据え膳
がしゃり、と手元で鎖が鳴る。何が起きたのか、快斗には理解が出来なかった。
今日は特に予定もなくただ新一とだらだらと過ごすつもりだった。だというのに、今いるのは日の当たらぬ部屋。あるものはベッドが一台と椅子が一脚。この部屋の持ち主を推測できるものは何もない。怪盗として活動を始めてから今まで何度となく危機に陥ってきたけれども、此処まで自身の意識の及ばぬことは無かった。
「あ、起きてたか」
たった一つあるドアから姿を現したのはシャツを羽織っただけの好敵手たる探偵の姿。
「名探偵…?なんで」
「なんでだと思う?」
身動きの取れない快斗の前に座り込みにしゃりと笑う姿は常と変わらぬ強気なものだ。
白い指先が快斗の首から繋がる鎖を掬い上げ微かに上を向かせられた。スラックス越しに感じる探偵の素肌の熱に否応なしに反応してしまう自身に情けなく眉が下がる。
「なぁ、快斗」
すっと寄ってきた体は快斗の体を押し倒すほどに近く乗り出している。天井に唯一ある光源が探偵の背に隠されその表情を確認することは出来ない。
「据え膳、喰う気はねーか?」
ぐり、と探偵の足が微かに反応を示している快斗の中心を押す。それですら痛みよりも快感が勝り小さく唸り声をあげてしまう。
鎖で繋がれた両手は自由が少なく、けれども、怪盗の能力を持ってすれば外すことは容易いはずの鎖が見える鎖以上の力を持って快斗の動きを制限する。
何かが可笑しい、と警鐘を鳴らすけれども次第に熱を持ち出す脳内と身体に流されてしまえと欲が騒ぐ。
「めーたんて…」
はっと息を吐きながらその白いシャツ、開けられた胸元へと唇を寄せれば頭上から吐息が降ってくる。理由は判らない。此処が何処かも、判らない。
唯判るのは、目の前にあるこの熱だけ。
「たべて、いいの?」
そろり、と見上げればぐっと鎖を引かれ顔を近づけられた。
「どうぞ、めしあがれ?」
大きく響く鎖の音。
据え膳は頂くものです。
今日は特に予定もなくただ新一とだらだらと過ごすつもりだった。だというのに、今いるのは日の当たらぬ部屋。あるものはベッドが一台と椅子が一脚。この部屋の持ち主を推測できるものは何もない。怪盗として活動を始めてから今まで何度となく危機に陥ってきたけれども、此処まで自身の意識の及ばぬことは無かった。
「あ、起きてたか」
たった一つあるドアから姿を現したのはシャツを羽織っただけの好敵手たる探偵の姿。
「名探偵…?なんで」
「なんでだと思う?」
身動きの取れない快斗の前に座り込みにしゃりと笑う姿は常と変わらぬ強気なものだ。
白い指先が快斗の首から繋がる鎖を掬い上げ微かに上を向かせられた。スラックス越しに感じる探偵の素肌の熱に否応なしに反応してしまう自身に情けなく眉が下がる。
「なぁ、快斗」
すっと寄ってきた体は快斗の体を押し倒すほどに近く乗り出している。天井に唯一ある光源が探偵の背に隠されその表情を確認することは出来ない。
「据え膳、喰う気はねーか?」
ぐり、と探偵の足が微かに反応を示している快斗の中心を押す。それですら痛みよりも快感が勝り小さく唸り声をあげてしまう。
鎖で繋がれた両手は自由が少なく、けれども、怪盗の能力を持ってすれば外すことは容易いはずの鎖が見える鎖以上の力を持って快斗の動きを制限する。
何かが可笑しい、と警鐘を鳴らすけれども次第に熱を持ち出す脳内と身体に流されてしまえと欲が騒ぐ。
「めーたんて…」
はっと息を吐きながらその白いシャツ、開けられた胸元へと唇を寄せれば頭上から吐息が降ってくる。理由は判らない。此処が何処かも、判らない。
唯判るのは、目の前にあるこの熱だけ。
「たべて、いいの?」
そろり、と見上げればぐっと鎖を引かれ顔を近づけられた。
「どうぞ、めしあがれ?」
大きく響く鎖の音。
据え膳は頂くものです。
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