今世は同級生でした。
夢小説設定
この小説の夢小説設定山本紅葉(未変換の場合)
・楓原万葉とは前世夫婦関係だった。今世ではただのクラスメイト(?)になってしまった
・顔が万葉と似ており、血縁関係がないのにそっくり。
・仲の良い友人には幸せそうに笑うとよく言われる
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「お前、…っ今すぐ離れろっ!!!」
「そ、そんなこと言われても!わ、私だってまだ傷が癒えてないのっ!!」
「うっ、鍾離様の手を煩わせるなっ!!」
涙目で魈くんを睨み付ければ、たじろいだ様に見えた。
「離れろって、抱き付いているわけじゃないじゃん!!」
ちょっと距離が近いからって、そこまで騒がなくても…。これだから鍾離先生過激派は………。
「………そろそろ授業を始めたいのだが」
「も、申し訳ありません!」
「!、………すみませんでした!」
あー、あれもこれも全部スカラマシュくんのせいだ…!!
***
「はぁ」
「…どうした、パイモン?」
「はぁ」
「…おーい」
「はぁ」
「さっき渡しそびれたんだけど、クッキーいる?」
「ほしいっ!!!」
「いいよ」
「私にもちょうだい」
「うん!」
はい。とパイモンと蛍ちゃんに手作りクッキーを渡す。さっき空くんと綾華ちゃんにも渡しに行ったんだよね。
その後、ウェンティ先生と遭遇して、盛り上がっていたら、スカラマシュくんが現れたのだ。人の胸触ったからビンタしたら「殺す」とか言われたけど、謝罪したら「次はないよ」って言ってたから、いちよう許してはもらったのかな……?というか私の方も謝罪が欲しかったんだけど!?!?
「ありがとうな!」
「ありがとう」
ニッコリ笑顔なパイモンと蛍ちゃん。かんわいい。思わず2人を強く抱き締めてしまう。
「ううう…一生離さない」
「く、ぐるじいっ…」
「紅葉、パイモンが苦しがってる」
「あ、ごめん。かわいくてつい」
「オイラ達はぬいぐるみじゃないんだぞ!?」
「ごめんってば、……そういえば、さっきすごい溜め息ついてたけど、何かあったの?」
「えっ!?…あ、それは……」
ぐぬぬと頭を抱えるパイモン。何だ?何かあったのかな?
「きっとパイモンはこの前授業で渡されたプリントが書き終わってないみたい…」
「ああー、確か雷電将ぐ、…じゃなくて雷電先生の?」
「そ、そうだ!!助けてくれ紅葉!!」
「好きな和歌をプリントにまとめるだけだったよね?……私の写すのでもいいけど、同じ内容だと先生にも写したのバレちゃうよね…」
「ちょ、ちょっと参考にするだけだから…!!」
「はい、どうぞ」
バリバリ全部写してるじゃんか!?
私の選んだ和歌はあんまり選ぶ人いなさそうだから、写したって即バレそうだなぁ。
「なになに、……"忘らるる身をば思はずちかひてし人の命の惜しくもあるかな"…どういう意味だ?」
「それは…」
「"忘れ去られる私の身は何とも思わない。けれどいつまでも愛すると永遠の愛を神に誓ったあの人が、神罰が下って命を落とすことになるのが惜しまれてならない"…といったところであろうか」
「流石万葉。よく分かったね」
私の代わりに和歌を訳した万葉。いつの間にそばにいたの?
「…何故この和歌を?」
「深い意味はないよ。…ただとっても稲妻らしい。って思ったからかな」
きっと万葉は永遠の愛を神に誓うことなんてない。だが、何故だか自分でもよくわからないが印象に残った歌で、つい選んでしまった。心配しているのか、それとも皮肉なのか…。読みようによって解釈のしかたがかわるといったところか。
「紅葉ってば、深いな」
「それが言いたいだけでしょ。パイモン」
ジト目でパイモンを見る蛍ちゃん。
万葉は手を顎に当て、何やら考え事をしているようだ。
「そろそろ授業始まるけど……パイモン写し終わった?」
「ゲッ」
まだ写し終わってなかったのか。
結局、雷電先生にパイモンがプリントを写したことは即バレしていた。
***
「ずっと前から好きでした。付き合ってください!」
「……………ごめんなさい」
「そっか。…ありがとう」
それじゃあ。と教室から去っていたクラスメイト。名前は覚えていないけど平蔵と声が似てるなと認識していた彼。
校門の前で蛍ちゃんとパイモンが待ってるから、はやく行かないと。
「…」
「か、万葉?どうしてここに…?」
教室から出れば廊下には万葉がいた。気まずそうな表情を浮かべている。
「せ、拙者は忘れ物を取りに……」
「そっか。…じゃあね」
「待ってくれ」
立ち去ろうとすれば、万葉に腕を掴まれた。
「どうしたの?」
「拙者達、昔どこかで会ったことはこざらぬか?」
「!、…いや、ないと思う」
「……そうでござるか」
「うん。…蛍ちゃんとパイモン待たせてるから行くね」
最後にチラリと盗み見た万葉の表情はどこか悲しそうに見えた。
それから数日後、蛍ちゃんと万葉別れた。と風の噂で知った。