TOX短編
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「二人並び」
「で、これは?」
「えっと…その…よくわからないけど今日はこれを食べる日らしいの」
「で、誰の差し金で?」
「バ、バランさんがこれもってアルフレドのとこいけばいいっていうから」
「それで意味も分からず持ってきたと」
「うん」
名無しの手元にあるのは、棒状の焼き菓子にチョコレートのついたものである。
トリグラフで学生の間で人気のあるチョコ菓子で今日はやけにこれが売れる日らしい。
そして、これを恋人と一緒に食べるのが風習だという。
トリグラフに過去住んでいた間にその様な話は一切聞いたことはないが、20年の間にそんな風習が流行っていたのだ。
わけもわからず持たされたものを、アルヴィンに差出し名無しは一緒に食べようという。
「これ、リーゼ・マクシアにもあったかしら?パスタを揚げたもののお菓子版ってとこ?」
「あったっちゃったな、お前食ったことないのか?」
「うん、宿屋の料理以外は基本的に、外で買うと金銭的に非効率だしおやつだったら食べたいもの適当に作ってたし」
「色気があるんだかないんだか…」
「ちょっと、それとこれと関係あるの?」
「いーや、べつに、で、食えばいいのか」
「うん、食べればいいみたい」
「んじゃ一本」
「はい、一本」
名無しが一本アルヴィンに差し出すと、あっさりと一本それと食べ干した。
アルヴィンが一本食べ終えたのをみて、名無しも続いて一本食べる。
これのどこが特別なのだろうか。
普段から一緒に食事をしたり、お茶を飲むのとなんら変わらない気がするのだが。
疑問に思いながら、ぽりぽりと名無しは手元にある菓子を食べ続ける。
口の中がチョコの甘さでいっぱいになってしまったため、名無しは珈琲を入れようと思いアルヴィンに声を掛ける。
「コーヒー飲む?」
「おれカフェオレで」
「本当お子様舌ねアルって」
「お子様なのはどっちかねぇ…」
「む、どういう意味よそれ」
「ははは、それそれ、すぐむきになるとこ」
「む、だってアルが見下すから悪いんでしょ」
「見下してるんじゃなくて、可愛がってんだよ」
「な…っば、かじゃないの…、コーヒー淹れてくる」
「おう、待ってる待ってる」
適当に笑っているアルヴィンに見送られ名無しは珈琲を淹れにいく。
珈琲を淹れながら、再びなぜ今日に限ってあの菓子を食べるのかを考える。
何かの記念日だっただろうか?
だとしても、このような安い菓子を買うような記念日などどリーゼ・マクシアでも聞いたことがない。
菓子を作った人の誕生日、菓子が発売された日、それとも菓子がミリオンを記録した日。
「どれも違いそうね」
「なにが」
「ちょ…とぉ!!気配消して後ろから近づかないでよ…驚くでしょ…」
「くくく、悪ぃ悪ぃ」
「お湯使ってるんだから気を付けてよ」
「あ、悪ぃ、大丈夫か?」
「焦るなら初めからしないでよ…ふふ、でもありがと、大丈夫よ」
後ろから抱きついた状態のアルヴィンに怒りながらも笑って許すと淹ればかりのコーヒーをそのままアルヴィンに差し出した。
名無しの頭の上でコーヒーを飲みながらアルヴィンがもう一度何を考えていたのかを名無しに聞く。
「ん?なんで今日これ食べるんだろうって思って」
「知りたい?」
「知ってるの?」
「知ってたら?」
「教えて欲しいかも」
「んじゃこっち向いてみ」
「ん?」
アルヴィンに言われて名無しが振り向くと、アルヴィンが菓子を名無しの口に突っ込む。
口に入れられたまま、アルヴィンが手を放してしまったので、菓子が落ちないよう名無しが菓子を手に持とうとすると、その手をアルヴィンが握ってとめた。
そしてそのまま名無しの加えた菓子の反対側を一口かじった。
突然の行動に一瞬名無しは固まったが、顔が近づいたことに気が付き勢いで菓子を口から放しアルヴィンとの距離を広げた。
「な、なにしてっっ」
「こういう日だってこと」
「どういう日よ」
「こうやって端から食う日だってこと」
「…無理」
「だと思ったわ、子供だなー名無し」
「悪かったわね、恥ずかしいんだからしょうがないじゃない」
「…ま、可愛いからしょうがないわな」
「ふぇ?」
今度は菓子がない状態で、アルヴィンの顔が直接近づき名無しにキスをする。
やわらかく触れた後に、ゆっくりと離れると満足そうにアルヴィンが笑うのに対し、名無しはふてくされた表情になってた。
「ば…っかじゃないの…本当…」
「バカで結構」
「あ、ちょっと」
「もう一回」
「…うん」
「これつかうのダメなのに、こっちはいいのな」
「だってなんか回りくどくて嫌…」
「つまり、キスするならいつでもすぐにと」
「誰もそんなこといってないでしょ…っ!」
そうして名無しが怒ってアルヴィンの腕から抜け出し、ソファに一人で座ってコーヒーを飲みだした。
ふてくされ照れている恋人の隣に座り、機嫌取りに菓子を差し出すとむくれながらも一本受け取りぽりぽりと食べだした。
二人並んでぽりぽりと、それを食べる時間は、どこかおかしく安心してそれが楽しかった。
「で、これは?」
「えっと…その…よくわからないけど今日はこれを食べる日らしいの」
「で、誰の差し金で?」
「バ、バランさんがこれもってアルフレドのとこいけばいいっていうから」
「それで意味も分からず持ってきたと」
「うん」
名無しの手元にあるのは、棒状の焼き菓子にチョコレートのついたものである。
トリグラフで学生の間で人気のあるチョコ菓子で今日はやけにこれが売れる日らしい。
そして、これを恋人と一緒に食べるのが風習だという。
トリグラフに過去住んでいた間にその様な話は一切聞いたことはないが、20年の間にそんな風習が流行っていたのだ。
わけもわからず持たされたものを、アルヴィンに差出し名無しは一緒に食べようという。
「これ、リーゼ・マクシアにもあったかしら?パスタを揚げたもののお菓子版ってとこ?」
「あったっちゃったな、お前食ったことないのか?」
「うん、宿屋の料理以外は基本的に、外で買うと金銭的に非効率だしおやつだったら食べたいもの適当に作ってたし」
「色気があるんだかないんだか…」
「ちょっと、それとこれと関係あるの?」
「いーや、べつに、で、食えばいいのか」
「うん、食べればいいみたい」
「んじゃ一本」
「はい、一本」
名無しが一本アルヴィンに差し出すと、あっさりと一本それと食べ干した。
アルヴィンが一本食べ終えたのをみて、名無しも続いて一本食べる。
これのどこが特別なのだろうか。
普段から一緒に食事をしたり、お茶を飲むのとなんら変わらない気がするのだが。
疑問に思いながら、ぽりぽりと名無しは手元にある菓子を食べ続ける。
口の中がチョコの甘さでいっぱいになってしまったため、名無しは珈琲を入れようと思いアルヴィンに声を掛ける。
「コーヒー飲む?」
「おれカフェオレで」
「本当お子様舌ねアルって」
「お子様なのはどっちかねぇ…」
「む、どういう意味よそれ」
「ははは、それそれ、すぐむきになるとこ」
「む、だってアルが見下すから悪いんでしょ」
「見下してるんじゃなくて、可愛がってんだよ」
「な…っば、かじゃないの…、コーヒー淹れてくる」
「おう、待ってる待ってる」
適当に笑っているアルヴィンに見送られ名無しは珈琲を淹れにいく。
珈琲を淹れながら、再びなぜ今日に限ってあの菓子を食べるのかを考える。
何かの記念日だっただろうか?
だとしても、このような安い菓子を買うような記念日などどリーゼ・マクシアでも聞いたことがない。
菓子を作った人の誕生日、菓子が発売された日、それとも菓子がミリオンを記録した日。
「どれも違いそうね」
「なにが」
「ちょ…とぉ!!気配消して後ろから近づかないでよ…驚くでしょ…」
「くくく、悪ぃ悪ぃ」
「お湯使ってるんだから気を付けてよ」
「あ、悪ぃ、大丈夫か?」
「焦るなら初めからしないでよ…ふふ、でもありがと、大丈夫よ」
後ろから抱きついた状態のアルヴィンに怒りながらも笑って許すと淹ればかりのコーヒーをそのままアルヴィンに差し出した。
名無しの頭の上でコーヒーを飲みながらアルヴィンがもう一度何を考えていたのかを名無しに聞く。
「ん?なんで今日これ食べるんだろうって思って」
「知りたい?」
「知ってるの?」
「知ってたら?」
「教えて欲しいかも」
「んじゃこっち向いてみ」
「ん?」
アルヴィンに言われて名無しが振り向くと、アルヴィンが菓子を名無しの口に突っ込む。
口に入れられたまま、アルヴィンが手を放してしまったので、菓子が落ちないよう名無しが菓子を手に持とうとすると、その手をアルヴィンが握ってとめた。
そしてそのまま名無しの加えた菓子の反対側を一口かじった。
突然の行動に一瞬名無しは固まったが、顔が近づいたことに気が付き勢いで菓子を口から放しアルヴィンとの距離を広げた。
「な、なにしてっっ」
「こういう日だってこと」
「どういう日よ」
「こうやって端から食う日だってこと」
「…無理」
「だと思ったわ、子供だなー名無し」
「悪かったわね、恥ずかしいんだからしょうがないじゃない」
「…ま、可愛いからしょうがないわな」
「ふぇ?」
今度は菓子がない状態で、アルヴィンの顔が直接近づき名無しにキスをする。
やわらかく触れた後に、ゆっくりと離れると満足そうにアルヴィンが笑うのに対し、名無しはふてくされた表情になってた。
「ば…っかじゃないの…本当…」
「バカで結構」
「あ、ちょっと」
「もう一回」
「…うん」
「これつかうのダメなのに、こっちはいいのな」
「だってなんか回りくどくて嫌…」
「つまり、キスするならいつでもすぐにと」
「誰もそんなこといってないでしょ…っ!」
そうして名無しが怒ってアルヴィンの腕から抜け出し、ソファに一人で座ってコーヒーを飲みだした。
ふてくされ照れている恋人の隣に座り、機嫌取りに菓子を差し出すとむくれながらも一本受け取りぽりぽりと食べだした。
二人並んでぽりぽりと、それを食べる時間は、どこかおかしく安心してそれが楽しかった。
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