prologo
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
少女は知っていた。
両親と呼ぶべき存在が自身に愛情など持っていなかったことを。
それどころか、自分は“研究結果”であり“最高傑作”でしかなかったことも、誰よりも自覚していた。
少女は知っていた。
自分が愛情に飢えていたことを。
どんな形であれ、自分を見てくれるならそれだけでよかった。
その感情を言葉にすることを知ったのはだいぶ後だったとはいえ、物心つくより前からずっと思い続けていた。
だから少女は許せなかった。
“唯一の最高傑作”ではなくなることが。
“成功例の一つ”にされてしまっては、少女がこれまで甘受し続けてきた様々な実験が無駄になってしまう。
両親の望みが少女ら“成功例”を使った
間違っていることは分かっていた。
それでも少女は少女の世界が維持されるのなら他者がどうなろうと興味が無かった。
この“償い”も、本当ならどうだっていいのだ。
罪悪感が無いとは言わない……それでも少女は“愛する両親”を否定する感情は欠片もないのに、何を償うのかと思ってしまうから。
どんな人間であっても、少女には唯一の“愛する両親”なのだ。
それでもその“償い”をやめないのは、両親が否定され続けることに耐えられなかったからというだけのこと。
世界でいくら否定されようと、直接彼らの行いを受けた人が口に出さなくなれば彼らを思い出す人も居なくなるはずなのだ。
そうすれば否定されることはなくなっていく……否定されるくらいなら少女の中にひっそりと残っていればいい。
嫌な記憶は誰しも忘れてしまいたいモノだから、無かったことにして笑えるなら、少女が“償い”としてその環境を整えることに反対はされなかった。
費用や手間はそれなりに掛かったものの、今少女を“保護”しているファミリー以外に“
それは確かに少女の為の“償い”でしかなかった。
少女は知っている。
自身の感情が“間違い”であることを。
抱くべきでは無い、強すぎる愛情は八年もの月日が経っても色褪せることはなく、“愛する両親”を否定される度に強くなってしまった。
確かにあの頃より大切にされ、愛されているはずの場所で少女が愛せたのは“
2/2ページ