このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

相思相愛の愚者と人形

夜の闇を祓うかのように、白くそして眩い太陽の光を見る度に……。 

──無性に、意味がわからなくなる程悲しくなって。 

自分の気がおかしくなっているのかと、毎回疑いながらも、目から涙が勝手に溢れてしまう。
今の私に、苦しみなど何一つもないのに。

「……どうして、こんな風になるんだろう。私は今幸せなのに……この朝日を見る時だけ可笑しくなる」そう消えいるような声音で 秋津志摩は呟き、綺麗と言い難い灰色の海をじっとバルコニー付きのホテルの窓から見つめてから。

静かな寝息を立てて、まだ眠っている……。

金のような銀の髪を腰まで伸ばしたロングヘアーの愛き人でもある、ランゼルト様の側に近寄って。

ごろりと猫のような動きで、彼の隣に潜り込んで……。

普段だったら見ることも叶わない、珍しい寝顔を見てやろうと思って。

彼の顔をじっくり見つめようと、彼の顔に優しく手をかけた瞬間。

「……残念だが、私の寝顔はもう見えないぞ」
「えっ……ちょっ……も、もしかして、起きてたんですか?」

「当然だろうっ……と言いたい所だが、さっきお前が入ってきた時に目が覚めた」

ランゼルトは寝起きでまだ頭が動いていないような、気だるけな雰囲気で言い放ちながらも。

熊のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめるかのように、朝の挨拶的なハグをしてくるので。

私は今日もそれに同じように答えながら、

「ちゃんと、朝早く起きれてえら〜い!」と仲の良い親友に言う冗談のように返せば。

「それを言うなら、秋もだろう? 僕よりは朝強いけどさ。 お互い夜型だろう」

「ちょっとそれは言わないでくださいよ、そんなことより、私お腹空いてきたので朝ごはん食べに行きたいです。というか、行きましょう!」
1/2ページ
スキ