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夏の終わり
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夏の終わりの海は、まだ熱を孕んでいた。賀喜遥香は一人で泳いでいた。アイドルとしての顔を外した、ただの二十歳の女の子。波の音だけが響く、貸切のような浜辺。遠くで小さな悲鳴が聞こえた。少女だった。白いワンピースの水着を着た、見た目十六か十七くらいの華奢な子。足が吊ったらしい。必死に手を振っているが、どんどん沈んでいく。遥香は迷わなかった。一気に泳ぎ、少女の細い体を抱き上げた。意識が薄れている。唇が紫色だ。浜辺に引き上げると、遥香はすぐに人工呼吸を始めた。口を重ね、息を吹き込む。少女の胸が小さく上下する。もう一度、もう一度。「……っ!」少女が咳き込んで目を開けた。涙と海水でぐしゃぐしゃの顔で、遥香を見上げる。「あ……ありがとう、ございます……」掠れた声。遥香は少女の濡れた前髪をそっとかきあげた。「大丈夫? もう泳がない方がいいよ」少女は小さく頷いた。でも立ち上がろうとして、足が吊ったままらしく、顔を歪める。「痛い……?」「……はい。すみません、お姉さん……」遥香は微笑んだ。「じゃあ、私が揉んであげる」少女を自分のタオルの上に横にさせ、ふくらはぎを優しく揉み始めた。少女は恥ずかしそうに顔を赤くしながらも、痛みが和らいでいくのを感じて小さく息を吐く。「……ほんと、助かりました。お姉さん、名前……?」「賀喜遥香。君は?」「美月(みづき)です……高校二年生で……」溺れたせいか、少女——美月はまだ震えている。遥香は自分のパーカーを脱いで、美月の肩にかけてやった。「寒い?」「……ちょっと」遥香はそっと美月の隣に座り、肩を抱いた。美月の体温が伝わってくる。びしょ濡れの水着越しに、小さな胸のふくらみが感じられる。美月は遥香の胸に顔を埋めるようにして、震える声で呟いた。「ほんとに……死ぬかと思いました。お姉さんがいなかったら……どうしていいか……」「もう大丈夫だよ」遥香の手が、美月の背中をゆっくり撫でる。すると美月の体が、びくりと反応した。「……お姉さん」「ん?」「私……お礼、したいんです」美月が顔を上げた。潤んだ瞳で、遥香を真っ直ぐ見つめる。「何でもします。だから……」遥香は微笑んだ。その笑みは、普段の優しい賀喜遥香とは少し違っていた。「何でも?」「……はい」遥香は美月の顎に指をかけ、そっと持ち上げた。「じゃあ——ここで、私の言うこと聞いてくれる?」美月は小さく頷いた。誰もいない浜辺。波の音だけが響く。遥香は美月の唇を奪った。最初は優しく、でもすぐに深く、舌を絡ませる。美月は驚いたように目を瞠ったが、すぐに目を閉じて身を委ねた。「……んっ……はぁ……」遥香の手が、美月の水着の紐に伸びる。「だめ……ここ、外……」「誰も来ないよ」紐が解かれ、白い布がはだける。小さな胸が露わになる。遥香はそこに口づけ、優しく吸った。「あっ……! お姉、さん……っ」美月の声が震える。遥香はさらに下へ手を伸ばし、水着の布をずらす。「美月は、私の命の恩人へのお礼、ちゃんとできるよね?」「……はい……」美月は涙目になりながらも、遥香の首に腕を回した。波が寄せては返す。その音に紛れて、二人の吐息だけが重なっていった。遥香は美月の体を優しく、でも確実に自分のものにしていった。「これが……お礼の、証」最後に遥香は、美月の耳元で囁いた。「私のものになったんだよ、美月」美月は小さく頷いて、遥香の胸にすがりついた。夏の終わりの海は、二人だけの秘密を、静かに飲み込んでいった。
