今世は同級生でした。
夢小説設定
この小説の夢小説設定山本紅葉(未変換の場合)
・楓原万葉とは前世夫婦関係だった。今世ではただのクラスメイト(?)になってしまった
・顔が万葉と似ており、血縁関係がないのにそっくり。
・仲の良い友人には幸せそうに笑うとよく言われる
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「拙者は、お主のことを好いておる」
放課後、忘れ物の携帯を取りに教室へと戻れば、万葉が蛍ちゃんに告白しているのをたまたま聞いてしまった。
「私も万葉のこと好きだよ」
あーあ。これが失恋かぁ。心がポッカリ空いた気分だ。完全に2人の世界に入る勇気なんて私にはなく。机の上に置いてある携帯を持って帰る気分にもなれず、放置することに決め、そのまま寄り道もせず真っ直ぐ家へと帰宅した。
「大好きだったのに。私が一番貴方のこと知ってるはずだったのに……」
鼻水がでるのを気にせずポロポロと涙をこぼす。こんな時ハンカチを差し出して、「大丈夫?」なんて言ってくれる王子様は私には存在しない。次の日はクラス中に万葉と蛍ちゃんの熱愛スクープで騒がれるはずだろう。自室のベッドに思い切り飛び込み、お気に入りのクッションを抱き締める。
ここで昔話をしよう。
突然だが、私には前世の記憶がある。何を言い出すんだ?頭でもおかしくなかったのか?、なんて思ってしまうだろうが、至って正常だ。
そんな自分には旦那様がいて一般的な家庭とは違い、いつもそばにいるわけではなかったが、幸せな暮らしをしていたと思う。
その旦那の正体は、たった今失恋した楓原万葉だ。それは前世の話で、今世の彼は記憶がなかった。まぁ、記憶を持ってる人の方が特殊だろうから、記憶のある私は上手く世界に馴染めていないと思う。それに昔ばっかり引きずっていて今が見れていない。だからこの日々をどこか寂しく感じてしまう。
***
「おはよー」
「聞いてくれっ紅葉!大変だっ!!!」
「どうしたの?パイモン?朝から元気だね」
「それが、!!………万葉と蛍がっ!」
「もしかして付き合ったの?」
「そうだぞ!……って知ってたのか!?」
「いや、今知ったけど」
やっぱりか。なんだか置いてかれた気分。万葉は私のことなんて眼中にもないんだなって改めて自覚した。
「パイモン、一緒に蛍ちゃんのことからかってやろうか!」「へへっ、そうだな!」なんて傷ついた心を誤魔化してパイモンと蛍ちゃんに近付く。
「蛍ちゃん」
「紅葉!おはよう」
「パイモンから聞いたよ、……楓原くんと付き合ったんだってね」
「うん、!」
ほんのり耳が赤くなってる蛍ちゃん。ああ、かわいいなぁ。思わずぎゅっと蛍ちゃんも抱き締めてしまう、
「蛍ちゃんってばかわいいなぁ、」
蛍ちゃんからいい匂いがする。蛍ちゃんみたいにかわいかったら私にもチャンスあったのかなぁ…。
「紅葉もかわいいよ」
「ありがとう」
「……紅葉殿、拙者の思い人に手を出すつもりか?」
2人でイチャイチャしていれば、どこからか現れた万葉に怒られてしまった。
「え?楓原くん。私、女だよ?蛍ちゃんに手出せないでしょ。………それに魈くんとかタルタリヤの方が恋敵じゃないの?」
「お前……我を巻き込むな」
「す、すみません」
魈くん!?いつの間に!?。背後に立たれるの怖いんだけど………。恐怖のあまり反射的に謝罪してしまったが、魈くんってば絶対蛍ちゃんのこと好きだよね。
「ふふ、万葉は紅葉と顔そっくりだから嫉妬してるんじゃない?」
「あー、なるほどね。……おにーちゃん、あんまり嫉妬しないであげてよ、しつこい男は嫌われるよ…?」
ニヤニヤと笑いながら万葉に言えば、「!、…拙者は紅葉殿の兄ではござらぬよ」
若干傷ついた様子の万葉。
「ふ、冗談だよ。蛍ちゃんがそんなことで楓原くんのこと嫌うわけないじゃん!」
私と万葉は顔が似てる。それは双子レベルに。前世でもそうだったが、今世でも適用されているみたいだ。前はそっくりな自分達に惹かれていたけど、今はなんとなくだけど万葉にライバル心を持たれている気がする。悲しい。
「紅葉………万葉は怖いからあんまふざけたこと言わない方がいいぞ…」
「うん…もちろん知ってるよ」
パイモン、忠告ありがとう。知ってるよ。