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テニス

「自分がされて嫌なことは人にしてはいけない、というでしょう?だから遠野くんとペアを組む役割を誰かに押し付けるなんて、そんなことはできなかった」
「手下すのは良かったのかよ?」
「それは私がやりたいことだったので」
「お前は本当…」
 クツクツと喉を鳴らして、遠野は君島にもたれた。
「それ本当は、逆だぜ。自分がしてほしいことを同じように人にもしなさい、だぜ」
「悪くはないですね」
「お?」
「終焉を誰かに委ねるというのは」
「ふーん……ヘヘッヘヘヘヘ」
 君島は目を閉じて遠野の肩に顔を埋めた。
「疲れてんな」
 返事はなく、やがて規則正しい寝息が聞こえてきた。遠野は君島の眼鏡を外すとしばらく顔をつついて遊んだが、起きる気配はなかった。そのうちに飽きて君島を寝室へと運んだ。
 
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