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風林館高校のテニスコートに小気味良い爽やかなボールの音が響く、本日の体育の女子授業は硬式テニスだった。
体育用具室で埃かぶっていた古いラケットを振る女子生徒たちの健やかな姿に男子生徒はサッカーもそっちのけで見惚れていた。
視線の的は校内でも随一の美少女と誇る天道あかね、そしてそのあかねに負けず劣らずボールをうまく跳ね返すのは苗字名前だった。
「うまいもんやねぇ」
右京は長くラリーの続く2人の勝負に思わず本音が漏れた。
「子供の時に習ってたから」と名前は答えながらボールを追いかけて打ち返した、大抵のことはそつなくこなすあかねも同じようにボールを返す。
勝負はどっちつかず、チャイムが鳴ると強制的に終了となった。
授業後、女子更衣室であかねは名前に「名前ちゃん、テニス大会出るの?」と藪から棒に聞いてきたので、首を傾げた。
どうやら今週の日曜日、町内で自由参加のテニス大会があるらしい、参加者は必ず男女ペアで、優勝すれば豪華な賞品が貰えるという。
そういえばそんなチラシが電柱に貼っていたのを帰り道で見たような気がする。
そりゃあ人並みにテニスは出来るけど、転校してきたばかりの身ではそもそもペアになってくれる異性がいない。
豪華賞品は気になるけど、「興味ないかなぁ」と面倒なことは関わらないことにした。
帰り道、あかねに言われた事が気になって、覚えのある電柱を探した。
思った通りにチラシが貼っている。
『第1回町内男女カップルテニス大会(ダブルス)今週日曜日開催!優勝したカップルにはなんと!豪華中国呪泉郷ツアー旅行をプレゼント!』
「…じゅ、呪泉郷…?」
誰がそんなもん行きたがるんだ、よくよくチラシの端っこを見れば、協賛にはばっちりと父の務めるヘンテコ商社の名前が。
名前はあかねがやたら張り切っている理由がなんとなく分かった、正しく言えばあかねのペアの方だろう。
そう言えば、呪泉郷のガイドは泉に落ちても治る方法が1つだけあると言っていたような覚えがあった、詳しくは聞いていないが。
ところが大会を控えた前日の朝、すでに登校しているはずのあかねの姿は教室にない。
そのかわりに乱馬が名前の目の前に立ち塞がり、なんと思い切り頭を下げたのだった。
「頼む、俺とペアを組んでくれ!」
可哀想なことに、あれだけ乱馬のためにと張り切っていたあかねは昨晩風邪を引いてしまい高熱が出てしまったらしい。
乱馬はどうしても今回の大会に勝たなければならなかった、理由は想像の通り、だけど一番に信頼を寄せていたペアは今や頼れなくなった。
そこで白羽の矢が立ったのは名前、乱馬はばっちりとあの体育の授業で彼女のラケット捌きを見ていたのだ。
「荷が重いなぁ」
名前は当然断る気でいた、だってそんなのだったら女子テニス部の誰かに頼んだ方がいい、こっちはブランクがあるのだ。
すると乱馬は少し悔しそうな顔をしてから、ぼそっと呟いた。
「テニス大会、良牙も来るって言ってたっけなぁ〜」
「………」
ぴくりと名前の肩が震えた、乱馬はもう一押しだと思った。
「ほら、俺らブタ仲間だから」
「…ほんとに?」
「ほんとほんと!」
ちなみに大嘘である。
こうして乱馬はうまいこと名前を騙し、無事明日の大会のペアを見つける事が出来た。
しかしその様子をよく思っていない人物が1人いた。
放課後、右京は町内で思いつく限りの空き地という空き地を探し回り、ようやく不審なテントを見つけた。
違法に占拠していることを通報したい訳ではない、不躾にテントの入り口を開けるとそこから男を無理やり引っ張り出した。
「なにするんだ!」
「やかましーわ!散々人に手間かけさせおってからに!」
お目当ての男を探し当てると、一枚の紙切れを差し出した。
雨や風でくしゃくしゃになってしまった張り紙…『第1回町内男女カップルテニス大会』の告知。
「うちとあんた、ペアで参加するで」右京が言うと、「悪いが俺とは付き合えない」と全く見当違いの回答が来たのでお好み焼きのヘラでどついてやった。
「よく見てみい!」
「ん?『豪華中国呪泉郷ツアー旅行プレゼント』…?」
それを見るなり、男は「右京、おまえ、いいやつだな…」とまた変に勘違いをしているが、残念なことに右京はこの男に優勝賞品を譲るつもりなんて更々ない。
「そうや、立派な男になってあかねちゃんにプロポーズするんやろ?」なんて語りかけるが、本音を言えば豪華賞品を手にしたら乱馬にプレゼントし、好感度を上げてそのまま2人で旅行に行こうと企んでいるだけだ。
「お前の気持ち、嬉しいぜ…絶対に優勝してやるからな!」
そうとも露知らず、この男…響良牙はまんまと計画に乗らされてしまったのだった。