デフォルトはフラン
星の下に生まれる
名前
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朝は使用人の賄いを食べるのが日課だ。景元は早朝から屋敷を出てしまうからいちいち娘の朝食など把握しているはずもない。そもそも使用人に任せているからその必要もなかった。しかし先日の件で行きすぎた対応を景元から咎められ驚くほど待遇が変わった。出来立ての食事と、寝起きの体にちょうどいい茶。どこぞのホテルに泊まっている錯覚に陥った。
きっと使用人たちは自分たちがクビにならないよう内心震え上がっていることだろう。理知的で穏やかな将軍がたかだか短命種一人のために見せしめをする。将軍は「本気」なのだと二年でようやく知らされた。
肩は大袈裟な包帯が巻かれて動かしづらいが昨日より痛みは軽い。丹鼎司の医療技術は侮れない。長命であるが故に技術躍進はかなり停滞しているのは事実だが、本来の彼らの科学技術は他の追随を許さない。初めて仙舟をみた時フランはその壮大さにひっくり返ったのを今でも覚えている。
とにかく、この調子でいけば数日で包帯は取れるだろう。景元はやたらと心配しているがこの程度の怪我、雲騎軍では当たり前だ。剣術を教えているくせに今更何を思っているんだか。冷めた目で景元の顔を思い浮かべる。そもそもフランは自身が普通の子どもではないことを自覚していた。景元もそうだ。その事実を知った上で養子にすると…成人するまで庇護すると言ったのだ。これならまだ短命種として差別されているほうがマシだろう。
学校の授業はいつも通り終了する。何の変化もなく街で行き交う人々はのんびりしていたり必死に仕事をしていたり。変わり映えのない日常に安堵すらしていた。だが将軍の養子である以上そうはいかないのも事実。何かしらの公的な謁見の場合、フランのその場に同席しなければならないことがある。景元は自分の娘であると公言することで差別や偏見から守りたいと思っているようだ。その思想は分からなくもないが面倒ごとに付き合わされる身にもなってほしい。たった今、召集の連絡を目にしてうんざりしていた。
神策府へ向かうと使用人や職員がフランをつれて着替えを行う。上品で可憐な服はガラじゃない。自覚しているし以前なら彦卿も景元がいない時に「髪伸ばしたら似合うんじゃない?」と言うくらいだ。よほどヘンであるということは周知の事実。だが景元はそのあたりの美的センスがズレているのか毎回違う服を拵えては笑顔で褒めるのだ。
やはりペットの扱いだな。なんて思いながら景元のもとへ向かう。
「フラン、肩は大丈夫か」
「平気だよ。下手に動かさないように気をつけてるから」
「そうか、それならよかった」
だがあの一件以降、彦卿と話していない。というよりフランは彦卿に怒っていた。おあいこにしたのに何故自分から将軍に報告したのかと。医者から治療を受けた後、彦卿はもう一度謝罪をと屋敷にきた。鬱陶しいし気遣いを無駄にされたことで怒鳴ったのだ。黙っていればいいのに何故言った。お前のせいで私まで面倒なくらい怒られたと。彦卿は怒り狂うフランを初めて見たせいか、真剣な表情で何度も謝罪をした。だがフランの癇癪は止まらず、二度と顔を見せるなとまで言い放ったのだ。
本来、景元は二人が良い友人になればと引き合わせたのだが互いの性質は水と油の関係。自尊心を抱えた彦卿と情緒不安定のフラン。不仲になってしまったことは仕方ないが景元ももう少し時間をおいて会わせてやれば良かったと後悔していた。
「今日はどんなお客様なの?」
「うん、簡単に言えば貿易相手だよ。貴重な資源のルート設定で足を運んでいる。向こうは一族が経営する貿易商だ。ならばこちらも親族を連れなければ不敬だろう?」
「ふうん」
どうでもいい。そう顔に書いてある。あと数年後にはこの親子関係も終わる。停滞と差別が孕む羅浮から出て自由に生きるのだ。ただそれだけを夢見ている。
貿易相手が時間通りにやってきた。フランはまるで借りてきた猫のように愛想よく微笑みを浮かべて挨拶を交わした。おかげで貿易商の一人は自分の息子の婚約者にでも、と言い放ったが景元が冗談混じりで断った。
「いかんせん我が娘…フランは文字通り目に入れても痛くない愛娘だ。婿殿には私より強くなってもらわねばな」
「ははは!将軍様より強くなるのは難しい話だ!」
これまで将軍と血縁関係を結びたい者は数多くいた。形態はどうであれ、養子を迎えた後は特にフランとの婚約を望む者が後を絶たない。しかし景元はフランの心情をわかっているかのように意向を聞きもせず全て断っている。その件に関しては、助かっている。
会合は終わり、堅苦しい帯をようやく緩めることができた。
「助かったよフラン、うちに帰ったら早めに休みなさい」
「予習と復習が終わったらね」
「相変わらず真面目だね。そんなに羅浮はイヤかい?」
「当たり前でしょ、名前で呼ばず短命種って呼ぶ人たちのどこを好きになれって言うの」
神策府の多くの職員の耳に入る。ぎくりとする者、フランへの嫌悪を強くする者、様々だ。
「これは手痛いな」
それ以上何も言うことはない。着替えた後神策府を出た。すっかり周りは暗くなっているが慣れた道だ。何か思うわけもなく進むと、強い視線を感じた。突き刺さるような感覚に振り返る。誰もいない。ほっとしたのも束の間。背後から激しい金属音が響いた。振り返ったフランの背中を狙う者と守る者がいたのだ。
弾かれた剣が路上に滑る。フランの背中を守った彦卿が目の前の何者かに鋭い刃を向ける。
「な、なんで」
「動かないで、僕の背中にいて」
目の前の少年が手練れであると知ったのか暗闇に乗じて逃げた。更に周囲に潜んでいた雲騎軍が刺客の後を追う。
そう、まるでこの場はフランを囮とした作戦の真っ只中のようだ。
「……今のは」
「もう大丈夫だよ、フラン」
「何が、大丈夫なの」
「将軍から護衛を指示されていたんだ。このまま屋敷まで送るよ」
肩の痛みなどどうでもいいくらい。強く拳を握りしめた。
「何もわかってない!この雲騎軍の数は待ち伏せしてたんだ!!」
「ちょ、ちょっと待って、フラン落ち着きなよ…」
「本当に護衛だと思ってんの!?私は、エサにされただけ!!刺客を炙り出すための囮だったんだよ!!」
「将軍がそんなことするはずないだろ!」
「じゃあ説明しろ!この布陣はなんだ!!私を取り囲むような配置は何!?バカしてるの!?」
息を乱しながら肩を抑える。痛みと混乱で涙が溢れた。フランは自分が何に驚いているのかさえわからないまま泣き崩れる。彦卿はその場にいて、動かず隣に座るだけだった。
彦卿もフランに言われるまでただの護衛だと思っていた。しかし言われてみれば配置も武器も、全て通常のものとは違う。将軍がフランを囮にしたのは事実だった。だが、フランと景元双方のフォローができない。なんと言って慰めればいいのかわからないまま時間が過ぎていく。
子どものようにえんえんと声を上げて泣くこと三十分。とうとう騒ぎを聞きつけて将軍自らやってきた。計画ではすでに屋敷に戻っているはずなのにいまだに襲撃された場所にいると聞いて驚き飛んできたのだ。
「フラン!怪我をしたのか」
片膝をついて様子を見ようとする手を払いのける。
「触るな!!うそつき!!」
これほどまでに傷ついた言葉はおそらく初めてだった。
「何が目に入れても痛くないだ!裏切り者!!」
「説明させてくれ」
「うるさい!死ね!」
心が壊れかけている。そう悟った。そもそもあの惑星でフランはすでに限界だったのだ。アイデンティティも、何もかもが無い状態。空っぽの彼女を助けた景元は今のフランに責任を取ることができない。
もう誰も彼女の背中に寄り添って撫でてやることはできなかった。
彦卿は一人で歩くフランを後ろから見守りながらついていく。特殊な生い立ちであることは十分知っている。年齢にそぐわない高い知性があることも分かっている。だがその背中は迷子の子どものようでもどかしい。
「フラン、僕のこと嫌ってるのは分かってるけど、放っておけないから屋敷に入っていい?」
後ろから声をかけた。勝手にすればいいと泣きじゃくる声。そもそも今こうやって精神が不安定になっている一助は彦卿がもたらしたものだと自覚している。せめてその責任を取らなければならないと、部屋までついていった。
「……うまく言えないけど、フランの思ってることは正しいよ。フランを囮にあの刺客を炙り出したんだ。でも護衛に僕をつけた」
「そんなの……どうだっていい……もう何も信じたく無い」
肩を抑えながら椅子に腰掛ける。痛いのだと悟り氷嚢を急いで作る。部屋に戻るとまだ泣いていた。熱を持つ肩にそっと氷嚢を当てる。
「将軍は、師匠はちゃんとフランのこと好きだよ」
「……物珍しいペットだよ。彦卿も知ってるでしょ。私が将軍のペットだって言われてるの」
「知ってるよ。けど、それだけで将軍を推し量れるわけない。フランだって……そんなに泣いてるのは、将軍が優しいって知ってるから。だから裏切られた気分になったんだ」
「景元は私を拾った時、人の上に立つ者として畏敬を持って保護するって言った」
彦卿の指が震えた。普通じゃない経歴であると知っているが詳細はしらない。いや、あえて教えられていなかった。将軍の娘として生活させるために過去は邪魔だったからだ。
「将軍とは、どう出会ったの」
外征に行き、ほんの数年で帰ってきた景元は大事そうに少女を抱いていた。その光景は簡単に忘れられない。景元の瞳は慈愛だけでなく強い尊敬の念が込められていた。
「私は、王だったんだよ」
吐き捨てるように告げた。
「そして私の星を壊した」
きっと使用人たちは自分たちがクビにならないよう内心震え上がっていることだろう。理知的で穏やかな将軍がたかだか短命種一人のために見せしめをする。将軍は「本気」なのだと二年でようやく知らされた。
肩は大袈裟な包帯が巻かれて動かしづらいが昨日より痛みは軽い。丹鼎司の医療技術は侮れない。長命であるが故に技術躍進はかなり停滞しているのは事実だが、本来の彼らの科学技術は他の追随を許さない。初めて仙舟をみた時フランはその壮大さにひっくり返ったのを今でも覚えている。
とにかく、この調子でいけば数日で包帯は取れるだろう。景元はやたらと心配しているがこの程度の怪我、雲騎軍では当たり前だ。剣術を教えているくせに今更何を思っているんだか。冷めた目で景元の顔を思い浮かべる。そもそもフランは自身が普通の子どもではないことを自覚していた。景元もそうだ。その事実を知った上で養子にすると…成人するまで庇護すると言ったのだ。これならまだ短命種として差別されているほうがマシだろう。
学校の授業はいつも通り終了する。何の変化もなく街で行き交う人々はのんびりしていたり必死に仕事をしていたり。変わり映えのない日常に安堵すらしていた。だが将軍の養子である以上そうはいかないのも事実。何かしらの公的な謁見の場合、フランのその場に同席しなければならないことがある。景元は自分の娘であると公言することで差別や偏見から守りたいと思っているようだ。その思想は分からなくもないが面倒ごとに付き合わされる身にもなってほしい。たった今、召集の連絡を目にしてうんざりしていた。
神策府へ向かうと使用人や職員がフランをつれて着替えを行う。上品で可憐な服はガラじゃない。自覚しているし以前なら彦卿も景元がいない時に「髪伸ばしたら似合うんじゃない?」と言うくらいだ。よほどヘンであるということは周知の事実。だが景元はそのあたりの美的センスがズレているのか毎回違う服を拵えては笑顔で褒めるのだ。
やはりペットの扱いだな。なんて思いながら景元のもとへ向かう。
「フラン、肩は大丈夫か」
「平気だよ。下手に動かさないように気をつけてるから」
「そうか、それならよかった」
だがあの一件以降、彦卿と話していない。というよりフランは彦卿に怒っていた。おあいこにしたのに何故自分から将軍に報告したのかと。医者から治療を受けた後、彦卿はもう一度謝罪をと屋敷にきた。鬱陶しいし気遣いを無駄にされたことで怒鳴ったのだ。黙っていればいいのに何故言った。お前のせいで私まで面倒なくらい怒られたと。彦卿は怒り狂うフランを初めて見たせいか、真剣な表情で何度も謝罪をした。だがフランの癇癪は止まらず、二度と顔を見せるなとまで言い放ったのだ。
本来、景元は二人が良い友人になればと引き合わせたのだが互いの性質は水と油の関係。自尊心を抱えた彦卿と情緒不安定のフラン。不仲になってしまったことは仕方ないが景元ももう少し時間をおいて会わせてやれば良かったと後悔していた。
「今日はどんなお客様なの?」
「うん、簡単に言えば貿易相手だよ。貴重な資源のルート設定で足を運んでいる。向こうは一族が経営する貿易商だ。ならばこちらも親族を連れなければ不敬だろう?」
「ふうん」
どうでもいい。そう顔に書いてある。あと数年後にはこの親子関係も終わる。停滞と差別が孕む羅浮から出て自由に生きるのだ。ただそれだけを夢見ている。
貿易相手が時間通りにやってきた。フランはまるで借りてきた猫のように愛想よく微笑みを浮かべて挨拶を交わした。おかげで貿易商の一人は自分の息子の婚約者にでも、と言い放ったが景元が冗談混じりで断った。
「いかんせん我が娘…フランは文字通り目に入れても痛くない愛娘だ。婿殿には私より強くなってもらわねばな」
「ははは!将軍様より強くなるのは難しい話だ!」
これまで将軍と血縁関係を結びたい者は数多くいた。形態はどうであれ、養子を迎えた後は特にフランとの婚約を望む者が後を絶たない。しかし景元はフランの心情をわかっているかのように意向を聞きもせず全て断っている。その件に関しては、助かっている。
会合は終わり、堅苦しい帯をようやく緩めることができた。
「助かったよフラン、うちに帰ったら早めに休みなさい」
「予習と復習が終わったらね」
「相変わらず真面目だね。そんなに羅浮はイヤかい?」
「当たり前でしょ、名前で呼ばず短命種って呼ぶ人たちのどこを好きになれって言うの」
神策府の多くの職員の耳に入る。ぎくりとする者、フランへの嫌悪を強くする者、様々だ。
「これは手痛いな」
それ以上何も言うことはない。着替えた後神策府を出た。すっかり周りは暗くなっているが慣れた道だ。何か思うわけもなく進むと、強い視線を感じた。突き刺さるような感覚に振り返る。誰もいない。ほっとしたのも束の間。背後から激しい金属音が響いた。振り返ったフランの背中を狙う者と守る者がいたのだ。
弾かれた剣が路上に滑る。フランの背中を守った彦卿が目の前の何者かに鋭い刃を向ける。
「な、なんで」
「動かないで、僕の背中にいて」
目の前の少年が手練れであると知ったのか暗闇に乗じて逃げた。更に周囲に潜んでいた雲騎軍が刺客の後を追う。
そう、まるでこの場はフランを囮とした作戦の真っ只中のようだ。
「……今のは」
「もう大丈夫だよ、フラン」
「何が、大丈夫なの」
「将軍から護衛を指示されていたんだ。このまま屋敷まで送るよ」
肩の痛みなどどうでもいいくらい。強く拳を握りしめた。
「何もわかってない!この雲騎軍の数は待ち伏せしてたんだ!!」
「ちょ、ちょっと待って、フラン落ち着きなよ…」
「本当に護衛だと思ってんの!?私は、エサにされただけ!!刺客を炙り出すための囮だったんだよ!!」
「将軍がそんなことするはずないだろ!」
「じゃあ説明しろ!この布陣はなんだ!!私を取り囲むような配置は何!?バカしてるの!?」
息を乱しながら肩を抑える。痛みと混乱で涙が溢れた。フランは自分が何に驚いているのかさえわからないまま泣き崩れる。彦卿はその場にいて、動かず隣に座るだけだった。
彦卿もフランに言われるまでただの護衛だと思っていた。しかし言われてみれば配置も武器も、全て通常のものとは違う。将軍がフランを囮にしたのは事実だった。だが、フランと景元双方のフォローができない。なんと言って慰めればいいのかわからないまま時間が過ぎていく。
子どものようにえんえんと声を上げて泣くこと三十分。とうとう騒ぎを聞きつけて将軍自らやってきた。計画ではすでに屋敷に戻っているはずなのにいまだに襲撃された場所にいると聞いて驚き飛んできたのだ。
「フラン!怪我をしたのか」
片膝をついて様子を見ようとする手を払いのける。
「触るな!!うそつき!!」
これほどまでに傷ついた言葉はおそらく初めてだった。
「何が目に入れても痛くないだ!裏切り者!!」
「説明させてくれ」
「うるさい!死ね!」
心が壊れかけている。そう悟った。そもそもあの惑星でフランはすでに限界だったのだ。アイデンティティも、何もかもが無い状態。空っぽの彼女を助けた景元は今のフランに責任を取ることができない。
もう誰も彼女の背中に寄り添って撫でてやることはできなかった。
彦卿は一人で歩くフランを後ろから見守りながらついていく。特殊な生い立ちであることは十分知っている。年齢にそぐわない高い知性があることも分かっている。だがその背中は迷子の子どものようでもどかしい。
「フラン、僕のこと嫌ってるのは分かってるけど、放っておけないから屋敷に入っていい?」
後ろから声をかけた。勝手にすればいいと泣きじゃくる声。そもそも今こうやって精神が不安定になっている一助は彦卿がもたらしたものだと自覚している。せめてその責任を取らなければならないと、部屋までついていった。
「……うまく言えないけど、フランの思ってることは正しいよ。フランを囮にあの刺客を炙り出したんだ。でも護衛に僕をつけた」
「そんなの……どうだっていい……もう何も信じたく無い」
肩を抑えながら椅子に腰掛ける。痛いのだと悟り氷嚢を急いで作る。部屋に戻るとまだ泣いていた。熱を持つ肩にそっと氷嚢を当てる。
「将軍は、師匠はちゃんとフランのこと好きだよ」
「……物珍しいペットだよ。彦卿も知ってるでしょ。私が将軍のペットだって言われてるの」
「知ってるよ。けど、それだけで将軍を推し量れるわけない。フランだって……そんなに泣いてるのは、将軍が優しいって知ってるから。だから裏切られた気分になったんだ」
「景元は私を拾った時、人の上に立つ者として畏敬を持って保護するって言った」
彦卿の指が震えた。普通じゃない経歴であると知っているが詳細はしらない。いや、あえて教えられていなかった。将軍の娘として生活させるために過去は邪魔だったからだ。
「将軍とは、どう出会ったの」
外征に行き、ほんの数年で帰ってきた景元は大事そうに少女を抱いていた。その光景は簡単に忘れられない。景元の瞳は慈愛だけでなく強い尊敬の念が込められていた。
「私は、王だったんだよ」
吐き捨てるように告げた。
「そして私の星を壊した」
