Story.2 優しさの代償
「えー、改めまして……フレイア・シャルロット、十五歳ですっ! これからよろしくーっ」
再び歩きだした二人……否、三人。彼女、フレイアは明るい声で改めてそう名乗った。
結局同行することとなったフレイア。よく考えてみると、彼女が行動を共にすることは、戦力増強といった意味以外にも少女にとってプラスになるかもしれないとハールは思う。安易な素人考えだが、人との交流が記憶を自力で思い出させることを誘発するような気がするのだ。それに、歳が近い同性がいれば、彼女も楽しいのではないか。少なくとも、話下手な自分と二人きりよりは。
記憶師の家までという短い道のりではあるが、旅は道連れ、何とやらである。
「そういえばハール君は
「一定の範囲を転々としてるだけだから前者は微妙。後者に関しては、まぁ金がなくなったら」
フレイアの視線の先には、腰に下げた鎖に通され、飾り枠に嵌められた紅い半球。
「
「あぁそっか、お前知らないよな。
『
「ふーん……あ、今更だけどさ、二人はどんな知り合い? ただの友人……ってワケでもなさそうだよね」
しかし先刻はぐらかそうとしたせいか「あ、言い辛かったらいいんだけど」と付け加えた。ハールが少女に目を遣ると、彼女は頷く。了承を得られたので、出会ってから今に至るまでの経緯を簡単に話すことにした。ただし、昨夜の事については省いて。
「……へー、森の中で偶然とか運命的! 王子様と眠り姫みたいな!? お伽話みたーい!」
説明を聴き終わると、目をきらきらとさせ盛り上がるフレイア。そんな彼女の様子に、お伽話だったらどれだけいいかとハールは小さく溜め息をついた。『事実は小説よりも奇なり』というやつか。
「お前なー……」
「ごめんごめん、茶化してるワケじゃないんだよー。どうせならいい感じに考えた方がいいよ、ね?」
そう言うと、少女に明るく笑いかける。
「……うん」
フレイアなりの励ましなのだと気付いたらしく、彼女は小さく首を縦に振ると微笑んだ。
●●