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始まりは突然に

ぽそりぽそりと、誰かを……いや、誰でもないい誰かに不満をぶつける声ばかりが集まる。

見た目は黒を基調としたアールデコ調で、いかにもエリート意識がある者たちが好みそうなデザインがされたカフェのテラス席に。

真冬の雪がちらつくのに、一人でぽつりと座る──ふわふわとした柔らかそうで、毛先がくるっとしたボブカットヘアーの、モルモット耳でとても愛らしい小動物のような見た目の青年コリアンダーは。

暖かな室内で、ぬくぬくと暖まりながら楽し気に『また、あのH-45AIが……悪さをしたそうだ。しかも今度はΩを誑かして……嗚呼可哀そうに、俺たちがアレから助けてあげなければ』と、嬉しそうに嘲るように笑う声を。

テラス席に向かう為に開けられている入口を通して、聞きたくもないのに聞かされるので。

「これだから、αは嫌いなんだよな……あること無い事を、あんな風に言って、自分たちがやっている非道な事は目をつぶる……。あと、何が助けてあげなければだと……こんな冬空に『Ωの俺をテラス席にしか、座らせてくれないのに』何を助けるんだよ、この世界から冥府へと導く救いか? ふざけんなよ」

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