3章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
制御がとかれたゲートの前につくと、皆が進行するのに対して名無しの足が止まった。
「名無し?」
「どうした、名無し、止まっている時間などないぞ」
「…ねぇ、ミラ。聞いてもいい?」
「なんだ、改まって」
「ミラは、マクスウェルなんだよね」
「…っ!あぁ、そうだ」
「じゃあ、これが終わったら私達帰れるようにしてくれることもできるんだよね?エレンピオスが死んでいくのも助けることができるんだよね?」
「それは、私の力の及ぶ範囲ではないはずだ、それに外界に関してはお前たち人間の愚かさが生んだことだ」
「じゃあ何故その行為に至ったのかを知ることがなかったの?それじゃあ」
「名無し、今そんなこと言ってもどうしようもないだろ」
「でもアルっ」
「名無しさん、お気持ちはお察ししますが、目先の敵を葬ってからではだめでしょうか」
今出すべき話ではない、それは最ものことである。
名無しもそれをわかっていて今どうしても話したかったのである。
もしかしたら、ミラがマクスウェルではないかもしれない。
その事は、これから倒すべく敵に大きくかかわる問題の一つなのである。
黒匣を用いたものは皆、今までマクスウェルによって葬られてきた。
現在目の前にいる"マクスウェル"はそのために目の前の大きな黒匣を壊すべく命を懸けて戦っている。
ずっと、落としてはいけないという命を危険に晒しながら。
大きな矛盾が名無しの中で引っかかり気持ち悪さを生んでいた。
その不快感を抱いたまま、ミラを戦いに挑ませていいのだろうか、と名無しは懸念した。
ミラはこの違和感に気が付いているのだろうか。
ミラのことだ、おそらく気が付いているのなら皆に話していてもおかしくない。
気がついていないのならば、今話しておくべきことなのではないか、と名無しは気を焦らせたのだった。
皆には、守ってもらえなかったエレンピオスの人間の嘆きに聞こえる形になってしまったためこの場で話すことではないと咎められた。
実際、この話を一から今ここで整理しだすときりがないことだと名無しも諦め納得し胸に残る不快感を持ったままその先へと進んだ。
「この先で、終わらせるのか…」
「あぁ、守るぞ、リーゼ・マクシアを」
「…ん、ミラよろしくね」
「お前たちがいるからだ、ゆくぞ!」
息を整え、皆で一斉に中央制御室へと突っ込む。
すると、そこにはクルスニクの槍を背に座り込んでいるジランドの姿があった。
ジランドは精霊術を使用し、ミラ達に挨拶代わりに攻撃をする。
得体の知れない精霊術に皆が驚いていると、名無しも自分に備わっているそれを使用しこれがなんなのかをジランドに問いただした。
ジランドは、セルシウスと呼んだその精霊が源霊匣というものだと説明する。。
黒匣とは違い、化石に眠っている精霊を直接具現化させ使役するため精霊が死ぬことはない。
そしてジランドはその手にした力、セルシウスを道具だと言い、同じ力を持つ名無しを同様に道具だと言い指差した。
「なぁ、名無し。誰のおかげで手に入れた力だ?今なら間に合うぜ、道具として使ってやる最後のチャンスだ」
「ジランドさん、あなたが源霊匣をみつけたことは偉大よ、そして感謝もする…けどあなたの今の行動は間違ってるとしか思えないわ」
「それ以上は言わないほうが利口だと思うがな」
「言わなくても理解してくれてありがとうございます、でも私はあなたの道具になるつもりはないわ、そして私の中のこの力もあなたの道具にするつもりはない」
「残念だな、おい。じゃあこの場で故郷の地を踏むことなく死ぬんだな!」
ジランドが銃を抜きこちら発砲してきた。
全員で応戦するが、具現化しているセルシウスは大精霊であるためその力も絶対的なものだった。
兵をまとめあげるだけの実力があるジランドが精霊一人を操ることは造作もない。
人数でいえばこちらが勝っているが、戦闘センスの高いジランドとの交戦はそれなりに過酷なものである。
確実にこちらの複数の動きをみて攻撃をしかけてくるため、自分たちの動きたいように動くのがなかなか困難であった。
「エレンピオスを救うのに、こんなやり方間違ってるわ!」
「はっ!てめぇの両親は世界を救うためにてめぇ自身ってんだろ、お前もそれを快く受けてる!今その願いがかなうんだありがたく思えよ!」
「ふざけるな!その様なもので名無しの願いが叶うなどあり得るわけがない!」
「はっ元はと言えばマクスウェル、てめぇのふざけた思想が根源なんだよ!」
「それは黒箱を生み出したお前達の自業自得だ!!!」
ミラが勢いよくジランドに切りかかり、セルシウスの装置を弾き飛ばしジランドの首に剣をあてがった。
勝敗が目に見えてわかり、一度その場が静まり返る。
そしてジランドが、源霊匣は精霊がいなくなり死を待つだけのエレンピオスを救うと語りだした。
名無しもその話には正直賛同できるところがあった。
源霊匣は精霊を殺さない、ゆえにこれ以上エレンピオスの精霊が死ぬことはなく黒匣を失ってもエレンピオスの民は生きる術を失わずに済む。
「ジランドさん、貴方の見つけたことは偉大です…本当にすごいことだと思う…」
「なら何故否定する必要がある、世界が救われる、俺たちの、俺たちの世界が」
「だが、それも結局お前達の身勝手が招いたことだろう」
「俺じゃねえ!そうだろ、生まれる前から、ずっとだ!」
ジランドの叫びが、ぐっと名無しの胸に刺さった。
「…そう、私達じゃない、私たちは生まれた時から、滅ぶのを約束されてそれに気が付いても救いの手なんか誰も出してくれなった」
「そうだよ、なぁ名無し、お前の家が受けてきたもんだ、わかるだろ」
「知っていたんですね・・・。でもそれでもリーゼ・マクシアの人たちを糧にして生きていくのが正しい理由にはならないわ」
「まだいい子ぶるつもりか…っ!ぐ…っ!!ああああっ」
「?!」
突如ジランドが苦しみだし、その場に倒れこんだと思うとセルシウスが消えると共にジランドが息絶えた。
どうやら、源霊匣を使った反動を受け命を落としたようだった。
横たわるジランドからアルヴィンが銃を拾い上げこれは返してもらうといい、ホルダーに収めた。
最後にアルヴィンが、ジランドの本当の名を呼びおじさんと付け加える。
利用されたといっても、アルヴィンにとっては最後に残った唯一の身内だったのだ。
せめて最後に、ジランドをそうだと認めてあげることが唯一の弔いだったのだろう。
そして、ミラが槍に近づき封印されていた四大を開放すると同時に突然、船全体にどこかから協な重力の精霊術が発動された。
「な…っに?!」
「動ご、けないー…っ!」
「つぶされちゃうよー!」
強力な重力に身動きが取れないでいると、ジュードが槍で術を破れないのではと提案する。
しかしここにいる全員のマナを併せ持っても、これだけの技を解くのは命がけになるであろう。
ミラが槍を操作するため、ゆっくりと立ち上がり槍のほうへ向かう。
そして、意味を理解したくない言葉を口にした。
「皆が命の危険を冒す必要ない…」
「ミラ…?」
ミラが自分を形成するマナを用いて槍を発動させようとしたことがすぐわかった。
「ミラ!ダメ!あなたもしかしたら!!」
「名無し!…皆まで言わなくともわかっている、なんとなくわかっていたんだ」
「だったら!!」
「ならば余計、私は証明しなくてはならない、私はお前たちが、人間が、この世界が大好きだからな」
「ダメだよミラ!ミラ!」
「ジュード、もうむりだ!」
「でもアルヴィン、ミラが!ミラが!」
崩れていく艦体の奥で、ミラがほほ笑んだのがわかった。
リーゼ・マクシアを救うだけでなく、今ここで命を落とせばエレンピオスにアルヴィンと名無しが帰ることができる。
その願いも叶えようということなのだろう。
全ててを救おうとしている、けれど、ミラがマクスウェルでなければそれは何の意味もない犬死と一緒である。
名無しはそれを避けたく必死にの思いで立ち上がりミラに向かおうとした。
だが、その行動はアルヴィンの手によって防がれてしまう。
何をするのだと言いたかったが、横目に見た彼の表情が重力以外のもので歪んでいるのがわかりそれを言葉にすることができなかった。
ミラの決死の想いを目の前に、何を最優先にするべきかを見失い悔しさで名無しは涙を流した。
「ごめんなさい…っ」
小さくこぼした謝罪の言葉とともに、槍からマナが解放され術はとかれた。
体の自由がきいた瞬間、ミラに駆け寄ろうと動き出すも足場となっていたガラスが砕けミラのいたところにもコンクリートのが塊となって落ちるのが見えた。
自分の体を支えていたものも同時に完全に失い、皆は海に体を投げ出された。
港に流れ着いたときに、そこにミラの姿はなかった。
「名無し?」
「どうした、名無し、止まっている時間などないぞ」
「…ねぇ、ミラ。聞いてもいい?」
「なんだ、改まって」
「ミラは、マクスウェルなんだよね」
「…っ!あぁ、そうだ」
「じゃあ、これが終わったら私達帰れるようにしてくれることもできるんだよね?エレンピオスが死んでいくのも助けることができるんだよね?」
「それは、私の力の及ぶ範囲ではないはずだ、それに外界に関してはお前たち人間の愚かさが生んだことだ」
「じゃあ何故その行為に至ったのかを知ることがなかったの?それじゃあ」
「名無し、今そんなこと言ってもどうしようもないだろ」
「でもアルっ」
「名無しさん、お気持ちはお察ししますが、目先の敵を葬ってからではだめでしょうか」
今出すべき話ではない、それは最ものことである。
名無しもそれをわかっていて今どうしても話したかったのである。
もしかしたら、ミラがマクスウェルではないかもしれない。
その事は、これから倒すべく敵に大きくかかわる問題の一つなのである。
黒匣を用いたものは皆、今までマクスウェルによって葬られてきた。
現在目の前にいる"マクスウェル"はそのために目の前の大きな黒匣を壊すべく命を懸けて戦っている。
ずっと、落としてはいけないという命を危険に晒しながら。
大きな矛盾が名無しの中で引っかかり気持ち悪さを生んでいた。
その不快感を抱いたまま、ミラを戦いに挑ませていいのだろうか、と名無しは懸念した。
ミラはこの違和感に気が付いているのだろうか。
ミラのことだ、おそらく気が付いているのなら皆に話していてもおかしくない。
気がついていないのならば、今話しておくべきことなのではないか、と名無しは気を焦らせたのだった。
皆には、守ってもらえなかったエレンピオスの人間の嘆きに聞こえる形になってしまったためこの場で話すことではないと咎められた。
実際、この話を一から今ここで整理しだすときりがないことだと名無しも諦め納得し胸に残る不快感を持ったままその先へと進んだ。
「この先で、終わらせるのか…」
「あぁ、守るぞ、リーゼ・マクシアを」
「…ん、ミラよろしくね」
「お前たちがいるからだ、ゆくぞ!」
息を整え、皆で一斉に中央制御室へと突っ込む。
すると、そこにはクルスニクの槍を背に座り込んでいるジランドの姿があった。
ジランドは精霊術を使用し、ミラ達に挨拶代わりに攻撃をする。
得体の知れない精霊術に皆が驚いていると、名無しも自分に備わっているそれを使用しこれがなんなのかをジランドに問いただした。
ジランドは、セルシウスと呼んだその精霊が源霊匣というものだと説明する。。
黒匣とは違い、化石に眠っている精霊を直接具現化させ使役するため精霊が死ぬことはない。
そしてジランドはその手にした力、セルシウスを道具だと言い、同じ力を持つ名無しを同様に道具だと言い指差した。
「なぁ、名無し。誰のおかげで手に入れた力だ?今なら間に合うぜ、道具として使ってやる最後のチャンスだ」
「ジランドさん、あなたが源霊匣をみつけたことは偉大よ、そして感謝もする…けどあなたの今の行動は間違ってるとしか思えないわ」
「それ以上は言わないほうが利口だと思うがな」
「言わなくても理解してくれてありがとうございます、でも私はあなたの道具になるつもりはないわ、そして私の中のこの力もあなたの道具にするつもりはない」
「残念だな、おい。じゃあこの場で故郷の地を踏むことなく死ぬんだな!」
ジランドが銃を抜きこちら発砲してきた。
全員で応戦するが、具現化しているセルシウスは大精霊であるためその力も絶対的なものだった。
兵をまとめあげるだけの実力があるジランドが精霊一人を操ることは造作もない。
人数でいえばこちらが勝っているが、戦闘センスの高いジランドとの交戦はそれなりに過酷なものである。
確実にこちらの複数の動きをみて攻撃をしかけてくるため、自分たちの動きたいように動くのがなかなか困難であった。
「エレンピオスを救うのに、こんなやり方間違ってるわ!」
「はっ!てめぇの両親は世界を救うためにてめぇ自身ってんだろ、お前もそれを快く受けてる!今その願いがかなうんだありがたく思えよ!」
「ふざけるな!その様なもので名無しの願いが叶うなどあり得るわけがない!」
「はっ元はと言えばマクスウェル、てめぇのふざけた思想が根源なんだよ!」
「それは黒箱を生み出したお前達の自業自得だ!!!」
ミラが勢いよくジランドに切りかかり、セルシウスの装置を弾き飛ばしジランドの首に剣をあてがった。
勝敗が目に見えてわかり、一度その場が静まり返る。
そしてジランドが、源霊匣は精霊がいなくなり死を待つだけのエレンピオスを救うと語りだした。
名無しもその話には正直賛同できるところがあった。
源霊匣は精霊を殺さない、ゆえにこれ以上エレンピオスの精霊が死ぬことはなく黒匣を失ってもエレンピオスの民は生きる術を失わずに済む。
「ジランドさん、貴方の見つけたことは偉大です…本当にすごいことだと思う…」
「なら何故否定する必要がある、世界が救われる、俺たちの、俺たちの世界が」
「だが、それも結局お前達の身勝手が招いたことだろう」
「俺じゃねえ!そうだろ、生まれる前から、ずっとだ!」
ジランドの叫びが、ぐっと名無しの胸に刺さった。
「…そう、私達じゃない、私たちは生まれた時から、滅ぶのを約束されてそれに気が付いても救いの手なんか誰も出してくれなった」
「そうだよ、なぁ名無し、お前の家が受けてきたもんだ、わかるだろ」
「知っていたんですね・・・。でもそれでもリーゼ・マクシアの人たちを糧にして生きていくのが正しい理由にはならないわ」
「まだいい子ぶるつもりか…っ!ぐ…っ!!ああああっ」
「?!」
突如ジランドが苦しみだし、その場に倒れこんだと思うとセルシウスが消えると共にジランドが息絶えた。
どうやら、源霊匣を使った反動を受け命を落としたようだった。
横たわるジランドからアルヴィンが銃を拾い上げこれは返してもらうといい、ホルダーに収めた。
最後にアルヴィンが、ジランドの本当の名を呼びおじさんと付け加える。
利用されたといっても、アルヴィンにとっては最後に残った唯一の身内だったのだ。
せめて最後に、ジランドをそうだと認めてあげることが唯一の弔いだったのだろう。
そして、ミラが槍に近づき封印されていた四大を開放すると同時に突然、船全体にどこかから協な重力の精霊術が発動された。
「な…っに?!」
「動ご、けないー…っ!」
「つぶされちゃうよー!」
強力な重力に身動きが取れないでいると、ジュードが槍で術を破れないのではと提案する。
しかしここにいる全員のマナを併せ持っても、これだけの技を解くのは命がけになるであろう。
ミラが槍を操作するため、ゆっくりと立ち上がり槍のほうへ向かう。
そして、意味を理解したくない言葉を口にした。
「皆が命の危険を冒す必要ない…」
「ミラ…?」
ミラが自分を形成するマナを用いて槍を発動させようとしたことがすぐわかった。
「ミラ!ダメ!あなたもしかしたら!!」
「名無し!…皆まで言わなくともわかっている、なんとなくわかっていたんだ」
「だったら!!」
「ならば余計、私は証明しなくてはならない、私はお前たちが、人間が、この世界が大好きだからな」
「ダメだよミラ!ミラ!」
「ジュード、もうむりだ!」
「でもアルヴィン、ミラが!ミラが!」
崩れていく艦体の奥で、ミラがほほ笑んだのがわかった。
リーゼ・マクシアを救うだけでなく、今ここで命を落とせばエレンピオスにアルヴィンと名無しが帰ることができる。
その願いも叶えようということなのだろう。
全ててを救おうとしている、けれど、ミラがマクスウェルでなければそれは何の意味もない犬死と一緒である。
名無しはそれを避けたく必死にの思いで立ち上がりミラに向かおうとした。
だが、その行動はアルヴィンの手によって防がれてしまう。
何をするのだと言いたかったが、横目に見た彼の表情が重力以外のもので歪んでいるのがわかりそれを言葉にすることができなかった。
ミラの決死の想いを目の前に、何を最優先にするべきかを見失い悔しさで名無しは涙を流した。
「ごめんなさい…っ」
小さくこぼした謝罪の言葉とともに、槍からマナが解放され術はとかれた。
体の自由がきいた瞬間、ミラに駆け寄ろうと動き出すも足場となっていたガラスが砕けミラのいたところにもコンクリートのが塊となって落ちるのが見えた。
自分の体を支えていたものも同時に完全に失い、皆は海に体を投げ出された。
港に流れ着いたときに、そこにミラの姿はなかった。