Judgment
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心配症
エンドロールが流れ、ドラマが終わる。映像がコマーシャルに切り替わると同時に、物語に引き込まれていた意識がすっとこっちへ戻ってきた。隣で一緒に見ていたなまえに目をやると、まだ呆然とテレビの画面を見つめている。
「死んじまったな、相方」
「うん……」
物語の展開に相当なショックを受けたのか、なまえはかなり落ち込んでいる。確かに主人公の相棒はいい奴だったし、こんなところで死んじまうとは思わなかったが……。その落ち込みようはまるで、身近な誰かが亡くなったのかと疑うほどのものだった。
そのままテレビを眺めてしばらく経った頃だろうか、なまえが横でもぞもぞと動き出した。手を握ってきたと思えば腕や体に抱きついてみたりと、何やら落ち着かねえ様子だ。
こんな風に向こうからくっついてくるのは珍しく、思わず「何してんだ?」と訊けばほんの一瞬の間が空いて、それからか細い声が返ってきた。
「さっきのドラマみたいに、いなくならないように」
何だそれ、と思わず笑い飛ばしそうになったが、見下ろした先にあるその顔を見ればたちまちそんなことは出来なくなる。
なまえは泣いていた。ぎょっとして咄嗟にその震える肩を抱き寄せる。必死になって思考を巡らせるも、情けねえことに、このアタマはさっき見たドラマのほかに泣く理由を見つけられない。
「海藤さん、死なないで」
くぐもった声がその言葉を耳に届けたとき、俺はなまえが涙を流す意味をやっと察することが出来た。
なまえが泣いたのは、ドラマの相棒役に俺を重ねて見ていたからだ。物語の主人公とその相棒は、ター坊と俺にどこか似ていた。見た目の話じゃなく、性格とか生き様とかの話だ。だから俺という名の相棒役が死んじまって、不安になって泣いてしまったんだろう。
実際、俺はモグラの事件を解決するまでに何度か死にかけている。何も告げないままなまえをひとりにしたこともあった。……そりゃあ不安になるに決まっている。
「……悪りい。心配、かけた」
強い罪悪感に苛まれ、なまえを抱き締める腕につい力が入ってしまう。海藤さん、と何度も俺を呼ぶ声とシャツの胸元が濡れていく感覚に、なまえがどれほど俺のことを心配していたのかを痛いってほどわからされる。
「大丈夫、大丈夫だ。俺はここにいる」
安心させるためにそっと背中を撫でながら諭すようにそう言ってやれば、なまえは腕の中で小さく頷いた。
……なまえ、俺はいなくなったりしねえよ。
もしまた危険な目に遭うことがあったとしても、死にかけたとしても。お前のために最期まで足掻いてやる。だから――。
「だから、もう泣くな。な?」
2018.12.03
お題:診断メーカー「今日の二人は何してる?」
お題:診断メーカー「今日の二人は何してる?」
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