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介抱されに来たのに、いつの間にか介抱してる。
男は幸せそうに眠っていた。
この酒の呑み方……覚えがある。
逃避だ。何かから逃れたくて、意識を酒に渡している。

「おい……起きろよ」

こんな所で寝たら風邪を引いてしまう。 というかオレはどこで眠ればいいんだ。
寄りかかる体を抱くと、男の目が開いた。

「…………」

しっかりと目を見てしまい、視線をそらした。
どうも苦手だ、この目。赤ん坊みたいな目だ。


「誰だ……お前………。うっ……いてて……、またオレは男を拾ってきたのか………?」
「……は?」

そう言うと男は唇をあわせてきた。
酒の匂いのする柔らかい唇に触れられると、雷に打たれたみたいに体がビクッとなった。

オレは男の手を取って、深く応じた。口を開けさせて、合間から舌を入れる。
どうして男を避けたがったり、苦手意識を持ったのかようやくわかりはじめていた。

すっかり息をはずませて、余裕のなくったオレを見て相手は笑う。
小憎たらしい笑顔だった。

伊藤カイジ。
オレはさっき教えてもらった名前を呼んだ。
呼ぶと、今度は犬みたいに嬉しそうに抱きついてきた。
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