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密偵手記

シュプールの事件から数ヶ月。
オレは隙があれば、同僚の目から逃れ資料室に籠もっていた。

オレがここに来る理由はいつもひとつだ。彼の声を……、とある盗聴記録を聴くためだ。

デスクについてディスクをドライブに入れる。ヘッドホンを装着して目を閉じれば準備万端だ。
……あれはペンション、シュプール。部屋にはヒーターがついていてほんのり暖かい。
曇った二重窓からは雪が降り注いでいるのが見える。

ヘッドホンの左右のスピーカーから、やがて悲鳴が聞こえてきた。
『あっ……あっ……や、やだ……やぁ……』


ベッドのきしむ音と悲鳴の合間に、オレに似た男の押し殺すような吐息が混じる。
オレは膨らんだ物をズボンの上からそっと触ってみた。


マインドブレイク。別名女王アリの兵隊。催淫効果があり、異性問わずに人を虜にしてしまう恐ろしい薬品だ……。
伊藤カイジは、それを打たれて日本政府と追っ手からからくも逃れた。

「うっ……」

気づいたらカイジさんの声だけリピートしていた。
オレはカイジさんが悲鳴をあげるたびに自分の裏筋をグリグリ刺激して竿を扱く。

女王アリにやられて当時の記憶はおぼろげだった。でも彼に従ってる時は、とても幸せだったのは覚えてる。
今でさえ彼の残り香で自分を慰めてる始末だ。

オレはカイジさんの中を進んでいく。
中は狭くて熱いけどオレを必死で締め付けてきて全身が痺れるようだった。

「っ……カイジ、さ……」
『あっ……あっ、あっ、あん……』

声は段々ねだるように甘くなっていく。
『アカギ……』

それはオレじゃない。
オレはヤツの名前とともに欲望を手放した。飛沫はモニターに白くこびりついて、オレの行為を深く恥じるようにそこにあった。


……カイジさんは、どうして、抱かせてくれなかったんだ?
オレと同じ顔のアイツには体を許したのに。
なんなら、抱かれる側だっていい。
カイジさんなら頭の回転も早いし、優しいし……。か……可愛いし……。

調査によると、カイジさんは今アカギに捕らえられてるらしい。きっとカマイタチ式の人体実験や拷問に晒されてるんだろう。
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