*恋ってやつは5選<加藤>
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「としちゃんのなまえブーム長くない?」
お弁当を食べていると正面に腰をかけた我らがキャプテンに問いかけられる。
『いちにんしょうもそう思う』
「やっぱりー?でもブームっていうのとは少しいつもと感じが違うんだよね」
『そう?』
「きくとしは親友だから、なんでも分かるんだよ」
『ふーん?』
何が言いたいのかさっぱり分からず黙々とご飯を食べる。
そして存在感を消しいつもの場所に行く。
『ぅわ』
「あはは、やっときたぁ」
『なにしてんの』
「なまえの真似~」
いつもみたいに自販機の横に行こうとすれば先客がいて、体育座りをして待っていた。
『なにか飲む?』
「最近よく買ってくれるね」
『…いらないならいいけど』
少し前から、史帆に対して特別な感情を自覚して以来ここで会えば飲み物を買ってあげる。
今はただのブームだから多分それが過ぎればいちにんしょうの所には来てくれない。せめてものメリットを作ろうとした結果である。
そんなこと考えてるとなんだか悲しくなってくる。
「そんな顔、似合わないよ?」
『は…?』
表情に出ていたのか覗き込まれる。
「今日はししが奢ってあげる、なまえはいつもの~」と後ろからいちにんしょうがいつも飲んでいるカフェラテを押す。
背面からの壁ドンは思ったよりも近い距離、耳元にあたる息に固唾をのむ。
『史帆、近い…』
「飲み物なんてなくてもししはここに来るよ?」
耳元で囁かれたその言葉に反論する間もなく「戻るね」と走り去っていった。
後ろ姿から見えた小さい耳が真っ赤になっているのをいちにんしょうは見逃さなかった。