今世は同級生でした。
夢小説設定
この小説の夢小説設定山本紅葉(未変換の場合)
・楓原万葉とは前世夫婦関係だった。今世ではただのクラスメイト(?)になってしまった
・顔が万葉と似ており、血縁関係がないのにそっくり。
・仲の良い友人には幸せそうに笑うとよく言われる
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「君、………女装する趣味なんてあったんだ」
「何だコイツ」
「はぁ?」
「…」
うわぁ、なんだか面倒くさそうなやつにからまれてしまった。
放課後、担任である鍾離先生に職員室に集めたプリントを運んで置いてくれないか?と頼まれたので職員室に届けた帰りに起きた。
「それにしても、……ずいぶん趣味が悪いね」
品定めするかのような視線を向け、私に趣味が悪いなと宣言する男。おい、なんだとコラ、ブスって言いたいのか??
そんなこと言うお前はどれだけ自分の顔に自信があるんだ?。私はじっと男を観察すれば、センター分けで、枝毛一つない艶のある髪に、ぱっちりと大きくつり上がった、猫の様な瞳をし、生意気そうな顔をしていた。……顔は整っていると思うけど、万葉には負けるな。こんなやつそこら辺のモブにぐちゃぐち、
「今、気色の悪いこと考えていなかった?」
いかにも不愉快です、といった表情を浮かべる男。
「さぁ、なんの事やら」
その後なんやらブツブツと文句を言っていたが、満足したのかしばらくすればいつの間にか目の前から消えていた。
「…何だったんだ、あの人」
***
「やぁ、紅葉。万葉は元気?」
「皮肉ですか?…ウェンティ先生」
「まさか!…いやぁ、蛍と万葉が付き合うなんて思わなかったなぁ」
"あんなに君に対して一途だったのに"
「…それは過去の話ですよ。それに好きだと伝えたんです」
ふと数日前のことを思い出す。あれから蛍ちゃん経由で何度か会話したが、いつも通りの様子だった。なんだ、ちょっと意識してたの私だけだったんだな、と思った。
後、私の万葉の呼び方が楓原くんから万葉に変わったことに想像以上に周囲が驚いていた。そんなに私達は仲悪く見えてたのかな?蛍ちゃん曰く、私が意地でも万葉呼びしないだろうと賭けていたやつもいたらしい。なんだそれ、下らないことに賭けるなよ。
「そっか」
「ウェンティ先生。恋愛って難しいですね」
「そうだね」
「私はあんなに緊張してたのに、次の日会ったら……全然、いつも通りなんだもん」
いままでの関係のままではいられないだろうって思って、緊張してたのに、いつものように笑顔で「おはよう」なんて言われるんだもん。どんだけ相手にされてないんだよ、私は。
「そうかな?」
「そうですよ。…でも、もういいんです」
「いいの?」
「え…?」
「紅葉は、諦めちゃうの…?」
「いやだって、元々相手にされてないのに…」
「僕は、紅葉には昔も今も幸せになってほしいんだ。」
「そういえば、私達って前に一度も会ったことないですよね…?」
ウェンティ先生も空くんと一緒で前世の記憶を持っている人だと知ったのはつい最近のこと。前々から万葉のことばっかり聞いてくるからからかっているのかと思っていれば、私達の関係を知っていた様だった。
「君のことは、万葉から聞いたんだよ?…いつも自分の帰りを待ってくれている大切な人がいる。ってね」
「!、」
「ほら。今も万葉のこと好きだ~!って顔してるよ?」
「そ、それに、万葉には蛍ちゃんがいるし。私は、………私は、好きな人が幸せならそれでいいんです。」
「なら、良いんだよ。後悔しない様にね。…風神のご加護があらんことを 」
「……ありがとうございます」
後悔するようなことってもうないような?既に気持ちだって伝えてしまったようなものだし、失う物なんてない気が……。
風神……!、そういえば、万葉は風元素の神の目を持っていたな。万葉は風神様のご加護でも受けていたのだろうか?
「あ、そうだウェンティ先生!恋神って存在しないんですか!?」
「え?恋神……??あ、そろそろ昼休みの時間終わっちゃうよ?」
「あ、じゃあまた後で話し、」
「す、すみませ………」
ウェンティ先生に手を振っていれば、前方を歩いていた人物に気付かずぶつかってしまった。
「………君ってば男のスラックス履いたり、スカート履いたりして疲れないの?」
またお前かよ
「だから、私は女なんですが?」
「同じ顔が2人もいるのかい?言い訳になっていないよ」
「何だコイツ面倒くさいな」
「はぁ?」
「だから、面倒くさいって言ったんです。聞こえなかったんですか?」
「………君、僕のこと誰だかわかっててその発言をしているのか?」
いや、知らないんですが?誰しもが自分のことを当たり前の様に知っているなんて思わない方がいいと思う。
「…」
「フン…大体女装するのは校則違反じゃな、」
言ったなっ…!、女装って言ったな!?言い返してやるっっ。あの時、蛍ちゃん達との放課後デートの時に誓ったんだ、言い返してやるって。
「なら、あんたは男装が趣味なんですかっ!?」
「はぁ???一体僕のどこが女に見えるんだ!?」
「じゃあ、証拠みせてよ」
「証拠…?」
「ちょ、紅葉!?」
顎に手を当てて考えている様子の目の前の男。な、なんか嫌な予感が……。
「た、例えば…男だと証明する様な…」
「ふぅん。じゃあ、はい」
男は、シャツのボタンを外し胸板を見せ、そして即元に戻し、「じゃあ、次はお前の番だね?」と悪魔の様な笑みで私に迫る。
「は?」
「だって君は女装してないんだろう?証拠みせてよ」
な、なんなの!?この人!?しょ、証拠って何見せればいいの!?
「し、証拠って何見せれば…?」
「君が言ったんだろう?女を証明する様な物、をみせてくれよ…?」
「く、……」
こ、これでも前世では経験あるんだから…!!震える手でシャツのボタンを外していく。胸元に差し掛かった所で、背後から私を押さえつける大きな手が…。
「何をしている」
「しょ、鍾離先生~!!!!」
「ちっ」
思わず泣きそうになる私と鍾離先生を見た瞬間顔を歪める男。そういえば、ウェンティ先生がいつの間にか消えていたから、鍾離先生を呼びに来てくれたのかな。
「…って、ことだから証明することできなくなったからチ、チャラね」
「は?そんなの僕が許すワケないだろう」
男は私の目の前に近寄って来たかと思えば、ふにゃり、と片手で私の胸を鷲掴んでいるではないか。……ん?
「………………っは、?」
「あらら、…まさか本当に女だったとは」
「………へ、」
「へ?」
「変態っっっ!!」
パチーンと廊下に大きな音が響いた。
いま思えば、私が震える手でボタンを外している時点で、気付いていたのだろう。上から覗き込んでたし、見えてた筈だ。…その、あれだ胸元が。鷲掴んだ後、棒読みだったし。馬鹿にされたことに腹が立った彼は仕返しがしたかったのだろう。
「スカラマシュ…やりすぎだ」
「ス?スカラ…?」
随分長い名前だな。覚えられなさそう。
「…っ殺す」
「ヒッ」
ギロリと私を睨み付けている男の名前はスカラマシュくん。彼の顔には私の付けた手形が付いている。私がやった本人だけど、い、痛そ……。
「スカラマシュは風紀委員会のメンバーだ」
「え?それってタルタリヤも所属してるっていう…」
「そうだ」
私も噂で軽く聞いたことがあるが、なんでも厄介な委員会らしい。うわ、鍾離先生がいなかったら大変な目にあってたかもしれない……。良かった。
「………その、すみませんでした。鍾離先生」
「はぁ?僕に謝罪はないのかい?」
「…」
「紅葉」
「……ごめん」
「フン、次はないよ」
そのまま歩き去って行くスカラマシュくんに向けてあっかんべーをすれば、鍾離先生に頭を小突かれた。