今世は同級生でした。
夢小説設定
この小説の夢小説設定山本紅葉(未変換の場合)
・楓原万葉とは前世夫婦関係だった。今世ではただのクラスメイト(?)になってしまった
・顔が万葉と似ており、血縁関係がないのにそっくり。
・仲の良い友人には幸せそうに笑うとよく言われる
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「デートしようよ」
「蛍ちゃん?言う相手間違えてません?楓原くんからものすごく睨まれてる気がするんだけど!?」
「うーん……なら3人ででかけよっか!」
「…まさか、私と蛍ちゃんと楓原くんと!?」
「違うよ、私と紅葉とパイモンでだよ」
「オイラもか!?」
蛍ちゃん、万葉、私で行くかと思って焦った…!!
「おーいいね!」
「じゃあ、3人で放課後デートしようよ」
「それは楓原くんと行くのにとっておけば…?」
「うーん、じゃあ万葉も連れてこうぜ!」
「いや、いくらなんでも女子3人に男子1人は可哀想では…?」
「なら、空も誘おうよ」
「いいなそれ!」
***
え、空くんと万葉って接点あるのかな?空くんに万葉の話はよくしてたけど………。なんて思案していれば、いつの間にか集まっていた、空くんと万葉。
「拙者は良いでござるが、空は…」
「俺も大丈夫だよ」
「え…もしかして行くの今日!?」
「そうだよ?」
「話聞いてなかったのかよ!?」
何を言ってるんだお前は。という視線を蛍ちゃんとパイモンからいただきました。ごめんね、話聞いてなくて…。それにしても、万葉ってば部活動とかで忙しそうなのに、よくタイミング合ったなぁ。蛍ちゃんと空くんの方は確か部活に入ってなかった気がする………。
よし、行くか!とパイモンの声で校門を出れば、早速
「蛍ちゃん?どうして私と腕を組んでるのかな???」
「え?デートだから良いかなって」
「そしたら、私×蛍ちゃんで、空くん×楓原くんになっちゃうよ!?」
「おい!オイラはセットじゃないのかよ!!」
パイモンってば、怒るとこそこ!?もちろんパイモンは、
「パイモンもちゃんとセットだから安心して?」
蛍ちゃんから小さな声で、「パイモンは非常食」なんて聞こえたが聞こえないフリをした。
「紅葉殿………」
「ちょ、楓原くん、怒らないでよ!?」
不機嫌な万葉。確かに貴方の大好きな人を奪ってるのは悪いとは思うけど、そんなに怒らなくても……
「まぁまぁ、落ち着きなよ万葉。蛍もせっかくのデートなんだから万葉と仲良くしなよ」
「…」
不服ながらも私からそっと離れる蛍ちゃん。
近くのショッピングモールに着けば、文房具屋さんではおすすめの筆記用具を教えてもらったり、本屋では参考書を購入したりと、私の想像していたデートとは違っていたが、充実した1日を過ごせたと思われる。最後に、ショッピングモール併設されているレストランで夕食を食べることになった。
***
私とパイモンはハンバーグ定食、蛍ちゃんはオムライス、空くんは唐揚げ定食、万葉は焼き魚定食を注文した。
注文待ちしている間、私は気になっていたことを問いかけた。
「あのさ、蛍ちゃん達は付き合ってからデートしたりしてないの?」
「してないよ」
「拙者達は、」
「ふーん、…じゃあ"キス"はしたのか!?」
「ブッ、………あっ、ご、ごめん空くんっ!!!!」
「だ、大丈夫」
万葉が何か言おうとしたのを遮り、パイモンのした質問に思わず飲んでいた水を吹き出してしまい、正面にいた空くんにかかってしまった。
「汚いぞ!紅葉!」
「そ、そんなことより、よくキスしたの?だなんて聞けるね!?パイモンってば失礼すぎるでしょ!?」
「……」
「……」
「な、悪かったな!」
2人は照れている、というよりどこか気まずそうにしていた。前だったらどっちかが、顔が真っ赤にさせたりしていたのに…?どこか違和感を感じたが、今はこの気まずい雰囲気を何とかせねば。
「あっ。そ、そういえばね、この前他クラスの男の子に"なんで女装してるの?"とかボロクソ言われたんだけど、私って男に見える…?」
うわ、このタイミングで話す内容じゃなかったか!?シーンと静まり返る、私達。
「…それは、拙者と紅葉殿を勘違いしたからなのでは?」
「誰それ?言った人」
「なんか生意気そうな人」
「誰だよ、それ!?!?」
「まぁ、今度その人に何か言われたら"なら、貴方は男装が趣味なんですか?"って言ってみるよ」
それが後に後悔する出来事が起きるなんて、この時の私は知るよしもなかった。
***
「おいしかったね」
「じゃあ、そろそろ帰ろっか」
「俺と蛍は家同じだし、パイモンは近所だから、俺達は3人で帰るね。万葉は紅葉のこと送っていってあげて」
「えっ!?こういう時って彼女である蛍ちゃんを送る役目って楓原くんなのでは…?」
え?そうじゃないの?
「紅葉バイバイ。また明日ね!」
「じゃあな~!2人とも気を付けるんだぞ!」
不思議に思ってないの私だけ???
「おやすみ」
ニッコリ笑う空くん。あら、やだもしかしてさっき私が顔面に水かけてしまったことを根に持ってたり…?
ん?さりげなく私にウィンク飛ばしてきたので楓原くんと何か話し合えって事何だろうか…?わ、わからない。
「拙者達も帰ろう」
「う、うん。………私は稲妻に住んでるんだけど、楓原くんは?」
「拙者も稲妻でござるよ」
そっか、今世も稲妻出身なんだ。今の万葉のこと以外と知っているようで知らなかったなぁ。
「住んでるとこ一緒でも、楓原くんのこと一回も見かけたことなかったな…」
「…そうでごさるな」
「きっとすれ違っていたのかもしれないね」
「…」
「…」
き、気まずい。2人きりになると、ボロがでそうになるから、なるべく避けてたけど、こんなタイミングで2人になってしまうとは…
「紅葉殿は…」
ふと立ち止まる万葉。
「?」
「拙者のことが嫌いなのであろうか?」
「っ…嫌いじゃないよ」
「そうであったか…!」
不安げな表情を浮かべていた万葉。「嫌いなのか?」って聞かれたのこれで2回目だな。そんなに嫌ってるように見えたかな?。
「好きだよ」
「!、」
私が嫌いじゃないと言えば嬉しそうにする。そんな姿を見て、つい言ってしまった。好きだ、と。伝えれば明らかに動揺している。
「……ごめんね。ずっと名前で呼んでもらいたいの知ってたのに名字で呼んでて」
「いや、…」
「名前で呼んじゃったら、耐えられなくなっちゃうんじゃないかって思っちゃって…」
きっと万葉って呼んでいたら、好きが溢れて、耐えられなくなっていたはずだ。
「耐えられなく…?」
「まぁ、気にしないで。…あ、そろそろ家近いからここまででいいよ」
何か言いたそうにしていた万葉を無視し、帰路に就いた。
告白ではないけど、好きだとさりげなく万葉に伝えれた。なぜか、それで満足してしまった。きっと万物の音がわかる万葉にはきっと私の声は筒抜けだろう。
今までの関係ではいられなくなるだろうが、きっとこれで良いんだ。
そうだ、空くんに報告しよう。
***
「また明日。おやすみ、万葉!」
なんて拙者に微笑み、去っていった、彼女。それは、今まで見たことがないくらい悲しそうで、どこか幸せそうに見えた。
胸が締め付けられるような感覚に陥った。
そして、そんな姿がどこか懐かしく感じたのは何故だろうか。