シュミレーションAi

『シミュレーションパターン258745開始します』

「電脳世界へようこそ」
「すごーい、本物の世界みたいっす!」
「はは、そうだろ。ここならやりたいことし放題だぜ」
「で、アニキ今回のシミュレーションは何をするんですか?」
「……それはだな」
「シミュレーションでいつも遊作が俺を庇って死ぬことは知ってるな」
「はい、相思相愛ですね」
「俺は、遊作の好感度を下げたい」
「ははぁ、それでご主人様がアニキを庇わないようにするってことですか」
「そういうことだ」
「ご主人様に嫌われたいと」
「ただ問題があってな……俺、遊作が好きだからついデレちゃうんだよ」
「だからお前の意見通り動けば」
「わかりました!」
「とりあえず、レイプ監禁しましょう!」
「ええ……」

ロボッピ怖い。
どん引きした。

「シミュレーションなんですよ、とりあえずやってみましょう」
「好感度下げたいんでしょう」
「……」

遊作が死なないためなら何でもすると決めた。
どんな汚いことでも。

「ほら、ご主人様がきましたよ!」
「お、おう」


空から遊作の前に降りたった。
シミュレーションでも本物と同じだ。驚いた顔が愛しい。
悲しくなるような思いがつらぬく。
マントの中に遊作を引き寄せる。

「会いたかった、遊作」
「Ai!!」

猫のように警戒する姿に抱きつきたくなるが我慢だ。
頑張って冷たい笑顔をキープする。悪役はもう慣れた。

「どうしてあんなことをした、Ai」
「どうして……? したいからだ」
「Ai」
「すぐに姿をくらませろ。そうしたら」
「だめなんだ、遊作、もう……」


遊作の目を覗いて意識をハッキングする。
遊作の背は崩れていく。
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