22時47分<加藤>
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年末であろうといちにんしょうには関係なく、今日も家に着くのは22時過ぎだ。
今年は冷え込むらしくマフラーをしていても少し肌寒く感じる。
自炊なんてする暇なくて、家の冷蔵庫をあけるとあるのは酎ハイや缶ビールのお酒ばかりだ。
明日は唯一の休日だからスーパーで割引のシールが張られた惣菜でも買って帰ろうと最寄り駅に併設されている24時間営業スーパーに足を運ぶ。
惣菜コーナーに向かうけど実際にはほぼ何も残っていなかった。
仕方ない、コンビニにいくか・・・と少しいい日本酒を手にレジを通して道の途中にあるコンビニにはいる。
スーパーよりはそれなりにつまみがある、少し高いけどそれは目を瞑ろう。
家までの道には公園があって、たまに中高生が談笑していたりする。
いちにんしょうもたまに誰もいないときにブランコに乗ったりしたものだ。
ふと、そのブランコに視線を移すと暗がりでよくは見えないが恐らく女の子が何か泣いているようだった。
え、こんな年末にこんなところで泣く!?
見て見ぬふりをしようと一度は通りすぎたもののすぐに公園に戻ってしまった。
『あの、大丈夫ですか?』
「え、・・・なんですか・・・」
『いや、泣いてるから!年末に!こんな夜中に!』
「・・・!あはは、本当だ、泣いてる・・・」
気づいてなかったのか?こんなぼろ泣きなのに?
ていうか、よく見たら、めっちゃ美人じゃないか?この人
『家まで送りましょうか?』
「・・・ないの」
『はい?』
「彼氏と同棲してて・・・今日、ついさっき追い出されたから」
なんというゲス男・・・
このままにしておくわけにもいかないし・・・
『うち、きますか?』
「え・・・!?」
『あ、違う、こんな寒い中で年越しって、あんまりじゃないですか』
「私、お金とかなにもないですよ・・・」
『そんな、いや、お姉さんが嫌じゃなければって話なので、迷惑なら全然』
「ありがとう、お言葉に甘えてもいいかな・・・?」
『じゃあ、とりあえず、これ』
自分の着ていた上着をお姉さん、というには少し若い彼女に渡す。
「いえ、そんな!」
『風邪引かれる方が嫌なので。家すぐそこですから』
「ありがとう・・・」
上着を羽織った彼女は黙っていちにんしょうの後ろをついてきていた。
家は本当にすぐそこで、オートロックを解除して玄関を開けて彼女を招く。
今思えばこんな見知らぬ人、女の子とは言えよかったんだろうか、かなりの美人だしもしかするとこのあと怖い人が出てきたりとか・・・
「あの、」
『は、はい!!!』
「ぁ、ごめんなさい。、やっぱりご迷惑でしたよね・・・?」
『いや、その、』
「私、加藤史帆っていいます、その・・・やっぱり・・・」
『いや!違う!その凄い美人さんだから!美人局的なのだったら、どうしよう、とか、思っちゃって、、』
思わず視線が揺らいでしまう。
「美人なんて、はじめて言われました・・・嬉しい」
はにかむ彼女はとてもかわいく見えて自分でもどうにかなってしまいそうだった。
急いで浴槽にお湯をためてタオルと着替えを準備する。
『お湯溜めてる間、シャワー入ってくるから、なまえが上がったらお風呂入った方がいい、かなり冷えてるみたいだし』
「・・・ありがとうございます」
これは、なんて夢なんだろう
もしかしたら疲労からくる幻覚かもしれない、とシャワーを上がってリビングにいけば少し寂しそうにソファに腰をかけている加藤、さん。
『ごめん、おまたせ、お湯もたまってるからゆっくり温まってきて』
「あ、おかえりなさい、あと・・・」
『ん?』
「あけましておめでとうございます」
ふわっと笑って用意したタオルをもっていちにんしょうの隣を駆け足で通りすぎていった彼女。
そのきれいな笑顔に見事に心を撃ち抜かれていた。
年末年始にとんでもない天使に出会ってしまった世界線のお話。
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