながら、千空に問いかけている。
間に合ったんだな。あの例の作戦実行できるみたいだ。私もその場に残りたかったが、千空とゲンとクロムの内緒の作戦なんだもんな。空気の読める人間なので『スイカちゃん、クロムとマグマが戻ってくるから、あっち行こう』
「?、わかったんだよ!」
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