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土の匂いがする。
暗い闇の中で、遠くから水が流れ巻く音が聞こえた。

アカギは夢を見ていた。
佐原、一条、石田。置いて逃げた仲間が魔物に繰り返し殺される夢だった。
いい夢ではない。

カイジを守ると決めた時から、捨てなくちゃならない物ができた。が、後悔はしていない。暗く孤独な道でもいいと誓ったはずだ。
カイジが隣にいさえすれば。

(こんな所で……罪悪感に構って立ち止まってる場合じゃない)


失せろ、と命じるとたちまち悪夢は消えさった。
アカギは手をついて起き上がった。ビリビリと身体が痛んだが見下ろす体には目立った傷はないようだ。

「カイジさん……!!」

倒れてる姿を見つけて、もつれる足でカイジの腹の上に倒れた。
カイジの胸板は緩やかに起伏している。それに揺られて目を閉じた。
傷はないし、ちゃんと生きてる。

緊張の糸が切れてどっと疲れが押し寄せてくる。
カイジの腹を枕に辺りを確認すると、二人がいるのは洞穴のような狭い空間だった。

朽ちかけた木材が岩壁を押さえて繋がり組まれていて、何とか土の中にスペースを確保している。
上を見ると天井が抜けていた。

色々周りを調べたいのに眠気に勝てなかった。
カイジの温もりは、何でこんなに落ち着くんだろう。

真冬の毛布なみに気持ちがいい。

肌に触れたくて、一番柔らかい唇に音をたててキスをしてそのまま目を閉じた。

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