<加藤>
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付き合って2年半、違う世界で過ごす彼女と休みが合ったのは数ヶ月ぶりの事で前日に電話がきて今から行くから!と深夜にチャイムを鳴らした。
ドアを開けると満面の笑みでただいま!と入ってくる。
『おつかれ、お風呂すぐはいる?』と声をかけると「ありがとう〜速攻ではいってくる!」とそのまま荷物をいちにんしょうに預けて脱衣所にはいっていく。
リビングで携帯を弄りながら待っていると物凄く静かに扉を開けて史帆か入ってきた。
『ぉ、おかえり〜…って、どした?』
「…の……ない…た」
『え?なんて?』
「…のじゃ…ない…った…!」
下を向いてぼそぼそと声を発してるけどいちにんしょうの耳には届かなくて起き上がり史帆の顔を覗き込みながら再度聞き返そうとすると思いきり肩を突き返される。
『った、え?』
「ししのじゃない歯ブラシあったんだけど!!??」
『…は?』
「は、じゃないよ!としちゃんと会えない間に浮気したでしょ!あんな分かるところに証拠まで残して!!」
『いやいやいやいや、まてまて、してない、してないよ!?』
「じゃああの新しい歯ブラシなに!?なまえの口はふたつあるの?!」
『とりあえず夜中だから静かにしよ?ね?』
「…!!もういい!知らない!」
髪の毛も乾かさずにそのまま寝室にはいって勢いよく扉をしめられる。
浮気とかなんの事か思い当たる事がなさすぎて原因の歯ブラシを見に行ってこの間の事を思い出した。
その歯ブラシをゴミ箱に捨てて寝室の扉をあける。
史帆は毛布にくるまっていた。
声をかけると毛布の中から篭った声が聞こえる。
『史帆、…史帆さん、聞いて』
「しらない…なまえのバカ…」
『うん、バカなのは正しい、恋人に嫌な思いさせた、だから誤解ときたいから聞いて』
「…会えないの寂しかったのししだけみたい」
『そんなことない、いちにんしょうも寂しかったよ』
史帆もわかってくれてるはずなのだ、いちにんしょうが浮気なんてしていない事。
『毛布と喋ってるみたい、ちゃんと史帆の顔みて話がしたいな』と言えば顔だけ毛布から出してくれる。
瞳と鼻は赤くなっていてゆっくり優しく撫でると気持ちよさそうに目を細める。
「…なんで、歯ブラシあったの」
『そう、あれ会社の後輩が使ったんだよ、って言っても酔っ払ってどうしようもなくて仕方なく家に連れて帰って寝かせただけ!』
「…会社の、後輩」
『やましい事は本当にないし、必要なら確認する?多分まだ起きてると思うし』
「そこまではいい…でも写真見たい…」
『写真…?あったかな〜、探してみる』
携帯の画像をスクロールしてみるが史帆との写真ばかりで肝心の後輩の写真は見当たらない。
ふと、LINEのアイコンを思い出し史帆に見せる。
『これ!右の人が確か付き合って3年?だったかな、の恋人』
「…本当に浮気じゃないんだね」
『そ、んなの当たり前じゃん、浮気してほしかったの…』
「ううん、違う、これはししのわがまま…全然会えないし、連絡も頻繁にとれないし…別れた方が…」
顔だけだった史帆は毛布から上半身を出してシーツをぎゅうっと握りしめていた。
『いちにんしょうは今日史帆が来てくれたの凄い嬉しかったよ、毎日くれるおはようとおやすみも、たまにくれる電話も…そりゃ、住む世界が違うのかもしれないけどさ、史帆が頑張ってるの見ていちにんしょうも頑張ろうって思うし…だから、わがままなんて思わないで、そんな悲しいこと言わないで…』
「なまえが悪いんじゃないの、ししがダメなの、浮気なんてしないのわかってる、けどされても仕方ないなって」
また泣きそうな顔をする史帆の手に自分の手を重ねる。
『会えるから好きなわけじゃないよ、離れてても毎日連絡くれるし元気もくれる、いちにんしょうも史帆のそういう存在になりたい…!』
「っ…ししもなまえが特別だよ、なまえがいるから頑張れるもん…」
見つめあって数秒、自然と顔を近づけて数センチ。
史帆が顔を背ける。
「…でもとしちゃん以外泊めるのは少し嫌、何もなくても」
『それは、気を付けるよ』
「本当は飲みに行ったりするのも嫉妬する、相手の人全員把握したいくらい」
『仕事上仕方ないから…必要なら写真送るよ』
「…嫉妬深くて嫌になってない?」
『会えない分余計な心配かけたくないし、いちにんしょうもあんまりメンバーと仲良しなところ見ると少し嫉妬するし』
「なまえも嫉妬するの…?!」
『そりゃ、だって、いちにんしょうが触れられないのに抱きついたりしてたら、まあ…ね』
「ふふ、意外、じゃあ抱きついてみる?」
両手を広げて首を傾げられて我慢なんて出来るわけもなく思い切り抱きしめ、首筋に顔をうずめる。
そのまま首筋に吸い付いて軽く跡を残す。
そこからは会えなかった分をお互いに求め合い長い夜を過ごした。