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相棒のジレンマ


遊作はバイトで疲れた体を引きずっていた。
Aiを抱っこしてないからか元気がでなかった。
あのぷにぷに体が恋しい。
一日我慢しただけでこんな反動があるとは。
遊作は玄関のドアをあけた。

「くぅ~ん」

玄関には首輪と犬耳ヘアバンドをつけたAiがいた。
玄関のドアをしめて外の空気を吸う。
新鮮な空気だ。清々しい……。
改めて玄関のドアをあける。

「にゃ~ん」

猫耳をつけたAiがいた。
きゅんと胸が高鳴る。
そうではなく。遊作は咳払いした。

「……何してる、Ai」
「もう、こうなったらペットでもいっかなって」
「……何を考えている」
「にゃ~ん」

触って欲しいアピールを視線をそらして無視をした。
鞄を渡して洗面所に向かう。
Aiは洗面所までついてきた。手を洗っていると服をつまんでくる。
心がごとりとズレるのがわかった。

イグニス態でいた時はよく顔を触られた。本来寂しがり屋な性分なんだろう。
その事を思いだして微笑ましくなる。

靴下を脱ごうとソファーに座る。
Aiは隣に座ってにゃんとしてくる。
まだ諦めてないようだ。触ってほしいらしい。
ならば。

見つめるだけにした。
Aiの目は元々猫に似てる。瞳孔が細く金色で。体も黒い服がそれらしい。
非常に愛らしい。

「……何のプレイだよ……」

Aiの顔は赤らんでいた。
コスプレが好きなAiでも猫耳首輪は抵抗があるらしい。
ズボンから垂れ下がった尾を引っ張る。

「ウニャ?!」
「泣くほど嫌なら、そんな格好するな」
「だってさ……お前、全然構ってくんねーじゃん」

Aiはくっついてくる。疲れた体が回復していくのがわかる。

「……過剰接触は、お前が嫌がってたからだ」
「……お前が嫌いなわけじゃねぇよ。俺の体が……ちょっとおかしくて……」
「おかしい?」
「……」

昨夜みたいになるということか。


「おかしくはない。オレも同じことになる」
「マジ?」
「ああ……」
「島くんに触られると、遊作の体もああなんの?」
「……怪談話はやめろ」
「お前だけだ。お前に触るとああなる」
「嘘だー、あの遊作が。だってそんな素振り……」
「いや……待てよ」

Aiは眉を寄せてあらゆる角度からこっちを見る。
服をまくって肌を見せてくる。

Aiの体を押し倒していた。狂暴な獣性はかろうじてAiの首を噛むことで抑えられていた。
柔らかい肉肌に牙が食いこむ。

「ゆ、遊作……」
「これでわかったか、Ai」



Aiの服を下ろしてやる。掴んだ手首は少し震えていた。
イグニスに人間の欲望はわからないだろう。

「お前が好きだから、抱きたくなる」
「お前のデータにはないだろう、イグニスを性の対象にみる人間なんて……」
「遊作……」
「あのな……遊作。それって俺にブーメランだぜ」
「人間を愛してるイグニスは、俺が初だよ。遊作見て興奮すんのもな」
「……Ai」
「触っていいのか?」
「もちよ!」
「お前の体がおかしくなっても?」
「遊作の体もだろ? なら、遊作ちゃんのも見たいな~」
「わかった……」


猫Aiをまた膝上に抱えた。穏やかな笑顔にしばらく見とれた。
唇を吸った。
鼓動が高くAiにも聞こえるようだった。
華奢な手指が下半身に伸びてきた。波紋のように感触が体に広がる。

「……!」
「へへ……いつもお前ばっかり触ってたからな」
「Ai」
「すげ……固くなってる」
「……」
「あっ!」

負けじとAiのに指を這わせた。
遊作のを握った指から力が抜けていく。上下に扱いてやると、こちらを触る指は二本だけになっていた。

猫の尾は下着についていた。フリルとリボンの紐でつける下着であきらかにアダルトなコスチュームだった。

肉竿を下着の上からさすってやると尾が左右に揺れる。
すでにAiは膝を折り曲げなすがままだ。
首輪に猫耳はよく似合っていた。
ペット扱いは嫌とは言っているが……甘んじて受け入れるとしか思えない。
緩くさすると、こちらの一挙一動に表情が変わっていく。
見てるだけでも楽しかった。


「オレのを見たいんじゃないのか、Ai」
「そ、そうら……俺も遊作ちゃんの触る……」

握らせてやるとAiは変な声をだす。
自分で触るのとは大きく違っていた。Aiに触られてると思うと抜き身が脈打つようだった。
苦しい声を悟られないように言葉を落とした。


「お前、どうやって自慰をしていたんだ」
「ん……遊作に擦りつけたり」
「……」

遊作は石のように固くなった。触るAiは気づかないようだが。


「やり方が間違ってる……」
「ん」
「こうだ」
「あっ♥」


とろけるような表情だ。
気持ちいいらしい。Aiも真似して指を動かす。
Aiを抱えて額や瞼にお互い唇を落としながら高めていく。
止まらなかった。見つめ合って触りあいする。
頂点がわかるとAiに唇を寄せた。

「っ……Ai」
「遊作……っ」

ふたりの白濁が飛んでお互いの意識が混じりあうようだった。
Aiの息は荒かった。cpu負荷が高いようだった。
動けないAiを優しくベッドに横たえた。

「……遊作、好き」
「……知っている」
「ずっと知っている」

一生かけて守る誓いの前から、自分のAiへの気持ちには気づいていた。
Aiの気持ちもAiが死んだ時から。


「俺たち相棒だよな?」
「伴侶でもある」
「伴侶か」

Aiは今更になって焦りだす。
落ち着かないようでうーうー言い出す。

「伴侶というのはその……遊作を裸エプロンで出迎えたり、昼間に配達にきた宅配業者と不倫しなきゃいけないのか……」
「全く違う」


「ずっとそばにいろ、ということだ」
「お、おう……」






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