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新しく現れた良牙はこう言った、「おれの姿を騙って名前さんをこんな破廉恥な場所に連れ込みやがって!」、一方で殴られた頬を摩る良牙は「名前さん、こいつは偽物です、だまされないでくださいっ!」と喚いた。
一体何がなんだか、未だ尻餅をついたままの名前はもちろん、尾行していたあかねも、もう1人の良牙を連れてきた乱馬も訳が分からなかった。
「名前さん、本物のおれはこんな卑怯な真似はしません!」
「名前さん、本物はぼくです!ぼくは人を殴ったりしないでしょっ!」
「う、う〜ん…」
後者の方は発言に違和感があるが…2人とも見ればみるほど、まったくもってそっくりなのだ。
埒が明かねぇ、と乱馬はさっきの銭湯から風呂桶に入れて頂戴した残り湯を後者の方の良牙にざばりと頭からかけた、身体中が濡れてほかほか温まるだけで、別に普段と変わり無い姿だった。
「なっ、何するんですか乱馬くん!」
「い、いや…あっためてやろうと思って」
と言うと、その良牙はきょとんとしてから、「そ、そうだったんですか、ありがとうございますっ!」となぜかにっこり笑った。
「もうこっちが本物でいいんじゃねえか、なんかかわいげがあるし」
「だっ、だけど、その…ホテルに連れ込もうとしてるのよ!?」
「どっちもすけべだし変わんねーだろ、なっ、良牙」
「乱馬…きさまぁ…!」
もう名前そっちのけで、乱馬と良牙はぎゃあぎゃあと騒いでいる、そんな中でかわいげのある良牙の方は「大丈夫ですか?」と名前の手を引いて、よいしょと腰を上げる手助けをしてくれた。
そしてそのまま手をぎゅっと握りしめ、良牙は名前を真剣な眼差しで見つめる。
「名前さん、あいつは偽物ですっ。きっとぼくに復讐したくて、子ブタが変身して邪魔しにきたんですっ!」
「ん、んん〜?」
「あっ、こんにゃろ卑怯な!」
「偽物はだまっててくださいっ!」
かわいげのある良牙はパッと手を離し、名前に背を向けてまったく同じ姿をした良牙と言い合いになる。
一体どうしてこうなったんだ…と、溜息を吐きながら視線を落とした瞬間、名前はぎょっとした。
「り、良牙くん、お尻が…」
「えっ」
「んっ?」
名前は見てしまった、そして呟いた、「しっぽ…」と、すると2人の良牙は同時に尻に手を当てて隠した。
「しっぽってなんだよ」乱馬が聞く「しっぽはしっぽよ」名前が言うと、乱馬は指先を宙に浮かせてくるくると円を描く。
「それってまさか…豚の…」
「ち、違うのっ」
名前は両手を使って大きく丸い円を描いた、「もっとこうふわふわの…」と空を見上げながら言いかけたところでもっとぎょっとした、「り、良牙くん、耳が…」すると今度は片方の『かわいげのある』良牙が尻から手を離し両手で頭を抱えた。
すると抑えていた腰のところに、ふさふさの栗毛のしっぽがぴょこんと生えていたのである。
「これはしっぽだな」
「しっぽ、よね…」
「それもふわふわのしっぽだ」
その場にいる誰もがそう言った、一体どういうことなんだ。
するとしっぽの生えている良牙はふるふると震え、か細い声で「名前さん…」と俯きながら呟いた。
「ぼくの、ぼくのことは…忘れてください!!」
そう叫ぶと一目散にホテル街から走り去っていく、その後ろ頭には確かに三角形の耳がついていた。
残された名前や乱馬、あかねと良牙はぽかんとした、一体全体なんの騒ぎだったんだ、だけど名前だけはハッと思い出したことがある。
「もしかして、あの子…」そう言うと名前は良牙の後を追いかけた、あのしっぽと耳は間違いない、だけどどうしてこんなことをしたんだろう。