*無防備なきみに恋する5選
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離れたところで一人本を読む姿は絵になる。
2期生として加入した時には一目惚れをしていて、だからといって何か行動に起こせるわけもなくただ、同じ楽屋で遠くから眺めている。
メンバーから話しかけられれば愛想良くニコニコして、同期からも随分と可愛がられている。
こんなんじゃダメだ!と思い毎回ご飯くらいなら、と話しかけるタイミングを探ってはいるものの勇気が出ず一人天井を見上げる。
「ふふ、何見てるんですか?」
『うわっ!!!』
さっきまで見ていたいちにんしょうの想い人小坂菜緒が急に視界に現れる
『な、に、えぇ?何が?』
「動揺しすぎ、視線感じるなって思ったので、来たんですけど勘違い?」
『本読んでるなぁって思って見てただけだよ』
「いちにんしょうさんも読みます?貸しますよ」
『活字読むと2秒で寝ちゃうから遠慮する、あらすじだけ聞かせて』
「なんですかそれ」
と口元に手を添えてくすくす笑う彼女は本当に可愛くて、内心癒されているとさっきまで読んでいた本のあらすじを語り出す。
よくある恋愛モノのヒロインが病で亡くなって主人公が前向きに生きる、みたいなそんな感じのストーリーで、映画化も決定しているらしい。
『菜緒は、好きな人とかいないの』
我ながらスムーズに聞けた気がする。
少し驚いた顔をして「いますよ」とニコリと笑った。
「メンバーが大好きです、まなもとか超可愛いし、美穂も面白くて好きだし、としさんとかもよく遊んでくれますし、」
いや、そういう意味ではなかったんだけど、というか史帆ってそんな菜緒と遊んでんのかよ、羨ましい…
『いちにんしょうもメンバー好きだけど…』
「じゃあ菜緒の事も好きですか…!?」
『え、うんメンバーだからね』
「なまえさんは贔屓してくれないんですね」
残念そうに頬を膨らませる菜緒にずっと前から贔屓しかしてないよ!って言いそうになったがぐっと堪える。
ポーカーフェイスで感情を殺していると菜緒の手がいちにんしょうの手と触れる。
「なまえさんは特別ですよ、気付いてますか?」
「さっき、菜緒もなまえさんの事見とったから、だから…もう、菜緒から言わせる気?」
ゆっくりと握られた指先は微かに震えていて、じっと見つめられれば少しずつ顔が火照ってくる。
『菜緒が好きです、付き合ってください』
「やっと言ってくれた、菜緒もなまえが好き、よろしくお願いします」
と、照れ笑いで返してくる。
「あぁー!イチャついてんな〜!!」
と美穂に見つかればぎゃあぎゃあと周りが騒がしくなる
「菜緒、私が好きじゃなかったの?」
「としちゃんの事は〜?」
と次々と菜緒に好きを求めている。
菜緒は笑いながら適当に返事をしてチラッとこちらを見る。
好きが多い彼女でも、これから先不安にはならないと思う。
机の下で意地でも離さないと力強く握られた手に応えるように握り返せば菜緒の口元が緩くなった。
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