Craig Shannon の物語
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『奥様、おめでとうございます。元気な男の子ですわ』
なかなか子供に恵まれなかった私達に待望の赤ちゃんが生まれた。
9月9日。
その日は雲ひとつない晴天だった…。
体重は3300g
身長は52㎝
ごくごく普通に生まれてきてくれた彼は金髪の髪の毛がうっすらあって、まるでその日の空を映したかのような綺麗な青の瞳をもっていた。
そんな私達の可愛い赤ちゃんに、夫は“クレイグ”と名付けた。
クレイグはとってもいい子。
ミルクもよく飲むし、よく眠る。
2ヶ月後半で首がすわり、5ヶ月で寝返りをするようになった。
8ヶ月と10日目でつかまり立ちをし、それから2ヶ月…彼は初めて自分の足で地を踏みしめ歩いたの。
たった…3歩。
でもこの3歩は彼の人生において重要な意味のある初めの3歩。
私や夫は勿論。執事や侍女やメイド…家の者達皆も喜んでくれて、その晩は彼の3歩を祝して皆で乾杯をした。
そして10ヶ月頃…クレイグが“ママ”って私に話しかけた。
重要なのは“パパ”でも“マンマ”でもなく、『ママ』だったという事。
勿論夫は悔しがっていたけれど、この子はちゃんとわかっているわ。
ママの機嫌を取れば家庭が平和だって事を。…なんて。
リスみたいにふわふわした頬っぺたを真っ赤にして『ママ』『ママ』って…
クレイグ、あなたはいつまで『ママ』って甘えてくれるの?
クレイグが3歳になったある日。
国王陛下が突如崩御され、王太子様が新たに国の父となられた。仕事で城に詰めっぱなしの夫に代わり、私はまだ小さいクレイグを連れてお城へ赴いた。
正直、クレイグはゾグラフ家のリカルドとは違い寡黙…と言うか、無愛想。
大人達に囲まれて饒舌に話すリカルドとは反対に、私の足元に隠れてしまい、そのうちこの子はドレスの中に隠れてしまうのではないか…と、思わせるくらいの人見知りをみせた。
けれども、亡き国王陛下の棺の前に着くなり騎士のように膝をつき、誰に教えられた訳でもないのに祈りを捧げていた。
新国王は『この子の内には恐らく青い熱を持たない炎が灯されているのだ』とお言葉を下さった。
熱の無い…炎。
揺らぐ事ない信念、忠誠。
私は何故か名誉な事を喜べず、可愛い一人息子が遠くに行ってしまうような寂しさを覚えた。
雨の音がオーケストラの様に賑やかな月のない夜。
優しい夫の腕の中で休んでいた時、あの人が言った言葉が私の胸につかえていた寂しさを消した。
『男の子は母親のもの。男は妻のもの。…クレイグはまだ君のものだけど、いつかは彼の妻となる人の物になるんだよ。騎士として、領主として守るべき物が多くなるが、陛下も認めて下さった様にクレイグには“素質”がある。私達はクレイグを立派に育て、いつか私達の娘となるお嬢さんに胸を張って彼を託せるようにしておこう』
その晩は彼の広い胸に抱かれ、眠るまでクレイグの愛するお嬢さんの想像話をひたすらしていた。
“きっとお花が好きな子よ。”
“月夜の様に静かな子じゃないか?”
やがて朝が来ると、大地を潤し雨は止んだ。
私の花壇の花々は嬉しそうに咲き乱れ、眩しい快晴の青空を見せる。
『ママ!虹がでた!』
見上げた息子の青い瞳にはキラキラとした虹がかかっていた。
なかなか子供に恵まれなかった私達に待望の赤ちゃんが生まれた。
9月9日。
その日は雲ひとつない晴天だった…。
体重は3300g
身長は52㎝
ごくごく普通に生まれてきてくれた彼は金髪の髪の毛がうっすらあって、まるでその日の空を映したかのような綺麗な青の瞳をもっていた。
そんな私達の可愛い赤ちゃんに、夫は“クレイグ”と名付けた。
クレイグはとってもいい子。
ミルクもよく飲むし、よく眠る。
2ヶ月後半で首がすわり、5ヶ月で寝返りをするようになった。
8ヶ月と10日目でつかまり立ちをし、それから2ヶ月…彼は初めて自分の足で地を踏みしめ歩いたの。
たった…3歩。
でもこの3歩は彼の人生において重要な意味のある初めの3歩。
私や夫は勿論。執事や侍女やメイド…家の者達皆も喜んでくれて、その晩は彼の3歩を祝して皆で乾杯をした。
そして10ヶ月頃…クレイグが“ママ”って私に話しかけた。
重要なのは“パパ”でも“マンマ”でもなく、『ママ』だったという事。
勿論夫は悔しがっていたけれど、この子はちゃんとわかっているわ。
ママの機嫌を取れば家庭が平和だって事を。…なんて。
リスみたいにふわふわした頬っぺたを真っ赤にして『ママ』『ママ』って…
クレイグ、あなたはいつまで『ママ』って甘えてくれるの?
クレイグが3歳になったある日。
国王陛下が突如崩御され、王太子様が新たに国の父となられた。仕事で城に詰めっぱなしの夫に代わり、私はまだ小さいクレイグを連れてお城へ赴いた。
正直、クレイグはゾグラフ家のリカルドとは違い寡黙…と言うか、無愛想。
大人達に囲まれて饒舌に話すリカルドとは反対に、私の足元に隠れてしまい、そのうちこの子はドレスの中に隠れてしまうのではないか…と、思わせるくらいの人見知りをみせた。
けれども、亡き国王陛下の棺の前に着くなり騎士のように膝をつき、誰に教えられた訳でもないのに祈りを捧げていた。
新国王は『この子の内には恐らく青い熱を持たない炎が灯されているのだ』とお言葉を下さった。
熱の無い…炎。
揺らぐ事ない信念、忠誠。
私は何故か名誉な事を喜べず、可愛い一人息子が遠くに行ってしまうような寂しさを覚えた。
雨の音がオーケストラの様に賑やかな月のない夜。
優しい夫の腕の中で休んでいた時、あの人が言った言葉が私の胸につかえていた寂しさを消した。
『男の子は母親のもの。男は妻のもの。…クレイグはまだ君のものだけど、いつかは彼の妻となる人の物になるんだよ。騎士として、領主として守るべき物が多くなるが、陛下も認めて下さった様にクレイグには“素質”がある。私達はクレイグを立派に育て、いつか私達の娘となるお嬢さんに胸を張って彼を託せるようにしておこう』
その晩は彼の広い胸に抱かれ、眠るまでクレイグの愛するお嬢さんの想像話をひたすらしていた。
“きっとお花が好きな子よ。”
“月夜の様に静かな子じゃないか?”
やがて朝が来ると、大地を潤し雨は止んだ。
私の花壇の花々は嬉しそうに咲き乱れ、眩しい快晴の青空を見せる。
『ママ!虹がでた!』
見上げた息子の青い瞳にはキラキラとした虹がかかっていた。