社長主張! 海表

モクバに似てると思ったことは多々ある。
上目遣いで不安げに揺れる目。
吹けば飛びそうな華奢な体。

プロジェクトの終盤だった。遊戯は会社に缶詰めでロクに外出もしてないらしい。
すっかり指先まで白くなっていた。
カフェテリアで相談中、話がろくに頭に入ってこない。

「海馬くん? どうしたの」
「貴様を見てるとイラつく」
「え……」

憎まれ口に慣れたもので、遊戯は一瞬うつむいたがすぐににらみ返してきた。

「どこが?」
「貴様は弱々しい」
「え」
「この腕、オレなら容易く折れる」


「……もういいよ。社長さんにプログラムの話しても無駄だった」
「待て、遊……」

木の葉のような軽さだった。
遊戯は気を失ってオレの腕の中に倒れていた。

遊戯は気がつくと医務室にいた。
様々な機械からのびるコードが体についていた。


「貴様、また倒れたな」
「……」
「何日寝てない」
「え~と……大したことないよ。忙しいし」
「……」

無言の圧力に耐えかねて遊戯はもらす。

「二日……」
「今すぐ寝ろ。社長命令だ」
「でも、まだデバックが……」

海馬は遊戯の胸ぐらをつかんだ。
睡眠導入剤を含んだ唇を遊戯に重ねる。
相手の驚いた顔が近い。
大きな目は見る見るうちに垂れていく。


(まったく……よほど貴様はオレに管理されたがってるらしい)



「ってここどこぉ?!」
「オレの部屋に決まっている」
「か、海馬くんの部屋?! どうして」
「貴様はよほどオレの会社を労働法違反でしょっぴかれたいらしいな……」
「そ、そんなことないけど」

(ここが海馬くんの部屋……? 落ち着かないよ)

貴族の部屋みたいだ。
海馬は上着も脱いで体の線がくっきりとしていた。
彫刻みたいな体格のよさに遊戯は顔を赤らめた。

(ボクと全然違う……確かに海馬くんがボクを見てイライラする気持ちはわかるけどさ)

「貴様が軟弱なのはこのオレにも原因がある。よってオレがお前を管理する……」
「管理って。ボク忙しいんだよ」
「仕事はここでしろ」
「そんな……」
「服を脱げ。体重をはかる」
「ちょ、ちょっと待ってよ」

服を脱がされてメジャーを胸に巻かれた。
胸囲をはかるとメモをする。
細い腰にメジャーがするする落ちていく。

(海馬くん……もしかしてソリッドビジョンのデータ化のために計ってる?!)

「貴様はなかなか人気だからな……今度のイベントでデュエルリンクスαに実装する」
「またー? あれプレイすると結構恥ずかしいんだぜ……」
「ふん、こんな軟弱者のどこがいいのだか……」

腰まわりを念入りにはかられる。臀部に向かう指やメジャーの感触に遊戯は耐えきれずに眼をつむる。
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