4章
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「なぁ、流石にあそこで待ったはないと思うんだわ」
「無くない、全然ある」
「そりゃ、有り得るだろうけど」
「わかってるなら、その、嫌なわけじゃないからもう少し、待って」
「大分待ってる方だと思うけどな」
「むぅ…大体そんなことしてる場合じゃないと思うけど」
「二人ともどうかしたの?」
「ううん、なんでもない、おはようジュード君」
集合場所の広場に向かうなり、アルヴィンと名無しがなにやら口論をしているのが目につき、ジュードが声をかけてきた。
なんでもないと答える名無しとは対象的にアルヴィンは何かあるような口ぶりでなんでもないとジュードに返事をした。
喧嘩をしていた、という雰囲気ではないがなんともいえない空気に割入ってしまった感が否めずジュードは思わず苦笑いをした。
そんな空気を流すかのように、次々とメンバーが集まってきた。
全員が揃うと、ジュードが皆はどうしたいのか、と意見を再確認すると、全員口を揃えジュードに協力する道を答えた。
ジュードがガイアスから受け取ったという刀を取りだし、ガイアスが最後まで争わない手段を残している事を示した。
しかし、それぞれの目指すべき未来と抱いた信念が違う今、争わないことなど不可能だろう。
相手が相手なだけに、必要とあらばこちらの命など本気で奪いに掛かってくることは容易に想像できた。
戦うことに恐怖心がないと言えば嘘になるだろう。
だが、やらねばならない時だという覚悟は皆既に固めていた。その決意を胸に一行は次元の裂けた丘へと向かった。
「心なしか小さくなってる?」
「ジュード、頼んだぞ」
「うん」
ジュードが剣を振ると、小さくなっていた次元の裂け目が人が入れる大きさにまで広がった。
どこに繋がっているのか全くわからない空間がそこには広がっていた。
目の前の光景に飛び込むのを少し躊躇っていると、先陣を切ってレイアが元気よく裂け目へ飛び込んだ。
レイアに続いてアルヴィン、エリーゼが裂け目へと飛び込む。
一足出遅れてしまった名無しも飛び込もうとしたが、裂け目まで距離があったため、飛び込むのを躊躇をしてしまう。
すると、ローエンが名無しの横にきて手を差し出してきた。
「よろしければエスコートいたしますよ、お嬢さん」
「それじゃあ、よろしくおねがいします」
「しっかりお掴まりください、行きますよ」
「お、落とさないでくださいね!」
「お任せください」
ローエンに掴まり名無しも中に入るとそこには、幻想的という言葉が果たして適切なのかは定かではないが、リーゼ・マクシアでもエレンピオスでも空間が一同迎えた。
周囲を見渡していると、先に飛び込んだ三人の姿があったがレイアの姿だけがそこにはなかった。
後から入ってきたミラがここは世精ノ途という場所だと説明をする。
だが、以前にミラ達が来たときとは構造が変わっているらしく恐らくマクスウェルの仕業だろうとミラが付け加えた。
すると、独走していたレイアが奥から戻ってきて何かを見つけたようだった。
「ねぇ皆、あっちの方からリーゼ・マクシアに繋がってたよ」
「行ってきたの?!」
「うん、ちゃんとこっちに繋がってるみたい」
「繋がってるみたいって…戻ってこれなかったらどうするつもりだったんだよ」
「もう、ジュードうるさーい、いいじゃん結果オーライなんだから」
「て、ことは本当にリーゼ・マクシアに戻る手段があるってことね、むぅ…なんかガイアス王に試されてるみたいで不快…」
「おまえホントに苦手なんだな、ガイアスのこと」
「苦手っていうか、腹立つっていうか」
「はっきりしねぇのな」
「なんか、あのままじゃ独りに成りかねないんじゃないかしらって思って、開き直ってるのか、あの無駄な自信が腹立つっていうか」
名無しの言葉を聞いたアルヴィンが無意識に眉間にシワを寄せ、少しきつい口調で名無しに話し掛けた。
「他人の世話は大概にしとけよ」
「うん、気を付けるけど、どうかしたの?」
「どうもしてねえよ」
「…?変なの」
歯切れ悪くアルヴィンとの話を終えると、ミラとジュードがなにか話し合っていたらしく、全員に向けてなにかやり残したことがあればリーゼ・マクシアに向かっても構わないと言った。
皆やり残したことも、気になることも山ほどあるだろう。しかし目の前のことをどうにかするのが何よりも最優先だと前に進むことを選択した。
「本当にいいのか?」
「うん、だってガイアスに勝っちゃえばそんなの関係ないもん」
「レイアたまには良いこと言うー」
「たまにってなによー!」
「ドロッセルには会いたいですけど…私、戦います」
「ええ、決めねばならない時ですから、爺に残された時間は貴重なのです」
「満場一致でいいんじゃねーの?」
「行こう、ミラ」
皆の意思を再度確認すると、全員で奥へと進んでいった。
空間内はどうやら精霊の力で作られた場所らしく、あちこちを通るのにそれぞれ該当するマナを反応させて進まねばらないようだった。
一見足場が浮いており道がないようにみえたりもするが、仕掛けをといて順調に進んでいった。
進行する際に、精霊のような魔物はいたもののガイアスが用意したような敵兵の姿は誰一人として見あたらなかった。
来るならば堂々と迎え入れるという意思の表明なのだろう。
緊張の中奥へと進むと、奥にはウィンガルが待ち受けていた。
他の四象刃の姿がないことに名無しは一瞬疑問に思ったが、皆から聞いていた話を思い出し、彼が最後の一人なのだということを認識したが、今は胸を痛めている場合ではないと思い直す。
ウィンガルはジュード達がガイアスの重荷になるといい、剣を向けた。
話し合う余地は既に無く、ガイアスの理想のために彼は全力で挑んできた。
「人数的には有利のはずなんだけどね」
「そうとも限らんぞ名無し、奴は強い」
「(おまえ達を先になど行かせん!)」
「何言ってるかわからないぞー!」
「でも、必死なのは伝わってきます」
「こっちも本気で答えなきゃこの先進めないぜ」
かつて四人で小隊を消滅させたといわれている、彼の実力はやはり確かであった。
こちらの人数がいることを逆手にとり、味方同士の攻撃範囲内に上手いこと引き入れている。
間合いをとるのが難しく、こちらも下手に攻撃の手が出ずに苦戦を強いられた。
後援に当たろうとエリーゼが下がり、さらにその援護に名無しがあたる。
苦戦をしつつも、ミラがウィンガルの剣を弾くとジュードがその隙をついて懐へとダメージをいれた。
勝負は確実についたが、それでもウィンガルは立ち上がった。
すると、増霊極の影響を受けながらも ウィンガルは力を振り絞りジュード達のいる足場に剣を突き立て、足場を崩し全員を世精ノ途の底に落とした。
ウィンガルに足場を崩されたが、幸いにも全員足場を失うことはなかった。
だが、それぞれがバラバラの足場に落ちてしまい今ここで全員が一ヶ所に集まるのは無理な状況となっていた。
「登れそうにはないな」
「どうするんですか?」
「けど、立ち止まるわけにはいかないんだ、皆ガイアスのところで会おう」
「誰が一番乗りになるか競争だね」
「ああ、皆この先で合流するぞ」
「それでは、話す時間は惜しいですね」
「どうやっていけばガイアス王のとこにつくかしら」
名無しが最後にポツリというと、ミラがそんなものは簡単だと笑顔を向けた。
ミラの表情を見た全員が、その答えを直ぐに理解し、自然と全員が口を揃え て同じ言葉を発した。
「とにかくまっすぐ!」
その言葉を合図に全員が前へと進んでいった。
名無しは落ちた足場の関係で同行者がいないため、一人での行動となった。
皆たどり着くゴールは同じなのだから、と思うと一人で進むことに恐怖心は全く生まれなかった。
名無しはまっすぐ進んだ先に仲間がいると信じ、ただひたすら目の前の道を走った。
精霊の作り出した世界ならば、ウルがなにかわかるかもしれないと名無しはウルを呼び出した。
「ウル、進む方向ってわかる?」
「いえ、この世界自体私が来るのははじめてなので御役に立つことは」
「んー…それならしかたないわね」
「ですがマスター」
「ん?」
「強くマナを感じる部分が僅かに感じ取れます、そちらに進んでみても?」
「進まない理由がないわね、お願いするわ」
以前、皆がマクスウェルと戦ったときに名無しはその場にはいれなかったことが今でも悔しいと思っていた。
だからこそ、この戦いでどんな形でもいいから皆の役に立ちたいと名無しは強く思っていた。
おそらくウルのいう場所が到着地点なのは間違いない。
せめて誰かの道案内になれればと、名無しは通る道に印をつけて進んでいった。
自分が迷ってしまった場合にも、それが印となるように。
この行為はもしかしたら、役に立たないかもしれない、意味がないかもしれない。
「それでも何かやらなきゃ…私だって仲間だもの…」
名無しの漏れた言葉に、大丈夫だとウルが答えた。
ウルの言葉に背中を押されて、名無しは前へ進むことを続けた。
***
変化の無い景色を走り続け、大分奥まで進んだだろうという時に、名無しは遠くから大きな音がしたのに気がつく。
目を凝らしてみると、僅かに黙視できる下の方でジュードとミラの姿を確認することができた。
二人以外に人の姿は見が見えないため魔物と戦ったのだろうと、最悪の事態ではないと判断し安堵する。
「ウル、進む先ってジュードくんたちがみえるとこであってる?」
「ええ、問題ありません」
「ってことは、二人が無茶する前に追い付かなきゃってことね」
一番にガイアスとミュゼのところに辿り着くのはきっとあの二人だろう。
二人を信じていないわけではないが、ウィンガル一人であの強さだ。
それを従えていたガイアスの力は、想像を越えているだろう。
ジュードとミラならば例え二人であろうと、どちらか独りであろうとも、迷わずガイアスに立ち向かうことは間違いないだろう。名無しは、そんな二人の力になれるよう再び世精ノ途を進んでいく。
一応まっすぐ降りてられないかをウルに確認するが、マナが不安定かつどこかに歪みがある可能性もあるため危険だとはっきりと言われた。
まったくもってその通りだと、わかってはいたが名無しは飛び降りる選択肢を諦めた。
魔物を相手に進んでいくと、目の前の道に戦闘の跡が見えた。
先程ジュード達を見掛けたところなのかと思ったがそこにたどり着くにはまだ少し早いとウルに伝えられると同時に、近くで銃声が聞こえた。
そのような武器を使うのは彼しかおらず、少し進むと武器の持ち主がその姿を現した。
「無事なのね、アル」
「名無しっ、お前こそまともに戦えてんのか?」
「ウルのお陰で助かってるわ」
「…へいへい、そうですか」
「何ふてくされてるのよ」
「いや、無事ならいいさ」
「アルフレドもね」
「さて、合流を喜んでる場合でもねえな」
「うん、急がなきゃ」
目の前にある最下層と思われる場所を見て二人は前に進もうすると、聞き覚えのある声に呼ばれているのに気がつき辺りを見渡した。
「二人とも!一緒にいたんだね!」
「レイアちゃんっそれに、皆」
「二人とも無事で何よりです」
「三人一緒にいたのか?」
「あの、印のついたところを進んでたら、さっきそこで一緒になったんです」
「あ、私も!ここ似たようなところばっかだから助かっちゃった」
二人のいう印というのは、恐らく名無しがつけていったものであろう。
僅かなことでも役に立てればと思い、印をつけておいて良かったと名無しは嬉しく思った。
名無しの表情が少し緩んだのを見たアルヴィンが、印の件を察してのことか名無しの頭を軽く撫でてやった。
「さて、ミラさん達が見当たらないということは」
「うん、多分あの先だと思う」
「ラスボスー!って感じするね!」
「少し、怖いです」
「ちゃんと守ってやるから安心しな、エリーゼ姫」
「爺は守ってもらえますかな?」
「当然、全員守るさ、世界もな」
「言うようになったねー、アルフレドさん」
「うるせぇ」
「では、皆さま。参りましょう!」
ローエンに促され、全員で最深部にはいるとそこでは既にジュードとミラがガイアス達と戦っている姿があった。
ミュゼの力を使役しているガイアスの気迫に一瞬飲まれそうな雰囲気になるが、そこで怖じ気づいてはいけないと気を持ち直し、全員で加勢をする。
「皆!」
「何人でかかってこようとも、俺は俺の理想の為に勝つ」
「こちらとて、お前に負けるわけには行かない、私は私の正義を、信念を貫くために!」
「つーわけで悪いけど勝たせてもらうわ」
「負けないんだから」
「いきますっ」
「ボッコボコにしてやるー!」
「参りますよ」
長期戦は危険だと見込み今が決め時なのだと、全員であるだけの力を振り絞り、最大限の技を次々と放っていった。
レイア、アルヴィン、エリーゼ、ローエン、名無しとそれぞれの全力をだしても、ガイアスは立ち上がり挑んできた。
ミュゼが寄り添いガイアスが構えた瞬間、彼もこの一撃で終わらせようとしているのがわかった。
これが本当に最後の攻撃になる。
ミラとジュードが互いに頷きあい、一呼吸開けて同時に相手へと突っ込むとガイアスも同時に前へとでた。
互いの強大なマナがぶつかり合いその場の空気を激しく振動させた。
振動がおさまる頃に目の前に広がっていた光景は、誇らしげに立つミラとジュードの姿だった。
勝利を喜ぶ時はまだ早く、ミラが四大精霊を呼び出しクルスニクの槍に封じられたマクスウェルを助け出した。
ミラの行動を見ていたガイアスが、ジュード達の理想、エレンピオスとリーゼ・マクシアが互いに救われる世界、協力しあえる世界は遠い幻想だと口にした。
ジュードは弱い人間でも強くなれるよう、強く生きていけるような未来を作るのを見守って欲しいとガイアスにはっきりと答えた。
そしてミラが、何もないと絶望し崩れるミュゼに手を差しのべ、供にいようと声をかけてやる。
ミラの言葉を聞いたミュゼの表情は、とても嬉しそうな顔をしていた。
ぶつかり合った者同士が、互いに理解をし手を取り合うと、解放されたマクスウェルが起き上がりまっすぐミラを見つめ断界殻のマナでミラを人間に戻せるといった。
マクスウェルの発言の意図を皆が掴めずにいると、ミラが迷わず首を横に振った。
「ミラ?」
「ちょっとまって、どういうこと?」
「ミラ消えちゃうの…?」
「ミラさん、あなたという人は」
「そんなの聞いてねーぞ」
「今まで、世話になったな。…ジュード、ここでお別れだ、これまでありがとう」
「…っ僕はもう大丈夫だから、ちゃんと自分の道をいくよ」
「ああ、…マクスウェル」
「…では、断界殻を解こう」
そうして、マクスウェルが頷くと、マナがまるで雪のように輝き世界へと降り注いだ。
マナが満ちるという感覚はとても暖かく、その温もりが世界と自分達を包んでくれているのがはっきりとわかった。
断界殻がなくなったことにより、マクスウェルは指名を果たし還るべきところへと向かった。
消えようとしている世精ノ途に立ち、皆でこれからの世界を見つめた。
これがひとつの終わりであり、一つの始まりなのだと、それぞれが理解をしていた。
ミラの手を握っていたジュードが小さな声で、涙を流すミラに声をかける。
「ミラ、泣かないで」
「…っ泣いてなどいない、私は、マクスウェルなのだから」
そういって力強く言ったミラの表情は今まで見てきたミラのどの表情よりも美しかった。
消えてほしくない、そう誰かが口にしようとしたときには、ミラの姿はそこにはもうなかった。
そして、さきほどまで 自分達のいた世精ノ途も気がつくと消えており、ジュード達はミラの社の前に立っていた。
つい先程まであった存在が突如消えてしまった事が信じられず、確かめるようにエリーゼが口を開いた。
「ミラ…?ミラっ」
「やだよー、ミラに会いたいよー!!」
「行っちゃったんだね…ミラ…」
「とても強く、美しい方でした」
「ちょっと強すぎたけどな」
「ねぇ、ジュード君、…本当によかったの?」
「……、ミラは…」
先程まで温度のあった手を握りしめながら、ジュードは言葉を繋げていった。
「ミラは、いなくなってないよ。ずっと、僕たちのそばにいてくれてる、そうやってこの世界を僕たちを見守ってくれるんだ」
「ジュード君…」
「僕達が今することは、悲しむことじゃない、ミラがくれた大切なこの世界を守ることだから」
「…強くなりましたね、ジュードさん」
「うん、だからちゃんと進まなきゃ」
ジュードの言葉を聞いて、その場にいた全員が気を引き締め直した。
彼女が守ってきたものを、これからも守るものを自分達も守っていかなければならないのだと強く思った。
皆でミラの社を見つめ、彼女が"此処に居る"証をしっかりと確かめた。
誰一人、悲しい顔をしてる者はいなかった。
「それじゃあ、皆いこうか」
「ええ、これからやらねばならないことが山ほど待っていますからね」
「私っドロッセルに会いたいです」
「では、私と供に参りましょう」
「私も、お父さんの料理すごく食べたくなっちゃった」
「僕も、一度ル・ロンドに帰ろうかな」
「私もイラートに帰らないと、店が心配だもの」
「なら送ってくよ、名無し」
それぞれが帰る場所に向けて歩こうと挨拶を交わそうとした時に、ジュードがなにか言いたそうにしていた。
言いたい事があるならば言ってしまえとレイアが言うと、少し照れながらジュードが言う。
「ねぇみんな、その、手紙出してもいいかな」
「おや、当然ですよ、喜んでお返事いたします」
「私もっジュードにお手紙書きます、レイアにも名無しにもっ」
「しかたないから、アルヴィン君もねーっ」
「ついでかよ…、それでも嬉しいよ。ジュード、俺にもちゃんとくれよ?」
「実家に戻るっていったって、どうせジュードはその後すぐにイル・ファンにすぐ戻るんでしょ?今度はちゃんと返事ちょうだいね!」
「ちゃんと綺麗な字で書いてね、レイア」
「あ、あの、じゃあ!イラートの宿にも遊びに来て、待ってるから、その、皆でまたご飯食べたいから」
「うん、また皆で会おうね、僕達は…」
「友達だもんねーっ」
最後の言葉をティポがかっさらいジュードの頭に噛みついた。
ティポを引き剥がしたジュードが一歩前に進んだのを合図として、皆それぞれの向かうべき場所へと歩いていった。
ミラと出会って、皆が新たな始まりを手に入れ、痛みを知りそして大きく変われたこの旅は一生終わることはないだろう。
人が人を愛する限り、人が精霊を愛する限りそれはどこまでも、愛する者に受け継がれていくだろう。
ーまるで永久の約束のように。
「無くない、全然ある」
「そりゃ、有り得るだろうけど」
「わかってるなら、その、嫌なわけじゃないからもう少し、待って」
「大分待ってる方だと思うけどな」
「むぅ…大体そんなことしてる場合じゃないと思うけど」
「二人ともどうかしたの?」
「ううん、なんでもない、おはようジュード君」
集合場所の広場に向かうなり、アルヴィンと名無しがなにやら口論をしているのが目につき、ジュードが声をかけてきた。
なんでもないと答える名無しとは対象的にアルヴィンは何かあるような口ぶりでなんでもないとジュードに返事をした。
喧嘩をしていた、という雰囲気ではないがなんともいえない空気に割入ってしまった感が否めずジュードは思わず苦笑いをした。
そんな空気を流すかのように、次々とメンバーが集まってきた。
全員が揃うと、ジュードが皆はどうしたいのか、と意見を再確認すると、全員口を揃えジュードに協力する道を答えた。
ジュードがガイアスから受け取ったという刀を取りだし、ガイアスが最後まで争わない手段を残している事を示した。
しかし、それぞれの目指すべき未来と抱いた信念が違う今、争わないことなど不可能だろう。
相手が相手なだけに、必要とあらばこちらの命など本気で奪いに掛かってくることは容易に想像できた。
戦うことに恐怖心がないと言えば嘘になるだろう。
だが、やらねばならない時だという覚悟は皆既に固めていた。その決意を胸に一行は次元の裂けた丘へと向かった。
「心なしか小さくなってる?」
「ジュード、頼んだぞ」
「うん」
ジュードが剣を振ると、小さくなっていた次元の裂け目が人が入れる大きさにまで広がった。
どこに繋がっているのか全くわからない空間がそこには広がっていた。
目の前の光景に飛び込むのを少し躊躇っていると、先陣を切ってレイアが元気よく裂け目へ飛び込んだ。
レイアに続いてアルヴィン、エリーゼが裂け目へと飛び込む。
一足出遅れてしまった名無しも飛び込もうとしたが、裂け目まで距離があったため、飛び込むのを躊躇をしてしまう。
すると、ローエンが名無しの横にきて手を差し出してきた。
「よろしければエスコートいたしますよ、お嬢さん」
「それじゃあ、よろしくおねがいします」
「しっかりお掴まりください、行きますよ」
「お、落とさないでくださいね!」
「お任せください」
ローエンに掴まり名無しも中に入るとそこには、幻想的という言葉が果たして適切なのかは定かではないが、リーゼ・マクシアでもエレンピオスでも空間が一同迎えた。
周囲を見渡していると、先に飛び込んだ三人の姿があったがレイアの姿だけがそこにはなかった。
後から入ってきたミラがここは世精ノ途という場所だと説明をする。
だが、以前にミラ達が来たときとは構造が変わっているらしく恐らくマクスウェルの仕業だろうとミラが付け加えた。
すると、独走していたレイアが奥から戻ってきて何かを見つけたようだった。
「ねぇ皆、あっちの方からリーゼ・マクシアに繋がってたよ」
「行ってきたの?!」
「うん、ちゃんとこっちに繋がってるみたい」
「繋がってるみたいって…戻ってこれなかったらどうするつもりだったんだよ」
「もう、ジュードうるさーい、いいじゃん結果オーライなんだから」
「て、ことは本当にリーゼ・マクシアに戻る手段があるってことね、むぅ…なんかガイアス王に試されてるみたいで不快…」
「おまえホントに苦手なんだな、ガイアスのこと」
「苦手っていうか、腹立つっていうか」
「はっきりしねぇのな」
「なんか、あのままじゃ独りに成りかねないんじゃないかしらって思って、開き直ってるのか、あの無駄な自信が腹立つっていうか」
名無しの言葉を聞いたアルヴィンが無意識に眉間にシワを寄せ、少しきつい口調で名無しに話し掛けた。
「他人の世話は大概にしとけよ」
「うん、気を付けるけど、どうかしたの?」
「どうもしてねえよ」
「…?変なの」
歯切れ悪くアルヴィンとの話を終えると、ミラとジュードがなにか話し合っていたらしく、全員に向けてなにかやり残したことがあればリーゼ・マクシアに向かっても構わないと言った。
皆やり残したことも、気になることも山ほどあるだろう。しかし目の前のことをどうにかするのが何よりも最優先だと前に進むことを選択した。
「本当にいいのか?」
「うん、だってガイアスに勝っちゃえばそんなの関係ないもん」
「レイアたまには良いこと言うー」
「たまにってなによー!」
「ドロッセルには会いたいですけど…私、戦います」
「ええ、決めねばならない時ですから、爺に残された時間は貴重なのです」
「満場一致でいいんじゃねーの?」
「行こう、ミラ」
皆の意思を再度確認すると、全員で奥へと進んでいった。
空間内はどうやら精霊の力で作られた場所らしく、あちこちを通るのにそれぞれ該当するマナを反応させて進まねばらないようだった。
一見足場が浮いており道がないようにみえたりもするが、仕掛けをといて順調に進んでいった。
進行する際に、精霊のような魔物はいたもののガイアスが用意したような敵兵の姿は誰一人として見あたらなかった。
来るならば堂々と迎え入れるという意思の表明なのだろう。
緊張の中奥へと進むと、奥にはウィンガルが待ち受けていた。
他の四象刃の姿がないことに名無しは一瞬疑問に思ったが、皆から聞いていた話を思い出し、彼が最後の一人なのだということを認識したが、今は胸を痛めている場合ではないと思い直す。
ウィンガルはジュード達がガイアスの重荷になるといい、剣を向けた。
話し合う余地は既に無く、ガイアスの理想のために彼は全力で挑んできた。
「人数的には有利のはずなんだけどね」
「そうとも限らんぞ名無し、奴は強い」
「(おまえ達を先になど行かせん!)」
「何言ってるかわからないぞー!」
「でも、必死なのは伝わってきます」
「こっちも本気で答えなきゃこの先進めないぜ」
かつて四人で小隊を消滅させたといわれている、彼の実力はやはり確かであった。
こちらの人数がいることを逆手にとり、味方同士の攻撃範囲内に上手いこと引き入れている。
間合いをとるのが難しく、こちらも下手に攻撃の手が出ずに苦戦を強いられた。
後援に当たろうとエリーゼが下がり、さらにその援護に名無しがあたる。
苦戦をしつつも、ミラがウィンガルの剣を弾くとジュードがその隙をついて懐へとダメージをいれた。
勝負は確実についたが、それでもウィンガルは立ち上がった。
すると、増霊極の影響を受けながらも ウィンガルは力を振り絞りジュード達のいる足場に剣を突き立て、足場を崩し全員を世精ノ途の底に落とした。
ウィンガルに足場を崩されたが、幸いにも全員足場を失うことはなかった。
だが、それぞれがバラバラの足場に落ちてしまい今ここで全員が一ヶ所に集まるのは無理な状況となっていた。
「登れそうにはないな」
「どうするんですか?」
「けど、立ち止まるわけにはいかないんだ、皆ガイアスのところで会おう」
「誰が一番乗りになるか競争だね」
「ああ、皆この先で合流するぞ」
「それでは、話す時間は惜しいですね」
「どうやっていけばガイアス王のとこにつくかしら」
名無しが最後にポツリというと、ミラがそんなものは簡単だと笑顔を向けた。
ミラの表情を見た全員が、その答えを直ぐに理解し、自然と全員が口を揃え て同じ言葉を発した。
「とにかくまっすぐ!」
その言葉を合図に全員が前へと進んでいった。
名無しは落ちた足場の関係で同行者がいないため、一人での行動となった。
皆たどり着くゴールは同じなのだから、と思うと一人で進むことに恐怖心は全く生まれなかった。
名無しはまっすぐ進んだ先に仲間がいると信じ、ただひたすら目の前の道を走った。
精霊の作り出した世界ならば、ウルがなにかわかるかもしれないと名無しはウルを呼び出した。
「ウル、進む方向ってわかる?」
「いえ、この世界自体私が来るのははじめてなので御役に立つことは」
「んー…それならしかたないわね」
「ですがマスター」
「ん?」
「強くマナを感じる部分が僅かに感じ取れます、そちらに進んでみても?」
「進まない理由がないわね、お願いするわ」
以前、皆がマクスウェルと戦ったときに名無しはその場にはいれなかったことが今でも悔しいと思っていた。
だからこそ、この戦いでどんな形でもいいから皆の役に立ちたいと名無しは強く思っていた。
おそらくウルのいう場所が到着地点なのは間違いない。
せめて誰かの道案内になれればと、名無しは通る道に印をつけて進んでいった。
自分が迷ってしまった場合にも、それが印となるように。
この行為はもしかしたら、役に立たないかもしれない、意味がないかもしれない。
「それでも何かやらなきゃ…私だって仲間だもの…」
名無しの漏れた言葉に、大丈夫だとウルが答えた。
ウルの言葉に背中を押されて、名無しは前へ進むことを続けた。
***
変化の無い景色を走り続け、大分奥まで進んだだろうという時に、名無しは遠くから大きな音がしたのに気がつく。
目を凝らしてみると、僅かに黙視できる下の方でジュードとミラの姿を確認することができた。
二人以外に人の姿は見が見えないため魔物と戦ったのだろうと、最悪の事態ではないと判断し安堵する。
「ウル、進む先ってジュードくんたちがみえるとこであってる?」
「ええ、問題ありません」
「ってことは、二人が無茶する前に追い付かなきゃってことね」
一番にガイアスとミュゼのところに辿り着くのはきっとあの二人だろう。
二人を信じていないわけではないが、ウィンガル一人であの強さだ。
それを従えていたガイアスの力は、想像を越えているだろう。
ジュードとミラならば例え二人であろうと、どちらか独りであろうとも、迷わずガイアスに立ち向かうことは間違いないだろう。名無しは、そんな二人の力になれるよう再び世精ノ途を進んでいく。
一応まっすぐ降りてられないかをウルに確認するが、マナが不安定かつどこかに歪みがある可能性もあるため危険だとはっきりと言われた。
まったくもってその通りだと、わかってはいたが名無しは飛び降りる選択肢を諦めた。
魔物を相手に進んでいくと、目の前の道に戦闘の跡が見えた。
先程ジュード達を見掛けたところなのかと思ったがそこにたどり着くにはまだ少し早いとウルに伝えられると同時に、近くで銃声が聞こえた。
そのような武器を使うのは彼しかおらず、少し進むと武器の持ち主がその姿を現した。
「無事なのね、アル」
「名無しっ、お前こそまともに戦えてんのか?」
「ウルのお陰で助かってるわ」
「…へいへい、そうですか」
「何ふてくされてるのよ」
「いや、無事ならいいさ」
「アルフレドもね」
「さて、合流を喜んでる場合でもねえな」
「うん、急がなきゃ」
目の前にある最下層と思われる場所を見て二人は前に進もうすると、聞き覚えのある声に呼ばれているのに気がつき辺りを見渡した。
「二人とも!一緒にいたんだね!」
「レイアちゃんっそれに、皆」
「二人とも無事で何よりです」
「三人一緒にいたのか?」
「あの、印のついたところを進んでたら、さっきそこで一緒になったんです」
「あ、私も!ここ似たようなところばっかだから助かっちゃった」
二人のいう印というのは、恐らく名無しがつけていったものであろう。
僅かなことでも役に立てればと思い、印をつけておいて良かったと名無しは嬉しく思った。
名無しの表情が少し緩んだのを見たアルヴィンが、印の件を察してのことか名無しの頭を軽く撫でてやった。
「さて、ミラさん達が見当たらないということは」
「うん、多分あの先だと思う」
「ラスボスー!って感じするね!」
「少し、怖いです」
「ちゃんと守ってやるから安心しな、エリーゼ姫」
「爺は守ってもらえますかな?」
「当然、全員守るさ、世界もな」
「言うようになったねー、アルフレドさん」
「うるせぇ」
「では、皆さま。参りましょう!」
ローエンに促され、全員で最深部にはいるとそこでは既にジュードとミラがガイアス達と戦っている姿があった。
ミュゼの力を使役しているガイアスの気迫に一瞬飲まれそうな雰囲気になるが、そこで怖じ気づいてはいけないと気を持ち直し、全員で加勢をする。
「皆!」
「何人でかかってこようとも、俺は俺の理想の為に勝つ」
「こちらとて、お前に負けるわけには行かない、私は私の正義を、信念を貫くために!」
「つーわけで悪いけど勝たせてもらうわ」
「負けないんだから」
「いきますっ」
「ボッコボコにしてやるー!」
「参りますよ」
長期戦は危険だと見込み今が決め時なのだと、全員であるだけの力を振り絞り、最大限の技を次々と放っていった。
レイア、アルヴィン、エリーゼ、ローエン、名無しとそれぞれの全力をだしても、ガイアスは立ち上がり挑んできた。
ミュゼが寄り添いガイアスが構えた瞬間、彼もこの一撃で終わらせようとしているのがわかった。
これが本当に最後の攻撃になる。
ミラとジュードが互いに頷きあい、一呼吸開けて同時に相手へと突っ込むとガイアスも同時に前へとでた。
互いの強大なマナがぶつかり合いその場の空気を激しく振動させた。
振動がおさまる頃に目の前に広がっていた光景は、誇らしげに立つミラとジュードの姿だった。
勝利を喜ぶ時はまだ早く、ミラが四大精霊を呼び出しクルスニクの槍に封じられたマクスウェルを助け出した。
ミラの行動を見ていたガイアスが、ジュード達の理想、エレンピオスとリーゼ・マクシアが互いに救われる世界、協力しあえる世界は遠い幻想だと口にした。
ジュードは弱い人間でも強くなれるよう、強く生きていけるような未来を作るのを見守って欲しいとガイアスにはっきりと答えた。
そしてミラが、何もないと絶望し崩れるミュゼに手を差しのべ、供にいようと声をかけてやる。
ミラの言葉を聞いたミュゼの表情は、とても嬉しそうな顔をしていた。
ぶつかり合った者同士が、互いに理解をし手を取り合うと、解放されたマクスウェルが起き上がりまっすぐミラを見つめ断界殻のマナでミラを人間に戻せるといった。
マクスウェルの発言の意図を皆が掴めずにいると、ミラが迷わず首を横に振った。
「ミラ?」
「ちょっとまって、どういうこと?」
「ミラ消えちゃうの…?」
「ミラさん、あなたという人は」
「そんなの聞いてねーぞ」
「今まで、世話になったな。…ジュード、ここでお別れだ、これまでありがとう」
「…っ僕はもう大丈夫だから、ちゃんと自分の道をいくよ」
「ああ、…マクスウェル」
「…では、断界殻を解こう」
そうして、マクスウェルが頷くと、マナがまるで雪のように輝き世界へと降り注いだ。
マナが満ちるという感覚はとても暖かく、その温もりが世界と自分達を包んでくれているのがはっきりとわかった。
断界殻がなくなったことにより、マクスウェルは指名を果たし還るべきところへと向かった。
消えようとしている世精ノ途に立ち、皆でこれからの世界を見つめた。
これがひとつの終わりであり、一つの始まりなのだと、それぞれが理解をしていた。
ミラの手を握っていたジュードが小さな声で、涙を流すミラに声をかける。
「ミラ、泣かないで」
「…っ泣いてなどいない、私は、マクスウェルなのだから」
そういって力強く言ったミラの表情は今まで見てきたミラのどの表情よりも美しかった。
消えてほしくない、そう誰かが口にしようとしたときには、ミラの姿はそこにはもうなかった。
そして、さきほどまで 自分達のいた世精ノ途も気がつくと消えており、ジュード達はミラの社の前に立っていた。
つい先程まであった存在が突如消えてしまった事が信じられず、確かめるようにエリーゼが口を開いた。
「ミラ…?ミラっ」
「やだよー、ミラに会いたいよー!!」
「行っちゃったんだね…ミラ…」
「とても強く、美しい方でした」
「ちょっと強すぎたけどな」
「ねぇ、ジュード君、…本当によかったの?」
「……、ミラは…」
先程まで温度のあった手を握りしめながら、ジュードは言葉を繋げていった。
「ミラは、いなくなってないよ。ずっと、僕たちのそばにいてくれてる、そうやってこの世界を僕たちを見守ってくれるんだ」
「ジュード君…」
「僕達が今することは、悲しむことじゃない、ミラがくれた大切なこの世界を守ることだから」
「…強くなりましたね、ジュードさん」
「うん、だからちゃんと進まなきゃ」
ジュードの言葉を聞いて、その場にいた全員が気を引き締め直した。
彼女が守ってきたものを、これからも守るものを自分達も守っていかなければならないのだと強く思った。
皆でミラの社を見つめ、彼女が"此処に居る"証をしっかりと確かめた。
誰一人、悲しい顔をしてる者はいなかった。
「それじゃあ、皆いこうか」
「ええ、これからやらねばならないことが山ほど待っていますからね」
「私っドロッセルに会いたいです」
「では、私と供に参りましょう」
「私も、お父さんの料理すごく食べたくなっちゃった」
「僕も、一度ル・ロンドに帰ろうかな」
「私もイラートに帰らないと、店が心配だもの」
「なら送ってくよ、名無し」
それぞれが帰る場所に向けて歩こうと挨拶を交わそうとした時に、ジュードがなにか言いたそうにしていた。
言いたい事があるならば言ってしまえとレイアが言うと、少し照れながらジュードが言う。
「ねぇみんな、その、手紙出してもいいかな」
「おや、当然ですよ、喜んでお返事いたします」
「私もっジュードにお手紙書きます、レイアにも名無しにもっ」
「しかたないから、アルヴィン君もねーっ」
「ついでかよ…、それでも嬉しいよ。ジュード、俺にもちゃんとくれよ?」
「実家に戻るっていったって、どうせジュードはその後すぐにイル・ファンにすぐ戻るんでしょ?今度はちゃんと返事ちょうだいね!」
「ちゃんと綺麗な字で書いてね、レイア」
「あ、あの、じゃあ!イラートの宿にも遊びに来て、待ってるから、その、皆でまたご飯食べたいから」
「うん、また皆で会おうね、僕達は…」
「友達だもんねーっ」
最後の言葉をティポがかっさらいジュードの頭に噛みついた。
ティポを引き剥がしたジュードが一歩前に進んだのを合図として、皆それぞれの向かうべき場所へと歩いていった。
ミラと出会って、皆が新たな始まりを手に入れ、痛みを知りそして大きく変われたこの旅は一生終わることはないだろう。
人が人を愛する限り、人が精霊を愛する限りそれはどこまでも、愛する者に受け継がれていくだろう。
ーまるで永久の約束のように。