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中学生戦記

「テレビ見ましたよ……」

アカギの元へ古畑や三好を筆頭に、知らない生徒たちがきていた。

「二人とも、付き合ってるんですか?!」
「…………」


問われて一瞬詰まった。
付き合ってるだろう。お互いが好きなのだから。
それを自覚すると春の空に舞う蝶のように、どこか飛んでいきたくなる。

「24時間テレビであんな、くっついたりキスしたり……! カイジさんはオレたちのアイドルなのに!」


古畑やその他が好きなのは、帝愛から自分を守ってくれるカイジだ。
24時間テレビの一件以降、その信奉者がますます増えた。
カイジアカギ教とでも言えばいいのか。信奉者たちは勝手な好意や英雄象を押しつけてくる。
いい迷惑だった。

「……お前らがいつまでも手を出さなかったのが悪いんだろ……」

大体、先につばをつけたのは自分なんだ。

「て、手を出すって……」
「しげる、帰ろうぜ」
「か、カイジさん!」
「どうしたんだ、みんな集まって……」

アカギはカイジを後ろから抱きしめた。 詰め襟に鼻をくっつけて、思いっきり匂いをかぐ。うなじをペロリとやった。

「しげっ……、やめろよバカ……!」

カイジを崇める信者たちの呆然とした顔が心地いい。

「幼い頃からオレの物なんでね………」

古畑は唇をわなわなと震わせ、やがて口を開いた。

「中学生の時のカイジさんを知らないくせに……!」
「………」
思わずカイジから手を離してしまう。

「中学生の時のカイジさんは、未成熟って感じで、とってもかわいかったですよ……!」
「……!」


中学に入ったカイジから離れたのは、他でもない自分だ。
嫉妬に追われて、罵倒した。首を絞めて………二度と会わないと言った。
それから違う中学に入り、その結果カイジに傷が増えた。

「体育の短パン姿とか、水着姿とかそれはもう………」

古畑は鼻息を荒くし、カイジの姿を思い浮かべる。
ゆらりと立ち上がり、アカギは古畑の顎目掛けて拳を打った。
「カイジさんを辱めるな」
「し、しげる……! 落ち着け……!」

あの一件から中学校の頃のカイジが気になりだした。
自分がいなかったのに、カイジはうまくやっていけてたんだろうか?

自分の知らないカイジがいることにも、納得がいかない。
しかもあんな男が、自分よりカイジの近くにいたなんて……。
そう、短パンカイジの……。

一人もんもんと談話室のソファーに寝転がっていたら、段々と目蓋が重たくなってきた。
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