今世は同級生でした。
夢小説設定
この小説の夢小説設定山本紅葉(未変換の場合)
・楓原万葉とは前世夫婦関係だった。今世ではただのクラスメイト(?)になってしまった
・顔が万葉と似ており、血縁関係がないのにそっくり。
・仲の良い友人には幸せそうに笑うとよく言われる
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「どうしたんだ?紅葉?食欲ないのか?」
「ん?ちょっと食べたい気分じゃなくて…」
「紅葉、食べないと痩せちゃうよ」
パイモンと蛍ちゃんといつもの様に仲良く食事をとっていれば、私がお弁当に全然食べ進めていないことに気付いたパイモンが心配そうにこちらをみている。蛍ちゃんもだ。
「ううう…パイモン、これ全部食べていいよ」
「やった~!!いいのか!?」
「うん」
「ダメ!」
「え?」
「ダメ!」
「………これ以上食べたら吐いちゃうかも」
私の顔色が悪いことに気付いた蛍ちゃんは「今回だけだよ?」と言ってパイモンにお弁当の中身を食べてもらうことを許可してくれた。蛍ちゃんは私のお母さんですか!?
***
蛍ちゃんとパイモンは優しい。高校生になって初めてできた友達だからって私のことを大切にしてくれる。貴重なお昼休みを私にくれる。彼女の周りにはいつも人が集まり人気者だ。
初めてパイモンと会った際には空中に浮いており、ものすごく驚いてしまった。まぁ、ここテイワットだから浮いてる人がいてもおかしくないよね(?)と自己解決した。蛍ちゃんには兄がおり、他クラスにいるが何度か遠目で見かけた程度の関係だ。そんな彼は蛍ちゃんとそっくりで心の優しい人だ。そんなお兄さんの名前は空で、前世で万葉に紹介してもらった旅人さんだった。思わず「旅人さん…?」とポロっと溢してしまえば、「もしかして、君も記憶が…?」と驚いていた様子だった。私以外に記憶を持っている人を初めてみたのだった。
「そっか、紅葉も生まれた時から記憶があったんだ。俺もだよ」
「旅人さ、…じゃなくて空くんもか」
同じ記憶を持つ仲間を見つけたことと前世で妹を探していた空くんが今世では妹と無事に再開(?)できたんだなぁ、となんだか幸福を感じてしまい思わずえへへとニヤついてしまった。
「っ!、っあはは、紅葉は幸せそうに笑うね」
「それ前にも言われた!……これでも最近は落ち込んでたんだよ?」
前世でよく万葉に「紅葉は幸せそうに笑うでござるな」とそっと優しく抱き締めてくれたことをふと思い出した。
「それって万葉と蛍のこと?」
「……うん。だ、だけど2人のことは応援してるよ?ちょっと胸が痛いけど、2人のことは大好きだし」
嫉妬?もちろんした。だけどそれ以上に蛍ちゃんがどれだけ素晴らしい人間なのかを私は知っている。だからすぐ万葉と蛍ちゃんはお似合いだと思ったし、私と万葉が並べば、お顔がそっくりなので恋人じゃなくて兄妹になってしまうのは明らかだ。ここは潔く諦めるべきだぞ、私。それに私が蛍ちゃんと会話している時、万葉が蛍ちゃんに熱い視線を向けていたのを随分前から気付いていた。もしかしてその視線は私に向けているのでは…?なんて思ったこともあったが、恥ずかしいことにそれはただの勘違いだった。
「そっか。……なんかあったらいつでも話聞くね!…あ、そうだ連絡先交換しようよ」
「うん!…くだらないことでも連絡してもいい?」
「もちろん」
「ありがとう!空くんが高校に入ってできた友達3人目だよ!」
「俺は何人目かな…」
いち、にー、と指で数えているが人数が多いのか数えきれないようだ。
「いいなぁ。…私も友達たくさん欲しい」
「きっと紅葉は人見知りしてるだけだよ。……会話してる時、もうちょっと表情豊かにしてみなよ。そしたらきっと友達ができるよ」
「うん…!」
***
「ねぇ、君。最近何か良いことでもあったの?」
「え?鹿野院平蔵くん…?」
「あはは!何でフルネームで呼ぶのさ!」
「ごめん」
「で、何か良いことでもあったの?」
「?」
「最近、君がやけにニコニコしてるみたいだから、何かあったのかつい気になっちゃってね」
「なるほど…。多分空くんのおかげかな」
鹿野院くんに言われるまで気付かなかったけど、そんなに機嫌良さそうに見えたんだ。そこまで笑ってたつもりはなかったんだけどなぁ。空くんのアドバイスのおかげで話しかけてくれる人も心なしか増えてきたと思われる。
「ふーん」
「鹿野院くんから聞いたクセに興味なさそうだね」
「それやめない?」
「はい?」
「平蔵って呼んでよ」
「えええ」
「早く呼んでよ」
「平蔵くん…?」
「呼び捨て」
「……平蔵」
「うん!」
じゃあ、僕はこれから部活だから!、と私に手を振り、そのまま走り去ってしまった。廊下で鍾離先生の「廊下は走るな」と典型的なセリフが聞こえて思わず吹き出してしまった。
それにしても男の子のこと呼び捨てで呼ぶのって、いままで
「万葉以外いなかったなぁ」
「拙者のことを呼んだか?」
「ヒッ」
思わず独り言を呟いてしまえば、いつの間にやら聞こえていたのか私の背後には万葉がいた。
「あんなに拙者が名を呼んでくれと頼んでも呼んでくれなかったのに、平蔵殿に頼まれたら簡単に呼んでしまうのだな」
「それは……」
言えるわけない。万葉のことが好きだって気持ちが溢れてしまうかもしれないからだって。
「…お主は」
「ちょ、寄らないでよ」
元々至近距離にいた万葉が近くに寄ってくる。近い。
「拙者のことが嫌いなのであろうか?」
「~っ、近い!近い!この距離で喋らないでよっ!!!」
眉を下げ、悲しそうに私を見つめる万葉。これを計算でやってないのが恐ろしい。キスでもできてしまいそうな位の距離感で、思わず羞恥心で顔に熱が集まる感覚がする。きっと今の私は林檎の様に真っ赤になっているだろう。
「ふ、………やはり紅葉殿はからかいがいがあるでござる」
「!?、………はぁ、ただのクラスメイトにこんなことしないでよね?楓原くんがだぁーいすきな蛍ちゃんがこのことみたら悲しむよ?」
「……ただのクラスメイト?拙者達は友人ではなかったのであろうか?」
「う、うん友達です、私達」
私の多少の反撃を無視して、ただのクラスメイト発言が気になった様子で、多少傷ついた様子の万葉。私だって言ってて傷ついたよ。咄嗟に友達宣言してしまった。
てっきり万葉からみて私は蛍ちゃんを取り合うライバル関係かと思ってたんだけどな。