磁石のHERO! 十表

変態変態変態。
十代くんの馬鹿馬鹿馬鹿。

(ボク男なのに……)
(あんなことするなんて。最低!)

さんざん弄んだ体を背負って十代は部屋に帰った。
痕がついてしまった遊戯の体を濡れタオルで拭いてる。

「遊戯さーん、怒ってます?」
「……ぶぅ」
「にゃは。遊戯さんかわい~!」

ムカッ……。

「散々ボクをいたぶってよくそんな笑ってられるね!」
「遊戯さん……ごめんなさい……」
「う……」


憎たらしく思ってた十代は今は小さくなって落ち込んでる。
何だかそんな姿を見せられると、十代が可愛く見えてしまってますます腹立たしい。


「オレ……遊戯さんがずっと好きで……でも、子供扱いされて構ってもらえなくて……」

ため息をついた。
黒いシャツを取って着た。

「……最悪だよ、キミが相部屋だなんて……部屋変えてもらおうかな」
「うう……遊戯さん……」
「悪いけど……ボク……今は恋愛なんてしてる場合じゃないんだ……。助けなきゃいけない子がいるから……」
「ううっ……」

泣いてしまった。
何だかこんなことが前にもあったような気がする。

『遊戯さん、結婚してください!』
『冗談言わないで』

「……ほら、泣かないで。こっちにおいで」
「遊戯さん、遊戯さぁん」

泣いていた十代を抱きしめる。
すんすんと鼻を鳴らす頭を撫でる。
が……手首を掴まれていた。
力……強い。


(ってボクが弱いだけ?!)

「遊戯さん……へへっ。油断しちゃ駄目ですよ」

さっきと180度違う暗い微笑み。
首筋を舐められて気が遠くなる。

「遊戯さん……いい匂い……乳幼児の匂いがする」
「ちょ、ちょっと!」

(に、乳幼児って、どこまでボクを馬鹿にするの)

大きな翼が十代の背後に見えた。
神々しくて禍々しい。
天使にも悪魔にも見えた。

(精霊憑き……)
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