君の為だけに<飛鳥>
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「私の為だけに生きて」
普段からは想像もつかない言葉に思わず息を呑む。
『なに?ドラマかなにかのセリフ?』
「最近見たドラマのセリフ」
『そうなんだ、びっくりした』
「ドキッとした?」
『まあ、でもそんなこと言われなくても飛鳥のために生きてると思うよ』
「嘘ばっかり」
そう言いながら生まれた姿のままタオルケットを羽織っていちにんしょうの携帯に手を伸ばす。
ロックはしてないその携帯に触れSNSの画面が灯される。
「うわき」
『…誘ってきたのは向こうだよ』
「そういうこと言ってるんじゃない」
『いちにんしょう今彼女いないけど』
そう、飛鳥は彼女ではない。
一般的にセフレと呼ばれるものか。
「昨日は誰を抱いて今日は私を抱いて、明日は誰?」
『明日、えっと、まだ未定…?』
「さいてー」
そんなこと言われても数年前に告白して断ったのは飛鳥じゃないか。
─────・・・
『飛鳥ちゃんさ、好きな奴とかいる?』
「いない」
『即答』
「今そんな暇ないから」
『…気付いてないと思うけどさ、いちにんしょう飛鳥ちゃんの事好きなんだよね』
酒の勢いもあったんだと思う。
でもどうせ振られるなら同じことだ。
「…酔ってる?」
『酔ってるけど本気だよ』
「どうしたらいい?」
『…付き合うとかないでしょう?』
「ごめん」
『分かってた』
「でもっ、友達として仲良くしてほしい」
・・・─────
まあ、そんな感じで振られたわけですが。
その後も友達として何回か遊んだわけだが、気付いたら手を出してそれを受け入れられた。
「誰か一人にするとかさ」
『1人にしたい人はいるよ』
「…え、初耳」
『数年前に振られてるから』
「今は、違うかもよ」
『いちにんしょうの好きな人知らないでしょ』
「私でしょ」
『…今は違うかも、ってのは』
声が震える。
好きな女に好きだと知られながらほかの女とセックスしてるなんてなんという屈辱…
「仕事も落ち着いたし…」
『好きになった?』
「……前も好きだった」
『っ、じゃあなんで』
「だっ、て、…」
もごもごと下を向き耳を真っ赤にする飛鳥に私まで顔が熱くなる。
手で顔を覆ってる飛鳥に手を伸ばす。
『不安、だった…?』
その一言にビクッと揺れる。
『ごめん、不甲斐なくて…』
「違う、なまえが悪いんじゃなくて、私が…」
『安心させれなかったのはいちにんしょうだから』
「違うの、ちゃんと向き合えるか分かんなくて…」
「好きだったからっ…中途半端はいやだったっ…!」
下を向いたまま声だけ震えて伝えられた言葉に思わず抱きしめる。
「ひゃ、」と声の後にゆっくり背中に腕が回るのがわかる。
『すき…』
『今も、ずっと好きだよ…』
絞り出した言葉に応えるように腕の力が強くなった気がする。
「…ねえ、明日の予定は?」
その問いに『これからはずっと飛鳥だよ』というとさらに腕の力が強くなった。
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