ただいま充電中

「遊作ちゃん、充電して」


Aiは髪を掻き分けてうなじを見せる。
普段は隠れてる細首がさらされた。
心音が高くなるのを悟られないようにケーブルを拾った。
Aiは抱きついてきた。そのままケーブルをAiの首に刺す。電気が走る震えが伝わってくる。

胸の中でAiは瞼を閉じる。
Aiを抱きしめたまましばらく充電する。
こまめに充電しろと言ってるのに、またギリギリだ。
意識がなくなったら、こうやってずっと抱きしめられたままだと学んだらしい。


「困った奴だ」

日々成長は感じるのに、中々甘え癖が抜けない。
ちょっとはこっちの心痛を考えろ。
眠ったままのお前をひとりにするわけにはいかない。
お前が強制スリープになると、課題も夕食の用意もどうでもよくなってくる。
それに……人間には性欲があるんだ。無防備に甘えてくるな。

下からAiの手が伸びてきた。背中に手をまわされる。
眠たげな潤んだ目が見上げてくる。

「しないの……遊作ちゃん」
「……ッ」

完全に煽られている。
しかしまだ充電は全然たまっていない。
しようにも動けないはずだ。


「……しない」
「したい」
「……」

体はAiを抱きたがっていた。

だが動けないAiを無理やり抱きたくなかった。
可愛く鳴かれたらつい意地悪してしまいそうだ。
それにまた強制スリープに入ってしまうかもしれない。


「いいから……充電してろ」
「ちぇー遊作ちゃんのケチ」
「……起きたら抱いてやる」

囁くとAiの顔は真っ赤になっていた。
渋々スリープに入る。
何だかこっちまで眠くなってきた。
このままふたりで眠るのも悪くないだろう。

おやすみ、Ai。
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