今世は同級生でした。
夢小説設定
この小説の夢小説設定山本紅葉(未変換の場合)
・楓原万葉とは前世夫婦関係だった。今世ではただのクラスメイト(?)になってしまった
・顔が万葉と似ており、血縁関係がないのにそっくり。
・仲の良い友人には幸せそうに笑うとよく言われる
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「おい!蛍、お前万葉と別れたって本当か!?」
「うん」
「え…?あの噂って本当だったんだ」
「…お互い、同じ人が好きだったんだ」
「「え?」」
思わずパイモンと声が揃ってしまった。それにしても、蛍ちゃんと万葉が同じ人を好き…?
「だから万葉とはライバルなんだ」
「なんだかそれいいね。別れても友達のままでいられるのっていいな…」
「友達じゃなくてライバル」
「ふふ、そっか」
不機嫌そうにする蛍ちゃん。なんだかとっても可愛らしくて抱き締める。私はそっと小声で
「もしかして、その相手って魈くん?」
「違うよ」
「我を巻き込むな」
「す、すみまへん」
小声だったはずなのに聞こえていたのかいつの間にやら魈くんがそばにおり、頬をつままれる。あれ、前にもこんな会話した気がする。
「ふっ、紅葉は魈に恨みでもあるのか!?」
え?パイモンにまで聞こえてたんだ!?小声のつもりだったんだけどなぁ。
「だ、だって魈くんってば鍾離先生と蛍ちゃんの話しか食い付かないんだもん」
「はぁ」
「………魈くん、溜め息つくと幸せが逃げるって言うよね」
「……何が言いたい」
「だから……蛍ちゃんにハグしてもらいなっ!!」
「「は?」」
「え、怖っ。…だ、だってハグすると幸福感が得られるって言うじゃん」
蛍ちゃんの「は?」初めて聞いた…。抱きついてる腕がミシミシいってるんですが…?
「なぜ蛍とハグしなければならない」
「そりゃあ、好きだから?」
「…」
「…それにこの前TVで"30秒ハグをすると3割のストレスを解消させる"ってやってたよ?」
否定しないってことはやっぱりそうなのか…!?
「蛍」
「…」
「蛍」
「…しょうがないな」
と蛍ちゃんを呼んだかと思えば、そっと私から離れる。え、もしかして2人がハグしてるのがみられるのでは!?
なんて内心ドキドキしていれば、
蛍ちゃんに背中をそっと押されたかと思えば魈くんに抱き締められていた。
「え……、?」
「……」
「え?何で??」
クラスの女子がきゃあきゃあと悲鳴が上がる。私もそっち側が良かったっっ!!ふと背後から何か物を落とした音が聞こえた気がした。
「ち、ちょ、離せっ!!」
暴れまくるが、びくともしない。くっ、魈くんからいい匂いがする……。そ、そんなことより顔が熱くて噴火しそう…。
「う、も、もうだめ……」
「魈…やりすぎ」
と蛍ちゃんのおかげで離してもらえた。
多分、30秒以上は抱き締められてた気がする……。はぁ、顔が熱い。
「フン、……次からは我をからかうでない」
「べ、別にからかってないから…!!」
本心で思ってたことなのに。……それにしても、魈くんって人と触れあうの好きじゃなさそうなのに、よくハグなんかしたなぁ。今日は1つ学習したことがある、―次からは魈くんをからかうのはやめよう。
***
放課後、万葉に唐突に「着いてきてくれぬか?」と言われ、屋上へと連れてかれた。
「紅葉殿は魈殿のことを好いているのでござるか?」
「ううん。ただの友達だよ」
もしかして、さっきの見てたのか。それに私は友達って思ってるけど、魈くん友達だって思ってないかもしれない…。
「そうであったか。…なら、拙者もまだ可能性がある。ということなのでござるな」
「え、?…それって」
もしかして、
「拙者は蛍には負けぬ」
「!、」
もしかして、蛍ちゃんと万葉が好きなのって、私………?
「話を聞いてくれぬか?」
「…うん。」
万葉が話出した内容は、最近古風な服装をした自分と私が仲睦まじい関係であったことを夢で見たそうだ。それがあまりにも現実的過ぎて、本当にあった出来事なのではないか、と思った彼は私に話したらしい。
「もしや…そのことをお主は知っていたのでござるか?」
「……うん。知ってるよ」
今更隠す必要もないか。
「そうであったか…」
「………前世、私と万葉は夫婦だった」
「!」
「…けど、それは前世での話。今は友達だよ」
「拙者は、友とは思っておらぬ……!!」
「え?」
私達ってばライバル関係から友達に進展したよね??
「…紅葉殿のことを一人の女としてみている」
「女、?…本当に私のこと好きなの!?」
「一目惚れでござるよ」
「だ、だけどそんな素振りなかったし、私と蛍ちゃんがイチャイチャしてると怒ってたじゃん」
好かれていたことはたった今知ったことだが、一目惚れ…?そんな素振り無かったはずなのに…!?ああ、そういえば前もそうだったな、「一目惚れだ」って言われたなぁ。
「それは…」
「それに万葉は飾り気のない性格をした人が好きなんだよね?…私、思ってること言わない人間だから真逆だよ」
「いや、お主は素直であろう…。何故そのことを?」
「そりゃあ、前世では夫婦だったから知ってて当たり前だよ」
「………やはり、拙者にはお主が必要でござる」
「~っ!、よ、よくそんな恥ずかしいこと言えるねっ!?」
諦めるって決めたのに、何でときめいてるんだよ、私ってば。
「拙者と恋人になってくれぬか…?」
「…そんなの、」
ずるい。ずるいよ。万葉は。こっちは忘れようとして必死だったのに。きっと私はその言葉を待っていたのだろう。思わず涙が溢れる。
「!?」
急に泣き出した私に困惑したのかオロオロしだす万葉。
「だ…」
「だ?」
「抱き締めても…いいですか?」
「っ~~~!」
声にならない悲鳴が出てますよ、万葉さん。顔を覆って、無言で天を仰ぐ万葉。………知ってる、それ尊い時にするポーズだよね。話しかけても無反応なので、そっと近づき、抱きつく。
「やっぱり、万葉は落ち着く匂いがする…」
好きだなぁ、この匂い。落ち着く…。いつの間にか溢れていた涙は止まった。
優しく抱き締め返してくれる万葉。彼の顔を下から覗き込もうとすれば「見ないでくれぬか」と照れ臭そうにしている。ふと、見えた耳元は赤くなっていた。
「そろそろいいかな…?」
抱擁を終え、そっと離れる。
「………返答は?」
…そんなの言わなくてもわかるはずなのに。
「私も好き。付き合ってください」
そっと目の前に手を差し出す。これじゃあまるで私が男の人の様だ。
私の告白の返事を返すかの様に、万葉が手をそっと握り返してくれた。
(完)