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準決勝ともなれば今までの予選とは違い、技術力の高い白熱した戦いが繰り広げられる…とも行かなかった。
良牙のサーブボールは目にも留まらぬ速さで一直線に乱馬のコート目掛けて打たれた、乱馬はそれを打ち返してやろうとラケットを振ると、手首に強い衝撃が走る。
「良牙&右京チーム、フィフティーン!」
「打ち返したじゃんかよ!」
ぱっと手の中のラケットを見ると、なんとストリングにはボールの形にぽっかりと穴が空いていた。
「きたねーぞ、良牙!」
「俺は正々堂々とテニスをしているだけだ!」
すでに常人では理解ができないレベルの試合が繰り広げられる、果たしてこれはテニスと言えるのかどうか、テニスと称して格闘バトルをしているだけではないのだろうか。
「こんな試合でいいんですかねぇ?」進行係が審判に聞いた、「まあラケットとボールは使っているので」と適当な返事が返ってきた。
ルールは知らないにしても、お互いの運動能力や技術力は同レベル、乱馬と良牙はネット越しに睨み合う。
試合は30分続いた、お互い4セットずつの同点、勝負の要は次のセットでどちらが取るかで決まる。
「こうなったら、卑怯な手だけど…」
名前は乱馬に提案した。
「相手のミスを誘発するしかないわ」
「なんのこっちゃ」
「良牙くんのサーブやレシーブは確かに力強くて敵わない、でも正確性が甘い…だからコート外に打たせるの」
「つまり…」
「正々堂々とテニスをしましょう」
話は終わった、もうちゃんとしたルールに則ってテニスをしよう、そうじゃなかったら話にならない。
次のサーブは良牙、思った通りに力任せにボールを打ってきた。
乱馬は咄嗟にラケットを振ろうとして…やめた、ボールが勢いよくそのまま一直線に観客席まで飛んで行く。
当然、名前と乱馬のチームに得点が入る、右京は思い切り自身のパートナーの頭をどついた。
仕方ない、これだけはしたくなかったが…右京は良牙に耳打ちをする。
次のサーブは名前だ、何やら仲睦まじい様子の相手チームにちょっぴりムッとしながら高くボールを上げて打った。
「うっ、右京!旅行楽しみだなあっ!」
ぎくしゃくしながら良牙が腹から声を出して言った、右京は「そうやねえ、良ちゃん!」とぶりっ子しながらボールを打ち返した。
「な、なんなんだあいつら…」
戸惑いながら乱馬は打ち返した、「初めての2人っきりの旅行やもんね!」「そうだなあ!」と会話をしながら良牙はボールを緩く打った。
「意味わかんない…」
むかむかする、名前は返ってきたボールを相手のコートに飛ばした、少しだけ打球が早い気がする。
「呪泉郷に行ったら、うちとの約束守ってくれる?」「ああ、守るさっ」右京がまた打ち返す、「きゃあ、やったぁ。良ちゃん結婚してくれるって!」誰に言いふらすわけでもなく右京が黄色い声を上げた。
「は、はああ?」
一瞬呆気に取られてボールを見逃しそうになるも、乱馬は慌てて自分を取り戻して、目の前のボールにラケットを振った。
「こ、このぉ!」
うまくコントロール出来たつもりが、自分の背後で聞こえてきた怒声に驚いて玉の焦点がずれた、相手のコートど真ん中に高く緩く飛んでいく。
まずい、チャンスボールだ、良牙の目が光った。
「良牙くんの浮気者!!」
「う、ええ!?」
渾身の力を込めて打ったスマッシュは一直線に名前の体めがけて飛んで行った、「あぶない!」打った張本人である良牙は叫んだがもう遅い、ボールは減速することなくみるみると彼女の体に吸い込まれるように飛んでいく。
名前は目をつぶった、ボールが人間の体に衝突する鈍い音がコート中に響いた、でもいつまで経っても痛みや衝撃は自分の体に感じなかった。
恐る恐る目を開けると、ボールの跡を顔面につけているパートナーの姿が見えた。
「い、いひゃい…」
「乱馬くん、かばってくれたの!?」
必死に涙を流すまいと顔を上向きにして頷いた。
観客席はざわついた、審判が駆け寄って「どうする?試合棄権する?」と聞くと、乱馬はやせ我慢に叫んで「続行に決まってんだろ、ちくしょーめ!」と鼻を抑えている。
「試合続行するようでーす!」
「しぶといやっちゃ…」
ところが、乱馬の顔に打ち込まれたはずのボールが見当たらない。
仕方ないので別で用意したボールを使って…と思っていると、作業着を着たやたら訛りのある男がとことことコートの中に入ってきて、「これ、おめーんとこのテニスボールだべ?」と審判に差し出してきた。
「おらさすぐそこんとこで水道管工事してっけどよ、このボールさ飛んできて水道管に当たってしまったんだべ」
「は、はあ…」
「もうすぐ破裂すっから避難したほうがいいんでねーか思って来たけどよ、こりゃ遅かったべな」
水柱がコート横の通路で大きく音を立てて高く上がった、勢い良く流れ出る水流はやがてみるみるうちにコートの中に流れ込んできた。
「乱馬くん!」名前は叫んだ、あろうことか水流は乱馬に襲い掛かるように一直線、あっという間に体ごと飲み込まれてしまった。