*無防備なきみに恋する5選
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バイト終わり、同じ時間帯の宮田さんに肩を叩かれる。
「お疲れ様、この後暇?」
『ぁ、お疲れ様です、えっ、と、いちにんしょう何かやらかしました?』
「ふふ、違う違う、一緒に飲みに行かない?」
『…タカハシとか呼びますか?』
「私と二人じゃ不満?」
首を傾げて少し頬をふくらませる。
可愛いの具現化とはこの人の事だろう。
慌てて首を横に振ればまた可愛らしく笑い、先に着替えるから待ってるね、とハートマークが付きそうな声で更衣室に入っていく。
宮田さんが出たあと急いで着替えて最低限の身だしなみを整えて『おまたせしました』とリップを塗る彼女に声を掛ける。
従業員出入口から出る時タバコを吸う店長に挨拶すれば「みょうじの事お持ち帰りするなよ宮田!」と後ろから笑われる。
「そんなことしません~!」とべーっとしながら舌を出す彼女は店を出てすぐいちにんしょうの横に並び腕を絡ませてくる。
「お持ち帰り、する方だもんね?」
『ぇ、いや、なんの事ですか』
「何のことでしょうね〜?」
手が腕からおりて指を絡ませられる。
時折ぎゅっとされ思わず軽く握り返す。
「みょうじさんがいつも行ってるお店でいい?」
『え、あそこでいいんですか?宮田さんの口に合うか…』
「私、そんなにお高くみえる?チェーン店とか結構愛用しますよ?」
『そうなんですか…意外ですね、その、この手は』
「嫌?」
『嫌じゃないです、けど、ただ、恥ずかしいんですけど』
いつも飲みに行く時に使っているチェーンの居酒屋に行くまで結局手は離してもらえず、ずっと繋ぎっぱなしだった。
お店に入ってからは自然と手も離れ飲み物とお互いに食べたい物を2.3品注文する。
「はい、じゃあかんぱーい」
『お疲れ様です…!』
「みょうじさん、お酒強いですよね?」
『宮田さんよりは』
「もし、私が潰れちゃったら介抱お願いしますね」
『そんなに飲むつもりですか』
「せっかくなまえと2人だし…?」
『え〜、どういう意味ですか』
「そのままの意味、ねえ、そろそろ敬語やめない?同い年なの知ってるよ?」
『宮田さんは先輩じゃないですか』
「それもやだ、愛萌がいい」
『そ、れは、いちにんしょうにはハードル高いよ』
「私は、なまえにそう呼ばれたいんだけど?」
不意の呼び捨てにドキッとした。
確かに初めて会った時に一目惚れした。
何回かバイト仲間達と飲みに行ったりもしたけど、結局自分からいけなかった。
急にこんな事があっていいのか。
考えたところで全然分からなくて1杯目のお酒を一気に流し込む。
『あんま、からかわないでよ』
「からかってないよ」
『そういうこと言ってると勘違いされるよっ』
「してほしいって言ったら?」
『は…?』
「なまえに対しては勘違いじゃないよ?」
そう言いながら持っていたグラスの上から手を添えられる。
勘違い、じゃないとしたら…?
アルコールで考えがまとまらず気付いたら宮田さんに近づいていて。
あと数センチの所で「待って、ここお店」と手を挟まれる。
『ぁ、ごめん、なさい』
「お持ち帰り、してくれるんだよね?」
『っ…』
あまりの可愛さに言葉にならず首を縦に振る。
その後恥ずかしさを庇うように酒を飲み、予告通り宮田さんをお持ち帰りさせてもらった。
飲んでいる最中も何度も吸い込まれるように宮田さんにキスをした。
呆れたように、でも嬉しそうに受け入れてくれた彼女が何より愛おしかった。