カレカノカノジョ

プレイメーカーのライブ映像が再生数が多いのはいつものことだ。
だが今回は様子が違っていた。

『危ない、プレイメーカー!』
『大丈夫か、』
『ああ……すまない、Ai』
『よかった、お前が無事で……』

謎のマントの青年が現れ、デュエル中のプレイメーカーを瓦礫から庇った。
見つめ合うふたり。青年は白い指先をプレイメーカーの頬に。
女性視聴者の再生数がぐぐっと上がったのだ。


「な、何じゃこりゃ……」

プレイメーカーがsnsのトレンドになっていた。いつもはそのデュエルや正体ばかりが話題になっていたが今回は違っていた。
恋人、彼氏が検索候補になっていた。
画像は見慣れた自分のものだ。

確かにふたりの間には深い愛がある。
だけどそういう仲ではない。もっと純粋な……。
画面を下にスクロールしていくとAiは固まった。

いわゆるファンアートだ。しかし内容はハードな女性向けのものだ。それが並んでいた。


「な、な、なにこれ」
「Ai、ただいま……」
「うひゃっ?!」

遊作が後ろにいた。Aiは見ていたデバイスを背中で隠した。

「お、おかえりなさいませ、遊作ちゃん」
「いい子にしてたか」
「勿論よ。Aiちゃんお風呂掃除してー、にんじん漬けた」
「そうか」

遊作はわずかに微笑む。

(うわ、自覚してないんだろうな、この優しい笑顔)
(遊作ちゃんマジイケメン、天使)

抱きつきたくなってしまう。
しかしさっきの絵を思いだしてしまう。

(うう……俺は遊作にあんなこと、してないっつーの)

遊作はあんな反応してくれるはずない。
絶対怒るし嫌われる。遊作に嫌われるのだけは嫌だ。
自分は遊作が全てなのだから。

(遊作……)


「どうした? 抱きつかないのか」


遊作は訝しむ。いつもなら帰ってきたら抱きついてくるのに。そうしたら頭を撫でてやるのが日課だ。

「で、でも、いきなり押し倒したりするのはよくないと思います!」
「? 何言ってる」
「さっさと来い」
「だけど」
「しないのなら、オレからするが」
「えぇ!?」
「遊作なら……いや、でも触手プレイはちょっと」

遊作は後ろのディスプレイに気づく。
Aiが見ていた画面が投影されてる。

「何を見ていた」
「!」
「ちょ、ダメだ遊作見ちゃ」
「怪しいな。隠してないで見せろ」
「怪しくない、怪しくないから!」

Aiが自分に隠しごとをするのが気にいらない。
遊作は無理矢理背後にまわる。

「い、イヤー! 俺の恥ずかしい所見ないでぇえ!!」

一瞬見えた画像が乱れる。
デバイスは爆発した。Aiがやったようだ。
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