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SSS

ついったで書いた140字とSSのログページ

記事一覧

  • ししさに

    20160215(月)01:24
     
    人の身体とは不便なもので動けば動いただけ腹が減る。鳴る腹を押さえ「腹が減った」と主に言えば「知らん」と素っ気なく返された。それでもしつこくしていると、不意に唇を重ねられ、「なら紛らわせてやろうじゃないか」。途端に火がつく単純な身体。ああやはり、人の身とは不便なものだ。

    ( 空腹に効くクスリってありますか )
  • 一さに

    20151025(日)01:28
     
    唇を寄せた赤い耳に囁きながら噛み付いた。小さな悲鳴と共に離された体を無理に引き寄せ「痛いだけですか?」と問えば、逆上せた頭が左右に揺れる。「それはよかった」と優しく笑い、今日もまた、己を刻み付けるように彼女の体へ触れるのだ。(少しずつ少しずつ、貴女を変えて差し上げよう)

    ( 痛い )
  • 歌さに

    20150927(日)01:32
     
    「月が綺麗だね」そう言うと「ついに私に惚れたのか」と楽しそうに笑う主。曰く有名作家が言うところの「愛している」と言う意味らしい。慌てて否定すれば「首くらいくれてやったのに」と残念そうに酒を煽る。訳が分からなかったその言葉。その意味を知り顔を真っ赤に染めるのは、もう少しだけ先の話。
     
  • 歌さに

    20150921(月)01:11
     
    主の指へ銀の輪を贈る。それが現世での婚姻の証だと聞いたけれどいまいち実感は湧かなかった。しかし涙目で「ありがとう」と呟く主を前にすれば途端に湧き上がるこそばゆい歓喜。「幸せに、してくださいね」自分を想い、人の世を捨てた愛しい女性。「喜んで」叶わぬはずだった永遠を、ありがとう、主。

    ( 永遠を現実にしてしまう人 )
  • 歌さに

    20150904(金)01:42
     
    こっそり額に口付ける。焦がれる主人へ無言で伝える愛情。疲れて眠る彼女は並のことでは目覚めない。はずだった。「歌仙…」潤んだ瞳に見上げられ石のように体が固まる。交わった視線が外せずに、嫌な汗が頬を伝った。「今の、どういう意味?」消え入るようなその問いに、どう答えたらいいのだろう。

    ( こたえられない )
  • 歌さに

    20150903(木)01:49
     
    廊下の隅に折り畳まれた紙が落ちていた。拾い上げ、何だろうと開いてみて息を呑む。歌仙へから始まる主からの手紙。少しばかり拙い文章の淡い恋文。不意に、視界の外から紙を奪われ真っ赤な主と目が合った。「見た?」泣きそうな顔で呟く主に頷きながら手を伸ばす。返事は、口頭でも構わないだろうか。

    ( 恋、拾いました )
  • 歌さに

    20150901(火)01:52
     
    主に呼ばれ部屋へ行くと突然茶を渡された。添えられた菓子は主が手作りしたそうで、曰く「いつも頑張ってくれているお礼」らしい。「皆には秘密ね?」言って人差し指を唇へ当てる主の姿に酷く理性が揺さぶられた。「ありがとう、主」無理に笑ってみせた後、口にした菓子は殆ど味がしなかった。

    ( 特別だと思ったんだ )
  • 江さに

    20150825(火)01:55
     
    熱に魘され苦しそうに息を吐く審神者の頬へ手を触れた。「江雪さんの手、冷たくて、気持ちいい…」薄く目を開き無理に笑ってみせた主に「そうですか」とだけ答えて寝るように諭す。熱い額に手を置きながら、血塗られた手にも役立つことはあるのだと、ほんの少しだけ、救われたような気がした。

    ( 冷たい指先 )
  • にほさに

    20150823(日)01:58
     
    からかうつもりで主の唇を奪ってみた。予想外に抵抗されずそのまま舌を差し入れてみれば、瞬間躊躇なく噛み付かれ口内を満たした鉄の味。反射的に身を引いて、見開いた線の先で彼女が浮かべた不敵な笑い。口端の赤をねとりと舐め取る仕草に煽られた体は、震えるほどに熱を帯びはじめていた。

    ( それ以上は許さない )
  • フォグ (ゼノクロ)

    20150820(木)02:01
     
    カキンと音がして前歯に鈍い痛みが走った。本当にこんな事があるのかと相手の方へ目を向ければ、口元を押さえ不思議そうに俯いている。「あの…」再びかち合った僅かに熱の篭る視線。「もう一度、いいですか?」聞かれ、返事の代わりに目を閉じる。初めて触れた唇は、ほんの少し鉄の味がした。

    ( もう一度チャンスを下さい )