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とうらぶlog

 
 初めて会った時から子供扱いされている事は知っていた。そりゃ、私はただの人間で相手は刀の付喪神なのだから年下な事に間違いはないのだけど。それでも一応は私が主人なのだから、もう少しくらい認めてくれたっていいんじゃないだろうか、と。

「よお、大将。どうした、また阿呆みたいにぼーっとして」
「ッ!やげ…むぅっ!」
 最後まで言い終わらない内にどこからか現れた薬研に両頬を摘まれる。咄嗟に相手の手首を握って抵抗するが、ニヤニヤ笑う薬研の手は鋼で出来ているかのように微動だにしなかった。何度かぐにぐにと頬肉を弄ばれた後、解放された頬を撫でながら薬研の顔を精一杯睨み付ける。
「痛いじゃないですか!」
「そうか?そりゃ悪かったな」
 そう言いつつも全く悪びれない薬研の様子に思わずため息が出てしまった。やはり私は主として認められてないんだろうか。そう考えた途端、あまりの情けなさでじわりと滲んでいく視界。
「は!?」
 それに気付いた薬研が驚いて目を見開き、瞬時に私の両頬に手の平を添えながら、低い声で呟いた。
「悪い。まさか泣くほど痛がるなんて思ってなかったんだ。大丈夫か?今すぐ治療して…」
「ちっちが!違うんです、薬研!」
 逆に驚き慌てる私を見て、薬研が不思議そうに眉を顰める。「なら、何で泣いたんだ」と本気で心配してくれている薬研に申し訳なさを感じながら理由を口にすると、今度は薬研の口から大きなため息が吐き出された。
「…やっぱり、大将は阿呆だったんだな」
 その言葉で再度視界が滲んでいくが、次いで耳に届いた言葉は様子が違っていた。
「確かに大将は情けないし、審神者としても未熟だと思ってる。でもな、だからって主人として認めてないってわけじゃあないんだ。それに…」
 認めてなきゃ、大将なんて呼ばないしな。
 言いながらわしゃわしゃと髪の毛を撫でてくる少し無骨な手に、やはり子供扱いされてるなとは思う。でも今は、それすらも嬉しく感じていた。
「…そう言う台詞、ずるいですよ」
 でも、ありがとうございます。
 小さく続けた言葉を聞いて、薬研の顔に悪戯っ子のような笑みが浮かんでいく。
「あんなのでいいならいくらでも言ってやるぜ?三つだろつが四つだろうが、大将の好きなだけ、な」
「そんなにいりませんよ!」
 そう言ってぷいと顔を背けた私の頭を優しい手がぽんぽんと叩く。そういう所がずるいのだと言っているのに。少し熱を持ってしまった今の顔では、言い返すことなんて出来そうもなかった。


(2015/05/02)
参加log/お題提供 #刀さに版深夜の審神者60分一本勝負
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