捕らわれゲーム 海表
各国を放浪中、黒服に襲われるのはよくあること。
それで、目覚めた場所に監禁されるのもいつものこと。その後は部屋にあるモニターに海馬くんが映し出されたりして。
『フハハ……よく来たな、遊戯! ここを貴様の墓場にしてやろう!』
またか……。
海馬くんに求婚されて以来、ボクらのゲームは続いてる。逃げるか捕まるか、ボクは逃げる方を選んだ。
『貴様のいる塔は100階建てになっていて、多くの罠やデュエルリストが待ちかねている』
「こんなの作る暇があったら、寄付でもしなよ……」
『今度こそ、逃げられんぞ遊戯!』
「海馬くん……ボクは君と結婚する気はないよ」
『ふん、ならばここで一生暮らすがいい』
(ボクのデッキ……)
命と同じくらいに大切なカードはテーブルの上にあった。
カードまで取り上げられていたら、本当にボクは心が折れて海馬くんの言うとおりにしてたかもしれない。
クリボーに笑いかける。
(海馬くんは本当は優しいんだ)
ちょっと暴走はするけど。
この部屋だって一流ホテルの部屋より豪華だし、相変わらず古今東西のゲームや玩具がある。
ボクはチェス板らしきものを見てワクワクが止まらなかった。
「海馬くん……」
『何だ』
「ゲーム一緒にしたいんだけど……ダメ?」
『……5分待っていろ』
本当に5分で来た。忙しいのにいいのかな。
「遊戯!」
スーツ姿の海馬くんが強く抱きしめてくる。
海馬くんは放浪中のボクを、唯一つなぎ止めようとしてくる。
「海馬くん、痛いよ」
「貴様、成人男子にあるまじき細さ……」
日本に帰ってきたのは久しぶりだけど、ここは変わらないなぁ。
って……海馬くん、どさくさに紛れてキスしないでよ!
額にだってぞわぞわするんだからね!
「海馬くん、忙しくないの?」
「貴様が俺を呼んだのだろう」
「でも」
「さぁ、デュエルしろ、遊戯」
ボクはこっくりうなづいた。
☆☆☆
「兄サマー!」
「モクバか。お前も来たのか」
「うん、久々に遊戯と遊びたくて。大丈夫だった? 遊戯」
「大丈夫だと……?」
「1ヶ月前、エジプトでさー。遊戯の奴男たちに襲われたんだよ。まぁアイツ小さくてかわいいだろ? だから」
「……」
「兄サマ?」
「おのれ遊戯……! 俺というものがありながら!」
「兄サマどこ行くの?!」
☆☆☆
久々に海馬くんと遊べて楽しかった。
海馬くんと遊んでる時だけ、彼のことを忘れられる。
お風呂からあがると暗闇に海馬くんが立っていた。
ボクはぎょっとしたけど、それでも近寄る。
「貴様、他の男に体を許したのか」
「え?」
海馬くんが投げた鎖が手首にからまる。
そのまま引っ張られて、壁際の鉄の十字架に吊り下げられた。
(この十字架、このために作ったの……?!)
「俺が直々に審問してやる」
「わっ?! 何するんだよ、海馬くん!」
衣服をあっという間に剥がれて、ボクは裸にされた。
海馬くんは首すじからすうっと指を滑らせる。
胸飾りにまでいくと、海馬くんは目を細めてにらむ。
「この色を男どもが弄んだのか」
「な、何言って……ぁ!!」
ボクがあからさまな反応をすると、海馬くんの眉尻が上がる。
噛みつくようにそこをくらう。
「男どもと乱交したとモクバから聞いた」
「ら、乱交?! そんなの誤解だよ!」
「貴様は……アテムや城之内もたらしこんだ」
「たらしてないよ! ボクをそんな目で見てるのは君だけ!」
「しかし……こんな反応をして……」
「ボクは海馬くんとしかやりたくないもん!」
「……」
「あっ」
言っちゃったんだぜ……。
「その、違うから。海馬くんしか」
「黙れ遊戯」
海馬くんの顔が赤い。
こういう顔、ボクは嫌いじゃない。
ボクは大人しく目を閉じた。
優しく抱かれるのは嫌いじゃないから。
海馬くんは優しく頭を撫でてくる。
……しばらくここにいてもいいかな。
終
それで、目覚めた場所に監禁されるのもいつものこと。その後は部屋にあるモニターに海馬くんが映し出されたりして。
『フハハ……よく来たな、遊戯! ここを貴様の墓場にしてやろう!』
またか……。
海馬くんに求婚されて以来、ボクらのゲームは続いてる。逃げるか捕まるか、ボクは逃げる方を選んだ。
『貴様のいる塔は100階建てになっていて、多くの罠やデュエルリストが待ちかねている』
「こんなの作る暇があったら、寄付でもしなよ……」
『今度こそ、逃げられんぞ遊戯!』
「海馬くん……ボクは君と結婚する気はないよ」
『ふん、ならばここで一生暮らすがいい』
(ボクのデッキ……)
命と同じくらいに大切なカードはテーブルの上にあった。
カードまで取り上げられていたら、本当にボクは心が折れて海馬くんの言うとおりにしてたかもしれない。
クリボーに笑いかける。
(海馬くんは本当は優しいんだ)
ちょっと暴走はするけど。
この部屋だって一流ホテルの部屋より豪華だし、相変わらず古今東西のゲームや玩具がある。
ボクはチェス板らしきものを見てワクワクが止まらなかった。
「海馬くん……」
『何だ』
「ゲーム一緒にしたいんだけど……ダメ?」
『……5分待っていろ』
本当に5分で来た。忙しいのにいいのかな。
「遊戯!」
スーツ姿の海馬くんが強く抱きしめてくる。
海馬くんは放浪中のボクを、唯一つなぎ止めようとしてくる。
「海馬くん、痛いよ」
「貴様、成人男子にあるまじき細さ……」
日本に帰ってきたのは久しぶりだけど、ここは変わらないなぁ。
って……海馬くん、どさくさに紛れてキスしないでよ!
額にだってぞわぞわするんだからね!
「海馬くん、忙しくないの?」
「貴様が俺を呼んだのだろう」
「でも」
「さぁ、デュエルしろ、遊戯」
ボクはこっくりうなづいた。
☆☆☆
「兄サマー!」
「モクバか。お前も来たのか」
「うん、久々に遊戯と遊びたくて。大丈夫だった? 遊戯」
「大丈夫だと……?」
「1ヶ月前、エジプトでさー。遊戯の奴男たちに襲われたんだよ。まぁアイツ小さくてかわいいだろ? だから」
「……」
「兄サマ?」
「おのれ遊戯……! 俺というものがありながら!」
「兄サマどこ行くの?!」
☆☆☆
久々に海馬くんと遊べて楽しかった。
海馬くんと遊んでる時だけ、彼のことを忘れられる。
お風呂からあがると暗闇に海馬くんが立っていた。
ボクはぎょっとしたけど、それでも近寄る。
「貴様、他の男に体を許したのか」
「え?」
海馬くんが投げた鎖が手首にからまる。
そのまま引っ張られて、壁際の鉄の十字架に吊り下げられた。
(この十字架、このために作ったの……?!)
「俺が直々に審問してやる」
「わっ?! 何するんだよ、海馬くん!」
衣服をあっという間に剥がれて、ボクは裸にされた。
海馬くんは首すじからすうっと指を滑らせる。
胸飾りにまでいくと、海馬くんは目を細めてにらむ。
「この色を男どもが弄んだのか」
「な、何言って……ぁ!!」
ボクがあからさまな反応をすると、海馬くんの眉尻が上がる。
噛みつくようにそこをくらう。
「男どもと乱交したとモクバから聞いた」
「ら、乱交?! そんなの誤解だよ!」
「貴様は……アテムや城之内もたらしこんだ」
「たらしてないよ! ボクをそんな目で見てるのは君だけ!」
「しかし……こんな反応をして……」
「ボクは海馬くんとしかやりたくないもん!」
「……」
「あっ」
言っちゃったんだぜ……。
「その、違うから。海馬くんしか」
「黙れ遊戯」
海馬くんの顔が赤い。
こういう顔、ボクは嫌いじゃない。
ボクは大人しく目を閉じた。
優しく抱かれるのは嫌いじゃないから。
海馬くんは優しく頭を撫でてくる。
……しばらくここにいてもいいかな。
終
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