Story.10 幕間
人々の喧騒、雑踏。それは勿論昼間でもあることだけれど。夜だと同じように聞こえるものの、その本質は全く違う気がする。それはきっと、気がするだけじゃない。
「……ク、」
何故だろう――……
「……コハク!」
「――え?」
……などとどうでもいいことをぼうっと考えていたら、自らの名を呼ぶ声もその他大勢の声に溶けてしまったようだ。賑わいをみせるこの空間なら、何の不思議もないが。
「ちょっと、お客さん呼んでるじゃない。早く注文とってきてよ」
「あー……、ごめんごめん」
一瞬、そっちが行けばいいのに、と思ったが、自分と同じウェイトレスである彼女――……少々癖のある、肩程までのライム・グリーンの髪の少女、ルルシェはサラダを作っているのであろう、野菜を切っていた。あれでは手が離せない。 ――仕方ない、とエプロンのポケットにメモとペンが入っているのを確認し、彼女はこちらに視線を送っている客の元へと向かった。
「……ク、」
何故だろう――……
「……コハク!」
「――え?」
……などとどうでもいいことをぼうっと考えていたら、自らの名を呼ぶ声もその他大勢の声に溶けてしまったようだ。賑わいをみせるこの空間なら、何の不思議もないが。
「ちょっと、お客さん呼んでるじゃない。早く注文とってきてよ」
「あー……、ごめんごめん」
一瞬、そっちが行けばいいのに、と思ったが、自分と同じウェイトレスである彼女――……少々癖のある、肩程までのライム・グリーンの髪の少女、ルルシェはサラダを作っているのであろう、野菜を切っていた。あれでは手が離せない。 ――仕方ない、とエプロンのポケットにメモとペンが入っているのを確認し、彼女はこちらに視線を送っている客の元へと向かった。