*恋ってやつは5選<加藤>
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このままではダメだ。いいわけがない。
そう決意して自分自身に自販機禁止令を出した。
今のままの関係で満足出来なくなったいちにんしょうはどうにか進展したくて、楽屋でもバス内でも同じ現場の時は史帆の隣をキープできるように目を光らせていた。
「最近なまえの方がとしちゃんブームじゃない?」
『…ソンナコトナイヨ』
「絶対そんなことあるじゃん、ハマったの?」
『まあ、そんなとこ』
やはりキャプテンには見透かされていて恥ずかしくなって机に伏せて顔を隠す。
『どうしたらいいと思う?』
「ん?何が?」
『この気持ち』
「それ、私に聞く〜?としちゃんに直接聞いてみれば?」
『それが出来たら苦労しないんだよ…親友だからなんでも分かってんでしょ』
「まあね〜、でも、前の方がとしちゃん活き活きしてたよ?」
『前…?』
「2人でコソコソしてんの知ってんだからな~、あ、としちゃんきたよ」
『行ってくる』と張り切って史帆の近くにいき『おはよ』と言えば「おはよ〜」と返される。
そしてそのままいちにんしょうを素通りして席に着く。
隣の席に座れば「ごめん、ちょっと」とトイレに立ち上がる。
『コレ見て』と史帆の好きそうな動画を見せれば「ウケる〜、みーぱんもみて」と周りのメンバーに振って2人で話す事はほぼ0になった。
それが数週間ともなれば流石のいちにんしょうも心が折れかけてしまう。
もしかしたらもうブームが過ぎて別の子に移ったのかもしれない、と見ていても他の子と絡んでる様子もない。
久々に内仕事になった時少し緊張しながら改札を出れば携帯の通知音。
いちにんしょうはまた少し早足で来る事が減ったあの場所に向かっていた。
自販機に近づいて声を掛ければ手だけがふらふらとアピールをする。
『史帆…?』覗き込めば体育座りで顔を伏せたままの彼女がいて
「久しぶりだね、ここで会うの」
『どうしたの』
「なまえはししと2人は嫌だった?気まずかった?」
『なんで、嫌じゃない』
顔を上げた彼女の目には涙を浮かべていて
しゃがんで目元を拭えばボロボロと溢れてくる。
「なんで、優しくするの」と手を払おうとする史帆の手を握りできるだけ優しく抱きしめる。
「なまえずるい」
『最近避けてたのはこれが理由?』
「2人で会いたかった、2人の秘密が嬉しかった、のに」
『嫌われたのかと思って落ち込んだ、楽屋の方が史帆が楽しいかと思ってた、いちにんしょうが1人なの気にしてるのかと思ったし』
「なまえといるのが1番楽しい、だってししは、」
『好きだよ』
遮るように勢いに任せる。
「…いつから」
『ここに会いに来てくれた時から』
『好き、もう逃げないで、いちにんしょうの隣にいて』
「ししも、なまえが好き」
「でも、たまにはここで会いたい」
だめ?と首を傾げる仕草は可愛い以外なにものでもなくて『可愛い』と軽くキスをすれば真っ赤にして「そういうのはまだ早い!」と怒られてしまった。
いちにんしょうの携帯が鳴って見ればキャプテンから“時間だよ”と一言。
『時間!』咄嗟に立ち上がり手を差し出す。
2人でヤバい!と言いながらしっかり手を繋いで楽屋に走る。
収録終わりキャプテンにからかわれたのはまた別の話。