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テニス

 遠野は君島が好きだった。何故ならば君島が君島だったからだ。そうとしか言えなかった。
 相容れない存在の筈の男。それなのにやっと自分と同じ形の生き物に会えたかのような、そんな衝撃があった。ダブルスを組んだとき、自分のテニスを間近で見た君島の視線を受けた時、遠野にはわかった。こいつは俺に相応しい相手だ。恐らく誰のことも信用していない。回りは敵だらけ。そんな日常を過ごしていることが容易に想像できる目だった。
 芸能人だもんな。遠野は納得した。おばあちゃんがいっていた。芸能人は悪いことをしないと大成できないと。

 
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