SSS
ついったで書いた140字とSSのログページ
記事一覧
マレ監
20200709(木)05:15
あ、と呟いた鼻先に白い結晶が張り付き消える。冬空の下で身震いし「そろそろ中に」と言いかけた所で背後から黒い長身に蓑虫のごとく包まれた。「マレウス?!」驚き向けた顔は大きな手で向き直され、視線の先には先程まで解説を受けていたガーゴイル。雪の舞い散る庭先で部活はまだ続くようだった。
( 冬空と雪 )フロ監
20200703(金)03:41
付き合って、触れ合って、繋がって。十分幸せなはずなのに何かが足らず満たされない。夜も寝れず考えて、ああと気付き涙が伝う。「抱きしめたい。力いっぱい全力で」それの意味を伝えるより早く伸ばされた腕が背中へ回る。「大好き」どちらともなく呟いて、それで初めて満たされたのだ。――パキン。
( 強く抱きしめる )ジャク監
20200629(月)15:02
一瞬だけ走った痛みがすぐに甘い熱へ変わる。どうやら無意識らしいけれど毎度噛まれるのは同じ場所。「……ジャック」呼ぶと素直に顔が寄りその隙をついて首を噛む。驚き固まる眼前で自身の首筋を指差して「これでお揃い」一言呟き笑ってみせる。必死に隠したつもりだろうが尻尾は元気に躍っていた。
( 愛情表現 )イデ監
20200627(土)16:30
特別でもない事が何故こんなにも難しいのかと毎回思う。ちらりと視線を向けた先。目当てのものはポケットの中。暫し考え吹っ切れてえいやと手を突っ込んだ。「ファッ?!」悲鳴と共に引き攣る顔へ握った手を突きつける「デート中ですよ、先輩」やけくそ気味に吐く台詞。耐えれず逃げ出す5秒前の惚気話。
( 手を握る )エー監
20200626(金)07:15
「大丈夫だから」その言葉に違和感を覚えたのは仲良くなってすぐだった。毎度張り付いた笑みにイラついて寮の部屋で問い詰める。知らない世界にたった一人。大丈夫なわけないだろう。ほんの少し間を置いて溢れた涙を隠すよう胸元へ頭を抱き寄せる。制服のシャツを濡らす水がなぜだか妙に心地よかった。
( 黙って泣きやがれ )むつさに
20180613(水)07:21
治らぬ病であると告げた時、それはぼたぼたと審神者の上へ降り注いだ。驚いたな⋯と呟いてから起き上がり、両手を濡れた頬に添え、溢れる雫を舌で拭う。生温くて塩辛い。「ごめんなぁ、むつ」初めて見せた近侍の涙は、人と同じ味がした。
( 初めて見た涙 )
( 本丸に囚われた幽霊がまだ人だった頃の話 )燭さに
20170411(火)19:37
床に転がった主から舐めるような視線を感じる。端末を叩く指先から腕へ、首筋と耳を経由して引き結ばれた唇を射抜く。すぼらな彼女の無言の誘い。しばし続いた攻防虚しく「参りました」と息を吐き、嬉しそうに歪んだ口へお望み通り蓋をした。
( 誘う視線 )(燭台切は審神者に甘い)英あん
20170410(月)01:10
「却下」と投げ捨てられた紙が宙を舞い、高そうな絨毯へ落ちていく。自分で笑ったお粗末な企画書には目もくれず、睨めつけるのは未だに慣れない不敵な笑み。「それで、ここへ来た本当の目的は?」問われ、思わず飲み込んだ唾の音。──ただ、会いたくて。例え見透かされていも、誰が言ってやるものか。
( 見透かされてる )むつさに
20160505(木)01:14
宴の余興の延長戦。たった二本のくじを引けば、相手の木箸に赤い色。「今度は、わしが主じゃのう」にかっと笑った近侍にぞわり。なにせ十連敗の仕返しだ。利き手に持った猪口の水面が、知らずゆらりと揺れていた。(楽しそうないつもの笑みが、こんなにも邪悪に見えるなんて…)
( 二人だけの王様ゲーム )アイン (鉄血)
20160328(月)01:19
躊躇いがちに伸ばされた指へ触れると彼の体が僅かに震えた。逃がすまいと身を寄せれば、ふわりと体が宙に浮き、すぐ近くに君の顔。咄嗟に逸らされた赤い瞳へ口付けて、してやったりと笑ってやる。焦ったように伸縮を繰り返すアイカメラの輝きが可愛くて、可笑しくて。どうしようもなく、愛おしかった。
(変わってしまった君と、変わらないでいてくれた君。そのどちらも君だから、私は一緒にいられるの。)