このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

 

 いつもの本丸、いつもの部屋。
 ぽかぽかと日の当たる縁側寄りの畳にだらしなく寝転がり、手にした携帯端末へこれまただらしのない笑みを向けている審神者。
 そこへ、言いつけられていた内番作業を終えた鶴丸国永が報告の為に訪れ、主の姿を視界に入れるなり大仰にため息を吐いてから脱力したように項垂れた。

「あのなぁ、主。いくら皆が出払っているからといって、ちょっとばかり気を抜きすぎなんじゃないか?」
「だーいじょぶだって。審神者にだってお休みが必要なんです、ってね」

 毎日が休日のような魔女の身で何を言っているんだと、鶴丸は呆れ気味に片手で額を押さえたが、その魔女に望んで仕えている己の存在も同時に思い出し、結局は考えるだけ無駄だという結論に至った。
 それでも小さく息を吐きながら、寝転がる主の横へと腰を下ろす。

「で、さっきから何を熱心に見ているんだ、君、は……」

 言いながら主の手元を覗き込み、途端口の端をひくりと引きつらせる。
 端末の画面に映っているのは、本丸から解放されて以来嫌と言うほど見る羽目になった機械人形。所謂ロボットだ。

「カッッッコイイでしょー!今やってるゲームに出てくる子たちなんだけど、このシュッとしたフォルムがドストライクでさー!!」

 しまった、と思った時には既に遅く。完全にスイッチの入ってしまった審神者の嬉々とした語りが、辟易する鶴丸の耳朶を右から左へ通過しては消えていく。
 時折、適当な相槌を返しながらちらと盗み見た主の顔。僅かに頬を赤らめ、楽しげに語るその表情は一見すると恋する乙女のようだ。
 以前、冗談半分で「君は機械人形なんぞに恋をするのか?」と聞いた際、当然のように肯定され酷くショックを受けたことがある。
 それ以来、彼女がこうなってしまう度に思うのだ。
 人の子が機械に恋をするのならば、刀が人の子に恋をしたっていいじゃないか、と。
 もっとも、それが成就するかどうかは、また別の話しなのだけど。

「ほんと、退屈とは縁遠いお人だよ、君は」

 ひとりごちた呟きは、熱を増していく審神者の声に混ざるようにして消えた。
 どうやらもう暫くは、恋敵の話しを聞き続けねばならぬようだった。


 今日もあなたは通常運転

[ 2015/07/28 ]
2/2ページ